「適度な運動」が何かを知って取り組む運動を選ぼう
成長期、妊活・妊娠、更年期、老後などに良いとされる方法が、世の中にはたくさん提案されていますが結局のところ、
「適度な運動」「バランスの良い食事」「睡眠」という結論になっていますよね。
食事と睡眠は、数回スキップすることはあっても日常生活として組み込まれているものなので見直し&現状把握し改善しやすいかと思います。
一方で、日常生活に追加で組み込まなくてはならないのが運動。
さらに厄介なのが「適度」という曖昧な表現。
そこで今回は、
どれくらいのことをどれだけやれば適度な運動したと言えるのかをお伝えします。
1. 適度な運動の目安
適度な運動がどんなものかを考えるうえで、
1日の運動量の目安として「Mets(メッツ)」という指標が利用できます。
運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したものです。
厚生労働省健康局は、このメッツを使って基準値を以下の通り示しています。
また「身体活動のメッツ(METs)表」と題して、それぞれの運動強度をこと細かく提示していますが、これだけだとイメージがつきにくいので具体例を挙げてみます。
デスクワーカさんの場合、
デスクワークや打ち合わせ(座位作業)は1.5メッツなので3メッツという条件から外れます。
そのため、出社日が週5日であれば通勤で4メッツを稼げるように毎日往復30分ほど歩く必要があります。
4メッツ×1時間×5日=20メッツ
さらに休日に4.0のパワーヨガ(筋トレ要素が強いパワフルなヨガ)を1時間行うことで条件クリアとなります。
一方でショップ店員さんの場合、
仕事(立位作業)をするだけで3メッツ稼げるため、立ちっぱなしが1日8時間続くのであれば
3メッツ×8時間=24メッツなので身体活動の基準は1日で容易にクリアとなります。
くわえて休日の2日に3.5メッツの散歩を0.5~1時間ずつ(合計1.25時間以上)行えば
3.5メッツ×1.25時間=4.375メッツ
となり運動の基準もクリアですね。
2. 立ち仕事の場合は適度な運動が必須!
前項のメッツによる基準値は、仕事などの生活活動でも運動でも合計が週に23メッツとなればOKという考え方です。
ここで一つ心配なのは、例に挙げたショップ店員さんは活動過多ではないのか?ということです。
仕事は運動とは違い時間が拘束されている状態であり、なかなかのストレス。健康上に何か影響はないのでしょうか?
結論としては「影響あり」です。
デンマークの研究者たちが、大規模観察研究「Copenhagen General Population Study」に2003~2014年に参加した、20~100歳の一般デンマーク人の男女を対象として分析した結果で、
仕事上での身体活動(肉体労働)のレベルが高い人ほどMACE(心筋梗塞または心筋梗塞による死亡、脳卒中または脳卒中による死亡、その他の冠動脈疾患による死亡を合わせたもの)と死亡のリスクが高いと判明しました。
【肉体労働のレベル】
低レベル:主に座って行う仕事に携わっている
中レベル:座って、または立って行う仕事で、ときどき歩く作業もこなす
高レベル:歩いて行う仕事で、ときどき持ち上げる作業もこなす
非常に高いレベル:激しい肉体労働に従事している
⇒ショップ店員さんは高レベルにあたる認識。
また、理学博士の大西淳子氏らによる分析では、余暇時間の運動レベルが高いほど、MACEまたは死亡のリスクは低い傾向があり、一方で、余暇時間の運動レベルとは無関係に、肉体労働レベルが低いほど、MACEまたは死亡のリスクは低い傾向があることが分かりました。
つまり、「仕事での疲れは解消したうえで運動はしましょう」ということになります。
厚生労働省健康局が発表した「健康づくりのための身体活動基準2013」では全年齢における運動の考え方として、以下のように示しています。
まずは仕事で疲れた心身を休めたうえで、
運動の基準となる4メッツ・時/週を続けていただきたいところです。
3. 自分にとっての「適度な運動」を見つけよう
まず、厚生労働省健康局が示す基準とデンマークの研究・分析結果から
適度な運動は人それぞれ異なるといえます。
あなたの日常生活全般の活動を振り返り、
「23メッツ・時/週」から足りないメッツ分を運動で補う。
また、肉体労働をされている場合は十分な休息とともに運動をしていくことが良いといえるのではないでしょうか。
仕事で疲れているという方は、まずは労わりましょう。
特にワークディは睡眠を優先して、快眠のための息のあがらないヨガやストレッチをして心地良い感覚を得られる活動をするのもアリです。
ヨガは、リラックスを促すタイプのものもありますし、メッツ表にもありますが4メッツにあたる運動強度の高いパワーヨガ等もあります。
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参考文献
宮地 元彦. 健康づくりのための身体活動基準2013.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-01-001.html (参照 2022-12-12)
国立健康・栄養研究所. 改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』.
https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf(参照 2022-12-12)
大西淳子. 日経Gooday 話題の論文拾い読み! 激しい肉体労働は運動の代わりにはならない 肉体労働のレベルが高いと死亡リスクは上昇、デンマークの研究.
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/15/050800004/091000168/?SS=imgview&FD=-1548087017