はい
ゆっくり息を吸って
ゆっくり吐く
もう一度
ゆっくり息を吸って
ゆっくり吐く
人生とは何だろう?
私たちはまるで、洞窟から星空を見上げる。
人生を眺めている
私の星座はどこにある
このあと何が起きるのか
人生は、なんと驚きと謎と神秘に満ちていることか。
生きてる間に、その謎を明かすことできようか。
想像したまえ
緑なす広大な海を泳ぐ、船で漕ぐと。
ある時は夜明けの海を進み、ある時は嵐の大海を進むのだ。
ワクワクするような出来事、ひっそりと涙する出来事
たくさん、たくさんあった。
私の心をとらえて離さないものも、引き裂かれるように私の後へ流れていった。
やがて、船は小さな岸辺に辿り着く。
そこを歩いていくと、そこに広がっているのは、フランスのほんとに小さな田舎道だ。
人々は、収穫が終わってホッと一安心しているようだ。
あなたは窓辺からその光景を眺めている。
時代はまだ中世だ。
科学と言う概念は乏しい。
1100年代の中期。
この時代のヨーロッパは「スコラ哲学」と言うものが主流をなし
ものとは何か?人とは何か?
それぞれがそれぞれの立場で論じていた。
なぜそこにあるかではなく、ものとは何か?心とは何か?
その何かが知りたかった。
ただ知って、何か得られるかと言うとそれは違う。
あなたもまた、生き生きとした感性を使って哲学を研究していた。
裕福だった両親が死んで、その遺産がいくつもあった。
そのために、あなたは多少贅沢な暮らしをすることができた。
だが、それも少しずつ底をついていった。
周りの人々は、皆あなたに対してこう言った。
農夫たちは皆、口々にそう言いました。
あなたもそれは知っていました。
あまり気にはしていませんでした。
しかし、やがて、大親友だと思っていた人が、ついにあなたにこう言いました。
得体の知れない研究をしているということで、だんだん友だちが離れていきました。
そのようなわけで、次第にあなたは自分自身に対しても、疑心暗鬼にならざるを得ませんでした。
確かにそうだ。
自分は一体なんの研究をしてるんだろう?
そしてその研究が一体なんの役に立つのか?
友だちは言いました。
今世においても、ただ周りから急かされ、やらざるを得なく仕事をした経験があるかも知れません。
なぜならあなたは、生まれる前は「霊界の思索の空間」に存在し、一年中飽きずに、色々なことを考えることができたからです。
やがて、親戚の人や姉が次々と病に倒れていきました。
当時は食中毒に似た病気が多発し、それで命を落とす人も珍しくはなかったのです。
地方政府は、ついに配給制度を取り入れることを決定しました。
農民たちがせっせと作り出した農産物を、必要に応じて人々に配分すると言うわけです。
皮肉なことに、その仕事をあなたの大の親友が受け持つことになったのです。
ある日、親友が訪ねて来てあなたにこう言いました。
友人は冷たい目であなたを見ました。
その答えは明らかでした。
友人は言いました。
その時ふと、涙が込み上げてきました。
私は生きちゃいけないの
私の居場所はないの
私はそんなに邪魔かしら
私がなんか悪いことした?
私は虫けらかしら
私は生きちゃいけないんですか?
私は犯罪人、それとも邪魔者なの?
初めて仲間外れにされた悔しさが込み上げてきました。
言わば、初めて人生と格闘したと言ったいいでしょう。
生きるか死ぬか?と言うギリギリの選択肢の時、あなたは初めて声をあげました。
友人は驚いた顔であなたを見つめる。
2人は抱きしめ合って泣きました。
2人は大声をあげて泣きました。
徹夜して泣き明かした後で、友人はぽつりとこう言ったのです。
最初はわなわなと怒りが込み上げていましたが、次第に気持ちがおさまってきたんです。
じっと聞いてた友人は、やがて目を輝かせてこう言いました。
友だちはね、あなたの代わりに村人を集めて、声の限りに叫んでこう言ったんです。
考えてみたまえ。
やがてこの国フランスで、自由主義革命が起きて、自由民権の運動が起きて、人々が真の自由を生活信条とするように至った経緯は、この当時の君のような、無数の人間の思索の積み重ねがあったと言うことだ。
実に現代の人間は、一人一人が万能であると思いこんでいる。
万能と言う幻想に取り憑かれているのだ。
そしてあたかも自分が全知全能であるかのように勘違いし、自分と同じようにできない人を徹底的に責める。
それこそが人類の愚かさと言うものなのである。
叡智の神が存在したら、きっとこう言うだろう。
私たちは今、重大な運命の岐路に立たされているのである。
知識や経験が、人を裁くためではなく
人が人と協調し助け合うことのために使われることを
神々は望んでいるのだ。
知識がピークに達し、その一方で環境が破壊され、人が人を責める時代がやってきた。
神がなぜ、人類に知識の木の実を食べることを許したもうたのか。
それは人が人を責めるためではなかった。
我らは再び運命の岐路に立たされている。
アーメンたるもの
宇宙の原理を語りたもうもの
あなたの御前に頭を垂れ
あなたに深く感謝申し上げます。
はい
ゆっくり息を吸って
ゆっくり吐く
もう一度
ゆっくり息を吸って
ゆっくり吐く
ゆっくり眼をあけて