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DeepTech 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」 読書記録

読書記録です。
読書"感想"ではなく、読書"記録"と表現しているのにも意味があり、
個人的に本書の中で印象に残った内容をピックアップしてまとめた内容ベースになっているためです。
あまり所感は込められていませんが、読書記録の内容を通じて興味を持ってくださった方はご購入の上読んで頂けると幸いです。
(私はこういう風に思いました!といった感想などコメント頂けると、私もそういう視点での見方があるのか~と新たな気づきになるので是非お待ちしています。)

著書の紹介

タイトル:DeepTech 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」
著者:丸 幸弘 + 尾原和啓
出版社:日経BP
出版日:2019年9月24日


概要

かつてハイテク大国といわれた日本、そしてテクノロジーに置いていかれた現代。
筆者が東南アジア6か国70社を回った中で見えてきた未来の日本のポテンシャル、そしてタイトルにもある「ディープテック」を通じて、世界を巡るテクノロジーについてとテクノロジーがもたらす現状・未来を記した一冊。

テクノロジーは人を不安にする存在では無い。
テクノロジーは世の中の格差を助長するものではない。
テクノロジーは人と人の隔絶を作り出すものではない。 

ディープテック
P.5

第一章 ディープテックとは何か?

章題の通り、ディープテックとは何かという点について筆者の考えを示した章。
ざっと言うと、テクノロジーを使い、根深い問題を解決していく考え方、もしくはその活動。

本書で挙げられている定義は以下の通り。
「事業目線から見たディープテックの特徴」
1.インパクトが大きい
2.上市までに時間を要する
3.相当の資本投入が必要

「技術面での特徴」
1.斬新かつ既存技術よりも大幅に進歩したもの
2.ラボから市場に実装するまでに根本的な研究開発を要するもの
3.社会的もしくは環境的な地球規模の課題に着目し、その解決の在り方を変えるもの
4.既存の産業を破壊し新たな市場を作りうるもの
5.下支えする知財は複製が困難もしくは入念に保護され、参入障壁が高いもの
上記を踏まえた本書でのディープテックの定義
1.社会的インパクトが大きい
2.ラボから市場に実装するまでに根本的な研究開発を要するもの
3.上市までに時間を要し、相当の資本投入が必要
4.知財だけでなく、情熱、ストーリー性、知識の組み合わせ、チームといった観点から参入障壁が高いもの
5.社会的もしくは環境的な地球規模の課題に着目し、その解決の在り方を変えるもの

ディープテック
P.15~17

近年掲げられているSDGsを促進するための下支えとして偉大な力を発揮するためのテクノロジーだと、この定義から読み取れると私は感じた。

その他にも本章の中で出てきた興味深い点としては、以下。
・decentraized (非中央集権型)社会に商機
・サステナブルなPSSD (Product(製品)Service(サービス)System(システム)Design(デザイン))の考え方を各自が持つことで、より効果的なディープイシューつまり深い課題の可決施策が見出される
・ハイテクとローテクを「知」によって新結合し、その集合体をテクノロジーとしてとらえると言う概念それこそがディープテック

日本企業が活躍できる三つのパターン
1.エマージングマーケットにおいて、ディープイシューを解決しようとする人々に対し、スケールアップ(事業を拡大)させる役割
2.優れた特性を持つプロダクトを作り出すテクノロジーを持ち得ているにもかかわらず、時代の変遷とともにビジネスの形態が変化し、輝けていないテクノロジーをエマージングマーケットのフィールドで再び生かす方法
3.日本が抱えるディープイシューを解決しようとしているスタートアップ企業が、そのままエマージングマーケットに飛び込んでいくパターン

ディープテック
P.32

ディープテックの領域
テクノロジー分野に大きく分かれる
<テクノロジー>
AI/ビッグデータ、バイオ/マテリアル、ロボティクス、エレクトロにクス、センサー/IOT
<分野>
アグリ(農業)/フード(食料)/エコ(環境)/エネルギー、ヘルスケア(健康)、メディカル(医療)、マリン(海洋)/スペース(宇宙)

