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さいさんの地方創生 note【探究学習ブームの中で③「アドバイスの罠」】

というわけで、ここからがまた大事なところ。
皆さんは「信用」と「信頼」という二つの言葉の違い(定義)を自分の言葉で説明できるでしょうか?

☆「信用」と「信頼」の違い

僕は、信用は「契約」かそれに類するもの。信頼は契約書がいらない「心」の関係性と定義しています。なので、この視点からは、先生と生徒の関係は「信用」から始まります。生徒にとって「先生」という資格がその信用を担保しているということです。ですので、先生という役割を演じ、生徒という役割を演じている状態には「信頼」関係は存在しないのです。

そして「信頼」は安心、安全な場で、相手が自分に対して肯定的、前向きに接してくれると信じることが出来ている状態と言えます。

心理的安全性の高いチームに共通するのは、
①オープンマインド(話しやすさ)
②良好な関係性(助け合い)
③挑戦的気質(リスクを取れる環境)
④多様性(新しい人の加入を歓迎できる)

です。なので、より早く「信頼」のカケラを受け渡しあい、信用による緊張から脱却すること。信頼をベースにしたよい状態でよい対話が出来ること。
そんな心理的安全性のある環境をいかに確保するか。

まさにこの最初に一歩を創る「技術」が問われていると言えます。

☆持っているつもりで持っていない「スキル」

以前に全国高校生マイプロジェクトに出場した高校生が

「先生が黒板や掲示板に【主体性】と書いたり、貼ったりしたら、そこから主体性がなくなる」

と語りかけていたことがありました。
これは学校に限らず、家庭でも往々にして起こる「正解」らしいものを義務、強制で押し付ける。そして「正解」を実行しなかった方に「非」があるという状態を作る、よくある流れです。こうした上位者による無責任な同調圧力がもたらすものは、
・ハラスメント
・主体性喪失
・全体無責任
・心理的安全性の喪失
・コミュニケーションの希薄化

等々と多岐にわたり、現在の日本の社会課題を生み出している菌床のようにすらなっているともいえるかもしれません。
 
普通に考えれば当たり前ですが「オープンマインドに話そう!」とか「良好な人間関係を育もう!」とか声だけかけて相手や環境が激変するなら誰も苦労はしないわけです。しかし、前記したように多くの上位者(親、教師、上司等)は、意識的無意識的にポジションを利用し、自分は言った、伝えたからOKという免罪符を手にし「やらなかった方の自己責任」と責任回避行動をとってしまうのが実際です。

なので、心理的安全性が生まれないし、目的であった共同体に到達しようがありません。そうなんです。世のほとんどの大人達に欠けているのは、エビデンスに基づいて、個別具体化していく

技術’(スキル)

そのものなのです。しかし、それを持っている、出来ていると思い込んでいるのが実際なわけです。

☆アドバイスは「する側」の自己満足?

そして、もちろんこのスキルは【アドバイス】によって【教える(ティーチング)】ことではありません。

自分がコーチとして、あるいは全国高校生マイプロジェクト等の探究学習におけるファシリテーターとして、またあるいは震災における支援者としてこの10年以上を過ごしてきました。

そして、おそらく数千件からのこうした現象の現場に身をおいてきたと思いますが、そのなかで大人のやらかし実感として得られるのがまさに上記の【出来ているつもり】心理バイアス。これがまず浮かんできます。
 
自分たちが出来ているつもりの人ほど「アドバイス」というツールを使う傾向があり、中高生にあれもこれもといろんなアドバイスをティーチング。そんなシーンはいまだに随所に見られます。

しかし、現実として、大人たち自身がアドバイスの「数」にご満悦な状態である一方で、中高生側には「明日実行できる具体は何一つない」という状態だったりするわけです。

行動に移せなければ変化は生まれませんので、こうした「数」ばかりのアドバイスは選べず、選ばれず、実行されずとなって、むしろ過程や成果への道筋に対してはマイナスでしかなかったりもするわけです(そして残念な大人達はこの残念な状況をSNSや発表等でドヤっていたりもします)。

「相手のため」とドヤっ!ているその裏の心理には「自分が優れている」
と必死に示そうとしている
怪物がいたりします。あるいは役に立つことで幸福感を得よう、存在を示そうとしているかもしれません。

助言というものは、賢者から賢者へ与えられるのでも、危険な贈り物なんじゃ」(グラン・ローヴァ物語)

そんな危険さを内省せず、理解せず、見ようともせずに使われいるのが、上記のような状況です。まさに【出来ているつもり】の落とし穴(実際には時間の無駄でしかないという過酷な事実にもなってしまうのです)による利己的な行動には要注意です。

というわけで、これらの状況を回避し、その「道筋」となる自己認識と他者理解。ここを、次回にやっていきましょう。


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