【Art project 2019】さいたま市で開催される「さいたま国際芸術祭2020」の先行プロジェクトは「アートの長距離マラソン」
【さいたま国際芸術祭2020:ライフスタイルにアートを】
さいたま国際芸術祭2020「Art Sightama」では、本芸術祭を「共につくる、参加する」市民参加型の芸術祭とするため、市民が主体となって参加できるプロジェクトを実施しています。(さいたま国際芸術祭2020の会期は2020年3/14-5/17です。)
「Sightama Art Center Project」は、芸術祭の先行プロジェクトとして2019年8月から実施し約70のプログラムを2020年5月まで開催していく、まるで「長距離マラソン」のようなプロジェクト。
「日常賛花―さいたまでアートに参加し・伝え・感じ合う」をテーマに、市民や来場者が、さいたまゆかりのアーティストと共に、アートに親しみ参加するプロジェクトとして今も持久走をしています。
どうしてそのようなプロジェクトが生まれたのか?
「さいたま国際芸術祭2020」の前には、「さいたまトリエンナーレ2016」が開催されました。
さいたま市には平成24年4月1日に施行された、「さいたま市文化芸術都市創造条例」があります。
●さいたま国際芸術祭基本構想
https://www.city.saitama.jp/…/p059…/fil/kihonkoso_honbun.pdf
この条例は、「生き生きと心豊かに暮らせる文化芸術都市」の創造に向けて、条例に基づく7 つの基本施策を定めるとともに、「文化芸術を活かしたまちの活性化」、「文化芸術都市創造を担う人材の育成」、「さいたま市の魅力ある資源の活用と発信」を3 つの重点プロジェクトとして位置付け、計画期間である今後7 年間において、重点的に取り組む」とされ、その具体的な方策事業として、「さいたまトリエンナーレ2016」が位置づけられました。
●「さいたまトリエンナーレ2016」ホームページ
https://saitamatriennale.jp/
その時のディレクターの芹沢高志さんは、「さいたま市」を「生活都市」と表現し、そのさいたま市を舞台に、アートのための祭典ではなく、市民がアーティストとともに、自分たちの未来を探していく、「市民の想像力の祭典」としたいとトリエンナーレをつくりました。
その中で特に私にとって印象的だったのは、トリエンナーレを「ソフト・アーバニズム」=「柔らかな都市計画」と考え、文化、芸術を核として、まちの営みに創造性を吹き込むための社会的な実験であるという点です。
「やわらかな都市計画」とは従来のハードをつくる都市計画ではなく、前述した「さいたま市文化芸術都市創造条例」にもあるように、文化芸術の持つ、「自分や他者の再発見、多様性の認識と共有、異なる文化への理解や協働などを生み出す可能性」によってソフト、精神的なインフラを都市計画として捉えるというチャレンジングな試みであると私は考えています。
その「さいたまトリエンナーレ2016」にSMF(さいたまミューズフォーラム)として参加し、今行っている「Sightama Art Center Project」の原型ともなるプロジェクトを展開し、「さいたま国際芸術祭2020」をつくっています。
●SMF学校(さいたまトリエンナーレ2016)
https://smfartschool.wixsite.com/saitama
この経験で感じたことは、継続的にアートに関わり、ライフスタイルの中でアートに参加する習慣、環境が大事だということ。
そして、「文化を輸入する」のではなく、じっくりと時間をかけて「文化を育てていく」場をつくることが大事だということ。
その経験を今回は、「水曜日・金曜日・土曜日に開催するプログラム」をそれぞれ「深呼吸する水曜日」、「金曜日の芸術学校」、「土曜アートチャレンジ」と名付け、各曜日のコンセプトに応じた幅広いジャンルのアーティストが、ワークショップや演劇などの特色あるプログラムを継続的に展開するプロジェクトをつくりました。
さらに、このプロジェクトをつくるにあたり考えたことは、「芸術祭の会期だけでなく、その前後を考えたプログラムのロードマップをどのように描き実行していくか」
特に「生活都市」であるさいたま市での芸術祭では、日常的にアートに親しむ習慣を養い、培ったスキルを活かした活動を発信するプロセスを経て、芸術祭の会期終了後も継続する、市民による文化芸術活動の場をつくりだすことを目的としたいと考えました。
そこで、2019年8月から2020年5月までの期間を3タームに分け、それぞれのタームにあったプログラムを配置。
2019年8月から10月は「スキルアップ期」。
この期間は、アートの関わり方や知識、楽しみ方を体験できるプログラムを展開。
2019年11月から2020年2月は「アウトプット期」。
この期間は、「スキルアップ期」で体験したことを実践して発信するプログラムを展開。
2020年3月から5月は「おすそ分け期」。
さいたま国際芸術祭2020の開催時期であるこの期間は、これまでのプログラムに参加した体験を、芸術祭に来る方たちへおすそ分けできるプログラムを展開。
この3タームのプログラムに継続して参加することで、段階的にアートを楽しむスキルを高められる構成をデザインしました。
このプロジェクトだけで芸術祭が目指す目標全てを網羅することはもちろんできません。しかし、メインプロジェクトである芸術祭会期中のプログラムとの連携や関わりしろが膨らむプログラムになると考えています。
そして、いよいよ「アウトプット期」の後半が1/8から開催!
