孤島の鬼を読んで

これは私の読書記録である。あまりの作品の面白さに興奮して何から書けばいいのかわからない。

『孤島の鬼』は江戸川乱歩によって記されたホラー小説で、主人公の「私」(名前があるがここでは割愛する)が初代という女と出会うところから始まる。しかしその初代が不可思議な死を遂げたことにより、主人公を好く男、道雄と怪文書の謎を解きその犯人を追うこととなる。

ここからネタバレ→


まさか江戸川乱歩で同性愛描写があるとは思いもよらなかった。彼の著作で怪人二十面相を昔読んだことがあったが予想外だった。

道雄の主人公に対する思いが強く、またそれが報われないのが読んでいて本当につらい。結局主人公は初代の妹の秀ちゃんに恋をして結婚してしまうし。

道雄は名門大学を出て女性にトラウマがあり、そのうえ父親(と思い込んでいた)に命じられて動物の解剖にいそしむ変人という設定だ。そしてその上美青年。←ここ大事

「いいじゃん!私好みじゃん!」と思っていたら、案の定最後の最後で地元に戻って死んでしまうという…。

そのまま主人公の建てた病院の先生をやってくれたらよかったのに。でも主人公と秀ちゃんとの関係に嫉妬するのもかわいそうかもしれない。

この本の締めくくりの、

『道雄は最後の息を引き取る間際まで、父の名も母の名も呼ばず、ただあなた様の御手紙を抱きしめ、あなた様の御名前のみ呼び続け申し候』

もうね、ここでなんともいえない苦くて辛いものがこみ上げたよね。道雄がなぜここまで主人公に傾倒したのか作中で深く語られなかったけど、彼の壮絶な過去を思うとやりきれないよね…。

でも主人公はお金も奥さんも手に入れられて幸せになれたし、彼にとって主人公の幸せが彼の幸せでもあるのなら、彼は生きたってことになるんじゃないかって思うよね。

だけどだいたい主人公に思いを寄せていて、かつ主人公を助ける立ち位置のキャラは最後に死ぬことが多い気がする。

でもやっぱり、彼の死をなくして読了後のこんなに深い感動はもたらされないだろうと考えると余計に切なさがこみ上げるというか…。


というのがこの本の読書記録でした。もちろん道雄と主人公の関係だけじゃなくて、秀ちゃんの日記のくだりでは本当に「江戸川乱歩すげえ」って思ったし、テスト前だというのに深夜に一気読みしてしまうくらい面白かったです。

これを機に江戸川乱歩に沼りそうで怖い。この夏休みに読み漁ろうかな。

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