人生は「私に出会う旅」 〜心理サポートプログラム体験記〜
「自分らしさ」
「自分らしく生きる」という言葉は
今ではもうすっかりと世界に馴染んで
幸せな人生を生きたい人に使う
常套句のようになっている。
場合によっては
食傷感さえあるかもしれないけれど
それでも私たちは
自分らしくありたい、生きたいという願いが
止むことはないように思う。
その一方で
多くの人が
自分らしさを探し求めては
彷徨っているように見えるのもまた、
気のせいではないとも、思う。
いろんな本を読み
いろんなセミナーに行き
いろんなワークショップに参加しても
なかなか自分らしさがわからない。
自分らしさ、とは。
私として生きる、とは。
そしてそれは、
どうしたら、手に入るものなのか。
今日はその問いに
一つの答えを見せてくれた方たちのお話です。
そんな依頼をくれたのは臨床心理士、公認心理師であり、ヨガセラピストでもある、米澤紗智江さん。
数年前からSNS上で存在を知って、お互いに日々の発信を見続けている方。
わたし自身、紗智江さんほどの専門性ではないものの、大学で臨床心理を学び、心で生きるということにずっと興味を持って今日まで生きてきていて、ヨガも体験していて。
通ずるものを感じるからこそ、紗智江さんのことが気になったのだろうし、何よりこの数年で、どんどん花開くように美しく軽やかに変化されている彼女のことが気になっている。
3年前は、静かで儚げな雰囲気を纏っていた紗智江さんが、この数年で明るさを開花されていく様子が写真から伝わるようになり
昨年のこの写心を見たときには、紗智江さんは、きっと大きな心のヴェールを取り払われたのだろうな、と、なぜかわたしが嬉しくなったのは、不思議な記憶。
お会いしたことは、一度か二度くらいなのに。
そんな彼女を見てきているからこそ、紗智江さんが取り組んでいる心のことや心理士としてのお仕事は一体どんなものかと、気になっていたので、
今回お客様のインタビューのご依頼をいただけたことは、光栄であると同時に、わたしにとって興味深いお話を聞けるチャンスとばかりに、嬉々として引き受けさせていただいたのでした。
紗智江さんは長らくヨガ団体で心理の部門でトレーナーを務められ、様々な機関や個人事業として、これまでにのべ1万人以上の心のケアやサポートをされた実績をお持ちの方。
長期講座を開催される中で、アドラー心理学の「早期回想解釈」という手法を使って心の仕組みに気づき、ご自分との付き合い方を取り戻された方について、
「主催しているわたし自身では汲み取りきれない変化も知りたい」と三人で対談式のインタビューを行うことになりました。
長期講座に参加され、早期回想解釈を体験されたのは、大下和美さん。
インタビューを行うzoomの画面で初めてお会いした和美さんは、一言一言を、じっくりと感じて、確かめて、言葉においてくださる方、という印象。
お二人の出会いは、ヨガ団体。
団体の中心的メンバーだった紗智江さんの姿が印象に残り、紗智江さんの独立後に和美さんが単発のカウンセリング講座を受講したのが始まり。
ヨガのインストラクターだった和美さんは、ご自身の心の課題のためというよりは、「レッスンで、生徒さんにもっと心の面についてもうまく伝えられるようになりたい」と心の学びを始められたそうです。
ヨガのレッスンに活かすための学びを通して「自分を知っていくことの面白さと奥深さ」が次第に高まり、心への興味が増す中で受けることにした、10ヶ月の長期講座。
そこで出会ったのが、アドラー心理学の早期回想を使ったライフスタイル分析。
紗智江さん曰く
とのこと。
当時の和美さんは、自分のことを理解し始めてはいたものの、「ある特定のパターンになると、頭が真っ白になってフリーズしてしまう」と言う状況にいらしたそう。
そのパターンが起こるのは、特に目上の人からの頼まれごとがあった時。
依頼をされると、NOとは言えない。