1/25からは「アートへ参加する12のヒント」をテーマに、埼玉県やさいたま市でユニークでエネルギッシュなアートの活動(アートアクション)を一堂に集めた
「Sightama Art Action Exhibition 2020」が開催されます。
詳細はコチラ
https://art-sightama.jp/jp/news/uFoQeKPd/
SACP 1月のプログラム
2月には釜ヶ崎芸術大学の上田さんがさいたまでアートプロジェクトを行います。
芸術祭直前!
ぜひ、この記事を読みながら、お手元のスケジュール帳に、あなたのライフスタイルにアートを忍び込ませてみてください。
会場であなたのご参加をお待ちしています。
以下プログラムのアンケートからの抜粋
Q:本イベントでアートへの興味や関心が高まりましたか。
・絵やインスタレーションだけではない、広い意味でのアートを感じられた。
・“アートのかたち”というものを色々な方面から見させてもらってるから。
・日常での出来事がアートになり得ることを学んだから。
・日常では触れることのなかった様々なアーティストの存在を知ることができ、ますます興味が広がった。
Q:本イベントで地域への興味や関心が高まりましたか。
・旧公共施設お活用が素晴らしい。今後のこの図書館がどの様に使われるのか、アート関連で作っていただきたい。
・さいたまという土地だからできたのはスゴイ。
・埼玉も捨てたもんじゃない。
・旧大宮図書館という古いけれども市民の思い出が詰まった公共施設で新しい何かが起きるような気がするから。
・市内のいろいろなところで活動している話を聞いて関心が高まった。
・新たな視点で自分の住んでいる地域を見ることができる。
・アートがじわじわ地域に浸透していると思ったから。
Q:本イベントで印象に残ったことや発見したことをご記入ください。
・さいたま市民の“市民力の高さ”がとてもすごいと思いました。
・アーティストと地域をつなぐコーディネーターがいるとより多くの方々へ地域のよさ(新たなる発見等)を伝えられ、参加してもらえる(当事者になりえる)と思いました。「分からない」からのスタートの重要性を感じました。
Q:本イベントに今後期待することをご記入ください。
・日常の見え方が少し変わっていくようなイベント。
・「さいたま」を素敵な場所にしていくことに共感してくれるアーティストが集うと嬉しいです。
・SACP の活動、それと芸術祭が終わった後の旧大宮図書館の活用方法。
・市民にアートが広がり、ますます身近に感じる人が増えるといいなと思います。
・多くの市民は関心を持っていません。物理的な距離、心理的な距離を縮めることが大切だと思います。
・市民のコミュニティの場としての役割。あまり普段アートに触れる機会のない人への何かきっかけになれば。
●生活都市さいたまで開催しているアートプロジェクト
「Sightama Art Center Project」とは?
https://art-sightama.jp/jp/project/uFoQcn8Z/
https://note.mu/shunya_asami/n/nc443d1b73bb7
●さいたま国際芸術祭2020「Art Sightama」市民プロジェクトがついに始動 芸術祭開催に向けて、アーティストと共にアートを身近に体験できるプログラム「Sightama Art Center Project」が先行スタート!