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【WBC 2023】1次ラウンド第2戦 日本vs韓国を振り返る

WBC(World Baseball Classic)2023。
第2戦は、今まで何度も対戦し、数々のドラマを生んできた宿敵、韓国が相手。
2日目にして天王山。

昨日の中国に比べ、元々野球が盛んな韓国。
プロリーグも長い歴史があり、優秀な選手はメジャーリーグでも活躍しています。
かつては日本のプロ野球にも多くの強打者がやってきて活躍しました。

日韓戦で忘れられないのは、2009年の第2回WBC。
1次ラウンドから敗者復活もある変則トーナメント方式で行われ、1大会で計5回も対戦。
日本は初戦に勝ったものの、1次ラウンドの2戦と、2次ラウンド1戦で敗戦。
韓国代表の選手たちによってマウンド上に韓国国旗を掲げられるという屈辱も味わいました。

決勝の相手も韓国。
延長10回、ずっと不振が続いていたイチローのタイムリーツーベースヒットで勝ち越し。その裏はダルビッシュがクローザーとして登板。しっかり抑えて大会連覇を成し遂げたのでした。

しかし、その後の2大会とも韓国は1次ラウンド敗退が続き、今大会も初戦を落としての日本戦。
日本もこの1戦を重要な試合として位置付け、長年メジャーリーグで活躍し、2009年には優勝のマウンドに立ったダルビッシュ有を先発に起用。
勝てば1次ラウンド勝ち抜けへ一歩前進できます。

宿敵との重要な一戦。果たして、どのような結果になるのでしょう?

ダルビッシュ好投!しかし…

試合は19時すぎにプレイボール。
11年ぶりに日本のマウンドに立ったダルビッシュ。
昨日の大谷同様、何度もテレビで見たピッチングフォームから鋭い変化球を繰り出す。
危なげないピッチングで三者凡退。
日本にいた時も凄かったが、メジャーで経験を積んだベテランの投球は見事!

対する韓国の先発は、国際大会の日本戦で何度も登板したキム・グァンヒョン。
韓国のスタメンは名前を見ただけでは知らない名前ばかりだったが、彼だけは覚えている。34歳のベテラン。

キム・グァンヒョンも1回から安定のピッチング。
日本の打線も打ち崩すことができない。
2回まで0点が続き、緊迫した接戦になることが予想された。

しかし3回に試合が動く。
好調かと思われたダルビッシュが捕えられてしまう。
韓国の8番ヤン・ウィジに2ランホームランを浴びてしまった。
鋭いスライダーだったが、見事にミートされ左中間スタンドへ。
ダルビッシュの持ち味は変化球だが、何度も繰り出したスライダーを狙われてしまったか。

続くバッターにもタイムリーを浴び、ランナー1、2塁のピンチ。
このまま崩れてしまうのか?と思いきや、粘りのピッチングでなんとか3点のみで抑えた。

あのダルビッシュが打たれた。
ドーム内に不穏な空気が流れる。
しかし、その嫌なムードを断ち切ったのは、アメリカからやってきたひとりの侍だった。

反撃の狼煙!侍ジャパンの猛攻

3回裏。
8番源田がフォアボールで出塁すると、電光石火の盗塁を見せて2塁へ。
続いて、今日スタメンマスクをかぶる中村悠平もフォアボールで出塁。
そして1番ヌートバー。不穏な空気に風穴を開ける見事なタイムリーで1点を返す!
続く近藤健介もツーベースを打ち、さらにもう1点。
侍ジャパンのバッターを翻弄したキム・グァンヒョンの活躍もここまで。

続く大谷が申告敬遠され満塁。
吉田正尚にもタイムリーが生まれ、あっという間に日本が逆転!

先制されたと思ったら、その裏ですぐに逆転。
でもまだ1点差。序盤からビッグイニングとなったが、これからの展開はまだまだ読めない。

日本は4回から今永へピッチャー交代。
強化試合からの好調さをキープし、次々と韓国打線を封じてゆく貫禄のピッチング。

5回裏。
好調の近藤にソロホームランが飛び出し、吉田の犠牲フライもあって2点追加。

6回表。
好調だった今永も捕まってしまう。
韓国の6番パク・コンウにソロ弾を浴びて4点目。
ここまで両者一進一退の攻防が続く。

勝ち越してはいるものの、その差はわずか2点。
鍵は今後の継投にかかっていると思われた。
セットアッパー、クローザーの役割が大きな鍵を握る。
しかし、そんな予想は稀有に終わるほどの猛攻が待っていた!

侍ジャパンのさらなる猛攻!韓国投手陣は完全崩壊

6回裏。
指を負傷した源田に代わってショートに入った中野拓夢が打席へ。
源田の状態が心配されたが、それを吹き飛ばす長打!
しかも俊足を生かして3塁へ。いきなりのスリーベース。

さらに、中村のフォアボール、ヌートバーがデッドボールを受けノーアウト満塁。
続く近藤もフォアボールを選んで押し出し1点。
続く大谷。交代したピッチャーの初球を捕らえた!
見事なタイムリーで1点追加。
その後も村上の犠牲フライ、吉田正尚のタイムリー、さらに岡本のタイムリーと打線が繋がり、この回5得点のビッグイニング。

続く7回裏も相手のワイルドピッチや押し出しで2点追加。計13得点の猛攻!
WBCのルールでは、1次ラウンドのみコールドゲームが認められている。
コールドゲーム(Called Game)とは、審判が試合を打ち切ること。
7回以降であれば10点差をつければコールドゲームとなり、その場で試合は終了する。
高校野球の地方大会など、チーム差が歴然としている試合でよく目にするが、仮にもプロ野球選手同士が戦っている場でコールドゲームとなってしまうなど、この上ない屈辱。しかも相手は百戦錬磨の韓国代表だ。