どう対応したらいいのだろうか、と思考がパニックになって止まってしまう。断るという選択肢がないので、緊張状態になりフリーズしてしまう。頼まれたらやるしかない、という状況に陥ることが苦しく、自分でもどうしてそうなってしまうのか、「同じパターンを繰り返している」と言うことはわかるものの、対処ができない。
同じパターンを繰り返すとき、そこにあるのは「こうでなければいけない」と言う信念。
その信念と、なぜその信念が生まれたのか、それを理解することによって、無意識のパターンに翻弄されることから解放され、「自分の陥りやすいパターンを把握し、対応できる自分になる」ことができる。
それを助けてくれるのが、早期回想解釈。
早期回想は、
幼少期の記憶の中の「特に記憶に残っている、感情を伴うある特定のシーン」から
嬉しかったこと、嫌なことなどを思い起こし、その体験の中で、何を体得したかを知っていくと言うもの。
私もこのインタビューの後で、紗智江さんの開催する早期回想を使った自分を知るワークに参加させていただき、幼少期の体験がもたらす影響について、言い訳の余地のない実感を、体感している一人。
愛されると感じた体験があるからこそ、
私たちはそれに近い体験を大人になっても他者に求め、愛情を確認しようとするし
傷ついたと感じてしまった体験があるからこそ、同じ体験はしたくないと避け、それに似た体験をすると、相手の意図がどうであれ、場合によっては悪意さえ勝手に作り上げ、被害者になって痛みの泉に身を浸してしまう。
でもそれは
そう感じた「過去の体験」があったからだけのことで、
今体験する似たような出来事が、愛情や喜怒哀楽を図るための判断基準になるとは、限らない。
あの時の誰かが撫でてくれたその手のひらに愛情を感じたからといって
人生であなたを撫でてくれない人があなたを愛してないとは、言えない。
あの時の誰かの些細な一言に「嫌われた」と感じたからといって、今もその一言を言う人が本当にあなたを嫌ってるかなんて、わからない。
でも、私たちはそういう、過去からの解釈を山ほど繰り返して日々を生き、誰かや何かをジャッジしては自分の解釈に翻弄され、時に苦しんでいる。
愛されるためには、こうでなければ
嫌われないためには、こうしなければ、
あの人は愛してくれない、愛してほしい
この人はわたしをきっと嫌ってる、嫌われたくない、 と。
過去の体験から今を偏った目でジャッジして自分の行動さえ決めてしまう、自分の中にある解釈の糸の原点を見つけるのが、早期回想。
この早期回想を通して和美さんが出会ったのは、
「自分らしさを出すと否定されて支配されてしまう」と言う過去の記憶。
自分の意見や思いを表現すれば、否定されるし、こうしなさいと言われてしまう。本当の気持ちを言うと支配されてしまう、それが怖くていや。
だから、そんな思いをしないように、自分の意見や思いは出さずに、相手に従おうとすることで自分を守ってきたのが、これまでの和美さん。
そのパターンを繰り返すうちに、相手の期待に応えなくてはいけない、という信念は強くなり、いつしかご自分を圧迫するものにまでなっていた。
自分をすり減らしてでも誰かの期待に応えようと頑張ったり、誰かを頼ることもなく抱え込んでなんとかしようとする。他人の課題を自分の課題にして背負いこんでしまう。
そう教えてくれたけれど、無自覚でそれが起きているからこそ、苦しい。
早期回想によって、そう言うカラクリだったんだ、と気づいたのが、長期講座の前半。
この体験によって、和美さんの中でこれまでは訳も分からずパターンに飲み込まれていた状況が、「あ、これは、あのパターンだな」と気づけるようになったそうです。
ご自分の心の仕組みを理解したからこそ、自分に起きていることに対して冷静に俯瞰できるようになり、少しずつ感情の渦に飲み込まれることが少なくなっていったそう。