ディープテック
P.35

章末に、「TECH PLAN DEMO DAY」の63出場チームが掲載されており、東南アジア各国で湧き起こっている熱気とアイデアに触れられるので興味のある方は是非。

第二章 ディープテックの系譜を知ろう

ハイテクやインターネットなどのイノベーション史を追いながらディープテックの成り立ちまでを紹介した章。

ディープテックの先を見据えていく上で注意したいのは、アメリカ西海岸やヨーロッパ、そして日本と東南アジアにはそれぞれ異なる時間軸があること。(4D思考でとらえる)

シリコンバレーの成り立ち、半導体技術→PC生産→そしてインターネットの登場→インターネットによる人々のつながりによるコミュニケーションテクノロジーの時代→AI第三次ブーム→アクセラレーションによるテクノロジーの自由化→個人がイノベーションを起こすインフラ整備の完了
といった系譜についてたどっている。

ディープテックはこれまで誕生した多くのイノベーションと、その根本にある「社会問題の解決」に対するアントレプレナーの精神を引き継ぐもの
と本書では記載している。

第三章 海外で沸き起こるディープテック旋風

タイトル通り、東南アジアのスタートアップ等を例にディープテック旋風を記載した内容の章。
ディープイシューを知っている(問題に直面している当事者)人が、そのまま実装までやり切るという意思。これこそ大企業にも負けないディープサイエンスベンチャーの真髄
アイデアやテクノロジーを「補完する技術」を持つ日本の企業は決して少なくない。
章末に落合陽一氏のコラムもあり、xDiversity(クロス・ダイバーシティ)の概念とこれからの日本のありようについて触れている。
(この内容はまた別途詳細に見るべき。)

第四章 日本の潜在力はディープテックで開花する

日本におけるディープテックの現状とその可能性についてから今後の展望を記載した内容の章。

「サーキュラーエコノミー」の観点
「従来の経済活動(エコノミー)」は資源の採取→製造→廃棄という一方通行、つまりリニアエコノミー(直線的経済)だったのに対し、
「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」では、生産・消費・廃棄という各ステージにおいて資源を循環させることで、持続可能な社会の実現とともに経済成長をも見据える という考え方。

ディープテック
P.147

・既にある技術の組み合わせで解決できる課題を見つけられるか
・テクノロジーとディープイシュー、その双方を行き来する

あとがき部分
「ディープイシューに出会う5つの方法」

①自分たちの常識を捨てる
→「この技術をどうにか使いたい」という考えを捨て、非常に狭い範囲しか見られない状態を捨てる
②目の前の売り上げや利益の概念を捨てる
③長期的視点と短期(一年先)の具体的イメージを持つ
④「初めて」を連続してやる
⑤①~④までを持ったうえで、現場の若いベンチャーと話す

ディープテック
P.177~181

全体的に、スタートアップ企業などにおける、ディープイシューに直面した人々がその解決に至るまでのあくなき好奇心の集大成をモチーフにした内容だった。
既知の技術でも、まだそれ自体を知らない人々が目にすることや組み合わせることで、再び光を放つこともあるといったケースも多々ありこれこそまさに持続可能な社会への必要なことだと感じた。
東南アジア諸国のさらなる発展と共に、今後どのようなディープテックが生まれ、社会はより良い方向へと進んでいくのか展望が気になる様にさせられる本であった。
基本的に本書の中で多々記されているイノベーションの数々はこの読書記録の中には記載していないが、先進的かつ斬新なものも多々あると同時になぜ昔からこれらの技術や問題解決のための土台が無かったのだろう(環境や情勢、物理的な制約などは置いておいて)といった疑問が自分の中で出てくることもあった。

個人的な読書記録ですが、ここまで見てくださった方ありがとうございます。
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