東京ドーム中にコールドで試合終了の空気が漂うが、結果的にそれ以上点差が開くことはなかった。

8回からは韓国のピッチャーも安定。
日本もピッチャーを宇多川→松井→高橋宏斗と継投し、9回でゲームセット。
終わってみれば日本の大勝。1次ラウンド勝ち抜けに弾みをつけたが、韓国相手にこんな大差がつく試合となるとは想像もつかなかった。

どうした韓国!?あの熱いライバル対決をもう一度

侍ジャパンの猛攻による二桁得点での大勝だったが、結局は韓国側の投手陣崩壊による大量失点が響いたと言っていいだろう。

3回まで投げたキム・グァンヒョンはいいピッチングを見せたが、以降出てきた若手ピッチャーが次々と点を許す結果に。
フォアボールを選ばれて塁を埋められ、好調な選手の適時打を浴び、その回で交代させられる…というシーンを続けて何度見ただろうか?
終わってみれば、10人ものピッチャーを使ってようやくコールドを免れた。

一体、あの強かった韓国代表はどこへ行ってしまったのか?
相手を煽る訳ではないが、今日の韓国代表の試合運びを見ているとちょっと心配になってきてしまう。

出てくる若手ピッチャーの投球は悪くないのだが、同じ世代の日本代表のピッチャーの方が凄みを感じてしまう。経験のなさなのか、大舞台での緊張があるのかはわからないが、投手陣の立て直しが必要なのは明白。

韓国はこれで2敗。あと2試合残っているが、きっちり投手陣を立て直して2勝すれば、他のチームの動向いかんで準々決勝に駒を進められる可能性は残っている。

かつては韓国の優秀な選手が日本のプロ野球でプレーする姿を見ることができたが、最近はそれも見られなくなっている。
ここ数年の日韓関係の冷え込みもあるのか、野球での交流は少なくなってきているように思う。

この日、始球式を岸田首相が務めた。
翌週、韓国のユン・ソギョル大統領が来日し、日韓首脳会談が予定されている。
徴用工の問題解決に向けて韓国側が歩み寄ってくれたおかげで実現した始球式だと思うが、韓国の人たちもこの試合をテレビで観戦している事を考えると、日韓関係改善に大きな意味があったと思う。

日韓関係が改善されれば、かつてのように有力な若手選手が日本のプロ野球でプレーする姿を見ることができるのではないかと思う。
先発のキム・グァンヒョンも日本のプロ野球でもまだまだ十分通用するピッチャーだと思うし、日本に来てくれるならかなりの戦力になると思う。
そんな交流を通じて韓国野球も底上げをしていってほしい。
そして、2009年のような最高のライバル対決をもう一度見たい。

侍ジャパンの気になった点

対して侍ジャパンは好調そのもの。
やはり、ヌートバーと近藤健介の好調さが大きい。
大谷は流石のプレーだし、吉田正尚もしっかり要所で打ってくれる。
クリーンナップがいい形で機能してくれるおかげで、下位打線からも得点に繋げられることが大きい。

そして守備も大きなミスは見られない。
源田のさすがとしか言いようがないフィールディングも光るが、まさにエンターティナーとも言うべきヌートバーの大活躍には毎試合魅了されてしまうほど。
まだ25歳。若きメジャーリーガーはこれほどまでに凄いのか…。
改めてメジャーリーグのレベルの高さに驚くばかり。

投手陣も強化試合からの好調さをキープしている。
次のチェコ戦の先発は佐々木朗希になるようだ。どんなピッチングを見せてくれるのか本当に楽しみ。
さらに第2先発となると選択肢が多すぎて全く予想ができない。

対して、主砲と目されていた村上の不調が目立ってしまう。
昨シーズン、ホームランを量産した令和の三冠王もまだ23歳。
国際試合の経験もない中、毎試合4番を任されている。
WBCがなければ、本来ならまだオープン戦の最中。
少しずつ調整していって、レギュラーシーズンで調子を取り戻しても遅くはないのだが、そんな中でいきなりプレッシャーのかかる大きな試合をこなさなければならない。
ひょっとすると次の試合から下位に回されるかもしれないが、ここは焦らず、思いっきりプレーしてほしい。
ベンチでは若手らしく声を上げてチームメイトを鼓舞する姿も見られるし、気持ちは沈んでいないと思うので、思いっきりバットを振って、徐々に調子を上げていってほしいと思う。

今のところ安定した強さを発揮している侍ジャパン。
当然油断はできないが、少し先のことも視野に入れて考えてもいいと思う。
プールAではオランダがやはり強い。台湾も勝ち上がってくるかもしれない。
そしてその先には、北中米の強敵が待ち構える。
勝ち進んでいけばアメリカでプレーすることになる。大きく環境も変わる。
そこで重要になってくるのが村上や山川のバッティング。
大会を通して、最後にものすごい活躍を見せてくれることを楽しみにしたい。

さて、次の対戦相手はチェコ共和国。
野球が盛んな国なの?と疑問符が付くぐらい、私もどんな相手なのかよくわからない。
しかし、今日の中国戦ではしっかり勝利している。
未知数だけに怖い相手。一体どんな試合になるのか?
そして、勝てば文句なしの1次ラウンド突破が決まる。しっかり勝つところを見せてほしい。

タイトル画像は、TBS野球『S☆1 BASEBALL』公式Twitterより使用させていただきました。
ヌートバーの連夜の大活躍に、日本中のファンにも「ペッパーミル」ポーズが浸透してきました。
今大会を象徴するポーズですね。

※中国戦の記事はこちら。


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