とはいえ、一度このカラクリを理解したからといって、すぐこのパターンから脱却して自分を俯瞰できるようになったかというと、決してそうではなく。
日常生活の中で心がざわつくたびに、ご自身との対話を繰り返し、時には紗智江さんのサポートを受けながら、ご自分の心を俯瞰して、整理して、対応をとる、その繰り返しを続けたのが、この長期講座の後半。
講座前半は知識として心の仕組みを学び体感し、
後半は学んだ心の仕組みの働きを日常生活で体感し、自分の新たな取り扱いを体得していくためにひたすら実践する。
知識の習得だけにとどまらない、学びが「体感としての腑におち」になるまでサポートするからこそ、変化が一時的なものではなく、新たなパターンとして、定着していく。
和美さんも、この実践を繰り返し、少しずつご自分に対する俯瞰力と対応力が高まり、「感情に飲み込まれるのではなく、感情を外側から眺め、対応を選べる自分」のスタンスを確立されたそうです。
頼まれごとがあっても、時には断ることができるようになり、
断ることができなかったとしても、「今またパターンにハマってるんだな」と気づけるようになり、そんな自分の気持ちを丁寧に感じ取るができるようになった。
ご主人との関係も、これまではいつも和美さんが課題を一人で抱え込んで背負っていたのが、「私一人が抱え込むこともないんだな、ともにクリアしていけばいいわね」と思えるようになったそう。
日常の出来事の中で感じる一つ一つから、丁寧に「わたしの心の動きと希望」を掬い上げ、どうなっているのか、どうしたいかを、コツコツ問うては次を選ぶ、営みの連続。
早期回想を含む長期講座を終えた後も、和美さんは紗智江さんの継続的なサポートを月に1回のセッションで重ね、ご自分の心を俯瞰できるように、自分を知ること、現実で起きている事実と心の動きの擦り合わせを重ねてゆかれたとのこと。
和美さんは、まさに後者そのもののタイプ。
これまでの人生で見届けてこなかった心だからこそ、心の澱が一掃されて世界が突然開花するような一発逆転なんて、ない。重ねてきた分の、リリースと和解の時間がいる。自分と共に、自分をもう一度、見つけてあげる道のり。
紗智江さんから見ても、和美さんが日々ご自分をコツコツと見つめ向き合う姿は、自己探究心を楽しむことがもたらす変化の力を改めて実感するものだったそうです。
そんな時間の先で、あるブレークスルーポイントが、訪れます。
それは、これまで「自分らしさを出すと否定されて支配されてしまう」という心のさらに奥底にあった「本当の願い」に和美さんが気づいた時。
これまでは、似たような状況に陥るたびに
「自分らしさを否定されるのが怖い」と感じるわたしがいるんだな、じゃぁ、どうしてあげたらいいのかな、
そんな風にご自身と関わっていた和美さんの心の奥底には、
否定されたくない、ではない、「願い」が、あった。
それこそが
「わたしのことを大事にしてください」
という、願いであり、本心。
「こんな気持ちがあったんだ」と言う驚きと共に、内側から込み上げるこの思いに出会えたことが、和美さんにとっては大きな転機となったそう。
自分のことを大事にしてほしい。その思いがあるなら。
大事にしてほしい自分を、大事にしてあげること・・・・これまでなら、誰かに合わせ、誰かの期待に応えるために無理に一生懸命になっていたことも、自分の中にある、弱さや、本当は断りたいと思う気持ちに目を向けて、見てあげることも、より深くできるようになった。
何より、この変化を経て、ご主人との関係が、とてもよくなった、とのこと。
これまでご主人の課題まで自分で抱え込んでは自分がなんとかしなくては、と思っては疲弊していた和美さんは、「わたしはわたし、あなたはあなた」課題の分離ができるようになり、そんな二人で、ともにいられたらいい、勝手に背負い込むのではなく、相手を信頼する、時には手伝うこともする。できることをできる時に、無理なく、背負い込まずに、「わたしはどうしたいか」から選ぶ、「わたし」と「あなた」で生きていく日々が新たに始まったそう。
