ここにいる瞬間はあるがままの自分でいてほしい。ようこそ、間借り喫茶「喫茶たまゆら」へ。
本業の自分とは異なる一面を、表現したい時がある。
いつからか覚えていないが、自分以外の誰かが喜ぶ姿を見るのが至上の喜びで、「何かを振る舞う」ことが特に当てはまる。普段の仕事では、振る舞うことはほとんどなく、人にゆっくり・丁寧に向き合うこととも少し遠いように感じる。
元々苦手だったコーヒーを飲めるようになったのは、新卒で入社した会社で得意先として担当していた販売店のおかげ。その販売店を訪問するたびに、季節関係なく熱々のインスタントコーヒーが、差し出されたから。断るわけにも残すわけにもいかない、ましてコーヒーが苦手ということも言えない。だから飲み切る。それを繰り返し続け、(自分のために)胃に残りにくいコーヒーってあるのだろうかと、自分に合うコーヒー探しをスタートさせた。
それから2年後、島根に拠点を移し、自分が住んでいた地域の自治組織が、コーヒーで多世代交流を図っていたこともあり、コーヒーのミルやドリッパーなどを揃え、自分でコーヒーを淹れ始めた。そして、家から徒歩60歩が日本海という環境を活かしつつ、海を見ながらコーヒーを飲むって「映え」るのではと思い、ビュー会をスタート。コーヒー・喫茶がライフワークになった瞬間だった。
コーヒーはかれこれ3年ほど、誰かに何かを振る舞うこと(ご飯・コーヒー・お酒)は社会人になってからすぐスタートさせたから6年くらい。
今のライフワークにおいて大切にしていることは、無理をしない、楽しいからやる、所属とか肩書きとか全く気にしないこと。これらは島根にいたときの経験から、言語化されたことだった。
特に、所属とか肩書きって、普段の仕事先で言われ続け、仮面を被ったままの自分でいないといけなかったり、素の自分をいつ出せば良いのか分からなかったりする。関係性の有無に関わらず、鎧を脱いで、あるがままの自分でいられている時間や場を作り出したい。
そんなことを思い描いていたとき、三島の会員制のカレー屋「6curry&Sauna 三島店」でコーヒーに関する相談を受けたこともあり、オープン当初から何度か出店をさせてもらいました。
コーヒーや紅茶、ときには甘味を提供する中で、1杯ずつ淹れたハンドドリップコーヒーを美味しいと言ってくれたり、コーヒー飲みたかった…と嬉しそうに伝えてくれたり、最近身に起こったことを話してくれたりと、コーヒーを淹れるまで・コーヒーを飲んでいるときは、肩の荷を下ろしてリラックスして過ごしてくれる人が多くいました。
本業・複業に限らず仕事をしている場面って、緊張状態でいることが多く、知らぬ間に疲れていることがある。だからなのか、帰宅して飲むお酒が美味しいという人もいるし、お風呂に浸かるとリラックスできるという人もいて。それと似たような形で、自分が作る時間・空間を通して、「今週も頑張ったな自分…」とか、「ちょっと話聞いてほしいな」とか、受け止めてくれるかどうかをを気にしすぎず、あるがままの自分でいてほしい。
「喫茶たまゆら」には、そんな僕なりの思いを込めています。
「喫茶たまゆら」は、静岡・鹿児島(志布志)についで第3の故郷である、島根県益田市でも開店しました。そう、コーヒーを淹れることの楽しさ、あるがままの自分でいることの大切さを教えてくれたこの町で。
喫茶たまゆら、今は固定の場所はありません。
でもいつか、喫茶たまゆらとして、どこかにお店を構えてみたいという気持ちも心のどこかにあります。
ただ、お店を構える構えないを抜きにして、
どんな場所でも、らしさや個性をさらけだすことができ、安心できる空間であり、いつでもフラットに帰って来れる場所でありたい。
そんな気持ちで、今日も「喫茶たまゆら」でコーヒーを淹れてます。
ぜひ、一度足を運んでいただけたら嬉しいです。