![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146744405/rectangle_large_type_2_a5d017fd7b831b624a6365dfb39913a0.png?width=1200)
要約「銃・病原菌・鉄(上/下巻)」ジャレド・ダイアモンド|すべての人は「環境」に適応する
4冊目に紹介するのは、世界的名著「銃・病原菌・鉄」。
「なぜ現代のような国家間格差が生まれたか?」
本書ではこの問いに答えを出します。
このnoteでは、本書から学んだ「人間の本質」を紹介していきます。
■本書のまとめ
人種による「優劣」は存在しない
「銃・病原菌・鉄」が世界の勢力を一変させた
人類は「環境」に適応する
それでは本書の内容を紹介していきます。
「銃・病原菌・鉄」が世界の勢力を一変させた
いきなり冒頭の問いに答えますが、
現代世界の構図になった直接的要因は「銃・病原菌・鉄」にあります。
鉄は食糧生産の効率を高め、人口を増加、国力を増強させた。
また銃は、刀や剣を圧倒した。
そして病原菌はそれらの武器を圧倒した。
ここで新たな問いが立てられます。
「鉄や銃が作られた地域と、そうでない地域の違いはなぜ生まれたのか」
「病原菌に苦しんだ国と、そうでない国の違いはなぜ生まれたのか」
ここが本書のポイントです。
世界を一変させた「銃・病原菌・鉄」はいかに生まれたか
この問いに対する答えを紹介していきます。
「定住生活」を始めたことが起源
最も究極的な要因としては「定住生活」があげられます。
現代でも狩猟生活を営む民族があるように、
すべての民族が「定住生活」を営むわけではありません。
▼「定住生活」が始まった地域の特徴
地域に「栽培可能な食物・飼育可能な家畜」が存在していた
近隣地域からそれらが伝わりやすかった
こうした地域では、狩猟・採取をするよりも、定住し食物を栽培した方が効率が良かったのです。
生産される食糧が増えた分、人口も増え、社会が階層化されていきました。
「階層社会」が技術・文字の発達を生んだ
階層化された社会では、各々に仕事が与えられます。
食糧生産する人、武力を持って食糧を守る人、技術を開発する人、村を統治する人。
階層社会の中で生まれた「技術・文字」は、生産効率を上げ、また軍事力を上げ、さらなる人口増加・社会の階層化、技術の発達につながりました。
さらに「優れた先駆者・後継者」が優れた発明を生んだ
「優れた発明」には、必ず優れた先駆者と後継者が存在します。
発明とは、0→1で生まれることがほとんどだと思われがちですが、歴史的には0→1を生んだ先駆者と、5→10にした後継者、1→5にした発明者がいる、ということです。
病原菌は「家畜」から人間に感染した
病原菌は家畜から人間へ感染、そして人間が免疫を獲得し収束します。
そのため古くから家畜を飼育している部族は免疫を獲得していますが、そうでない部族は免疫を持っていません。
免疫を持つ部族から持たない部族へ病原菌が伝わり、猛威をふるいました。
免疫を獲得した部族が有利だったのです。
「争いが少ない」地域は技術発展をやめた
本書では「なぜ大航海時代を制したのが中国ではなく西洋なのか」という問いがあります。
中国は自ら外洋航海を禁止し、造船をしませんでした。
中国と西洋の差は何か。
それは「争いの多さ」でした。
当時の西洋は隣国同士の軍事力が均衡し、争いが多かった一方、中国は一国を統一し平和・安定を目指している最中。
隣国より抜きん出たい西洋と、国内を安定させたい中国で差がつくのは当然のことです。
また江戸時代の日本でも同じようなことが言えます。
戦国時代には世界で有数の鉄砲保有国でしたが、江戸時代になり日本が統一されると軍事力は衰えていきました。
このように「争いの多さ」は技術の発展、または衰退に影響したのです。
【本書の教訓】すべての人は環境に適応する
本書から得られる教訓は、数多くあると思います。
私が最も重要だと思うのは「すべての人は環境に適応する」です。
この意味は次のとおりです。
人格や知識、スキルがある人も、反対にそうでない人も、環境によって進化・衰退する
それは組織も同じことが言える
人には、選べる環境と選べない環境があります。
そしてネット社会になった今、選べる環境は飛躍的に増えてきています。
それこそ読書をし、先人から学ぶのも良いでしょう。
Xで憧れる人をフォローする、コミュニティに参加するでも良いでしょう。
少しお金をかければ、スクールに通うこともできます。
一方で選べない環境ももちろんあります。人によっても違うでしょう。
私の場合、高校時代からバイトをしてお金を稼がなければならなかったので、人よりも夢に費やせる時間は少なかったかもしれません。
つまり
自分に対しては、常に環境にこだわる。嘆くのではなく、自分にとって良い環境に身を置き続ける。
相手に対しては、「能力不足・努力不足」というレッテルを貼るのではなく、生まれ育ってきた環境に立派に適応した、と敬意を払う。
これらが大事なのではないかと、私は考えました。
「なぜ現代のような国家間格差が生まれたか?」の問いに対し、歴史を遡って答えを出してきましたが、いかがでしたか。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」
本書は最も大局的な歴史を学べる本です。
ボリュームは多いですが、ぜひ腰を据えて読んでみてください。