紗智江さんから見ても、この本心に出会えた時から、和美さんはご自分に根ざした、と言えるようなどっしりとした安定感が生まれ、いろんなことがあっても、一時的に心が揺らいでも「心の真ん中に戻ってこられる、揺るがない貫禄」が明らかに見て取れるようになったそうです。
あぁ、もう、大丈夫だ、と。
以前は、どこか不安げで、不安定さのあった和美さんが、長期講座で早期回想を体験されご自分と向き合われた、その1〜2年の間に、こうして変化をされて、その変化は、「貫禄」と言う言葉になるほどに周りから見ても明らかなものだった。
だからこそ、「どうしたら和美さんのようになれますか?」「わたしも和美さんのようになりたい」と憧れる人も現れ出したそう。
そんな風に変化できたことが、嬉しい。
あ、わたしは、こうだったんだ。
あぁ、そうか、こういう気持ちの中にいたんだ。
本当は、こんな気持ちがあったんだ。
今まで見てこなかった
一つ一つを見つけながら
状況と自分に飲み込まれ翻弄されるのではなく
状況と自分を見つめ、自分を大事に取り扱ってあげられる、わたしになる。
その一つ一つの発見と変化が、とても興味深くて面白い。
終わることのない自己探究の旨みの深さ。
紗智江さんと心のことに取り組む時間を経た先で
和美さんには、ヨガインストラクターとしてだけではない、心のことにも関われるような、セラピストとしての未来を見つめる目が生まれています。
今までは、誰かの期待に応えることに自分をすり減らしてばかりだったけど、今では、自分を大事にするために、時間やお金、エネルギーをを使うこともできるようになって、一人時間にカフェに行ったり、自分をケアするためのボディメンテナンスに行くこともできるようになったそう。
大切にされることを願う自分に気づき、
自分を大切にすることに許可を出せた
その道が始まって、これからは、さらに・・・
そんなことを、教えてくれました。
一言一言を、じっくりと丁寧に言葉にしてくれた和美さん。
私たちは何事も、早く効率良く済ませることをついしがちですが・・・
もしかしたらその効率を優先するがあまりに、心を大切に扱うことなく、インスタントなルーティーンに陥っていることも、あるのかも知れません。
和美さんのお話される様子を見て、心を確かめながら言葉を置く、その穏やかなペースから感じられる、まさに貫禄は、時代が早いと生き急ぐ私たちの今に、もしかしたら、必要なものなのかもしれません。
時代に、状況に、自分の心に飲み込まれ翻弄されるのではなく、自分の心の状態に気づき、望みを知り、俯瞰して、大切に扱う。
忘れることなく、確かめながら生きていきたい。
「わたしは今自分を大切に扱えているか」と。
インタビューの最後に、和美さんに「紗智江さんは和美さんにとってどんな存在ですか?」と聞いてみました。
その答えは
きっと、誰より紗智江さんが、ご自分の心を俯瞰し、大切に扱いながら、ご自分の心の貫禄を育てているからこそ、自分の中に心の碇を持っている。
このインタビューを通して、心のこと、その道のりの奥深さと楽しさを語る確かな言葉遣いから、感じられたのでした。
自分の心を知り、本音を知って、自分の心に碇を下ろせる私になる
自分らしさとは、自己探究の道を楽しめば楽しむほど、確かに根ざしていくもの。日々日々、その営みの中で、私が私から、目を逸らさずに、長い目で、付き合って自分を知ってあげることで、叶うもの。
そんなことを教えていただきました。
和美さん、紗智江さん、この度は、ありがとうございました!
和美さんが受けられた長期講座「サポートプログラム」についてはこちらからご覧いただけます。
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サポートプログラムを体験された和美さんのnoteはこちらから