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(動画あり)正当防衛の境界線
【護身術】を習う上で
「どこまでが正当防衛で、どこからが過剰防衛になるのか」
という疑問を持つことが一度はあるのではないでしょうか。
今回はそんな「正当防衛」と「過剰防衛」について。
過剰防衛にならない範囲を知ることができれば、どこまで反撃していいか迷うことや、過剰防衛を恐れて下手に反撃できないという状況を回避することができるでしょう。
そうすれば身を守れる可能性が高くなります。
では早速解説していきましょう。
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正当防衛
刑法 第36条
第1項
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
第2項
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
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第1項が【正当防衛】、第2項が【過剰防衛】に該当します。
この第1項のポイントは
・急迫不正の侵害かどうか
・自分または他人の権利(生命、身体、財産)を守るためであるか
この2点にあります。
つまりあくまでも「防衛のための行為かどうか」が焦点です。
この「防衛」の枠から出てしまうと過剰防衛となります。
正当防衛となれば罪に問われることはありませんが、過剰防衛となれば減刑されるとはいえ罰せられてしまいます。
しかし場合によっては過剰防衛とすら見做されないことがあります。
正当防衛ー過剰防衛ー通常の法律違反
この3つに分かれるということ。
この境界線を理解することが重要になってきます。
改めて正当防衛は「急迫不正の侵害があること」「防衛の範囲内であること」が条件です。
では何をしたらその範囲を超えてしまうのか。
過剰防衛は以下の二つの視点から判断されます。
・量的過剰
・質的過剰
【量的過剰】
量的過剰とは、最初の反撃で相手の急迫不正の侵害が終了したにもかかわらず、それに気づかず防衛行為を継続した場合に該当します。
最初の一撃で相手は倒れ戦意を喪失していることに気づかず、恐怖のあまり何度も殴り続けた場合などが挙げられます。
「急迫不正の侵害」という状況が終了しているため、正当防衛とは見做されないということです。
最高裁平成21年2月24日の判例では、侵害時の行為と侵害終了後の行為が一連の反撃行為とみなせる場合は、1個の過剰防衛が成立するとなりました。
つまり恐怖から正常な判断が難しく、正当防衛と見なされた最初の反撃と繋がっていて、本人の認識としては「防衛の範囲内」である場合に【量的過剰】となります。
【質的過剰】
質的過剰とは防衛行為が【必要性】と【相当性】の程度を超えている場合のことをいいます。
相手が素手で殴りかかってきたのに対して自分が日本刀やナイフを持ち出す、など相手と自分の攻撃手段が明らかに差がある場合に該当します。
この【必要性】と【相当性】の程度を超えていたかどうかについては、両者の年齢、体格、武器の有無・種類などの具体的な事情を考慮して判断することになります。
例えば20代のプロ格闘家が、70歳の高齢者に対して暴行を振るった際に、命の危険を感じた高齢者が包丁を持ち出した場合には正当防衛になる可能性があります。
これが日本刀だった場合は過剰防衛に該当するかもしれません。
それは担当する裁判官の判断によるため断言することは難しいことではあります。
プロ格闘家が一般人と喧嘩をしてしまった場合、一般人が先に殴ってきたから反撃したとしてもこの【質的過剰】に該当することになるでしょう。
ここまでをまとめると正当防衛は「急迫不正の侵害があり、防衛の範囲内での反撃であること」が条件であり、過剰防衛は【量的過剰】と【質的過剰】に分けられます。
【量的過剰】は正当防衛に該当する反撃を行った後に「急迫不正の侵害」という状況が終了していることに気づかず防衛行為を継続すること
【質的過剰】は侵害に対して「防衛の相当性と必要性を超えている」こと
この違いあります。
ではこの過剰防衛を飛び越えて、通常の法律違反と見做される時はどんな時でしょうか。
それは急迫不正の侵害が終了している(犯人に攻撃の意思がない)ことを明らか認識しているのにも関わらず、積極的に攻撃をした場合です。
これは【事後的復讐】と見做され、過剰防衛になりません。
例えば夜道に襲いかかってきた犯人(男性)に対して防犯スプレーを顔にかけて悶絶させた。
しかしそれでも襲いかかってきたため、突き飛ばして転ばせて、完全に戦意を折るためにで何度も踏みつけたとします。
催涙スプレーの段階で犯人が悶絶し、地面にうずくまったとしたら「急迫不正の侵害」が終了しています。
それに気づかずに攻撃を加えたら量的過剰防衛になります。
加えて相手に攻撃の意思が明らかにないことを認識していながら突き飛ばして踏みつけていたら事後的復讐になります。
しかしここでは催涙スプレーをかけても襲いかかってきているので、「急迫不正の侵害」は継続しています。
そこで突き飛ばして犯人を転ばせました。
ここで犯人の攻撃の意思が継続していれば「急迫不正の侵害」は継続しているため、その後の踏みつけは正当防衛になる可能性が高い。
この踏みつけで相手の攻撃の意思が折れれば正当防衛の範囲内で収まる可能性が高いでしょう。
しかし何度も踏みつけてしまうと、どこで犯人の攻撃の意思がなくなったのかを正確に判断することは難しく量的過剰に該当することになります。
さらに明らかに犯人の攻撃の意思がないと認識しつつ、「徹底的に心を折る!」と攻撃を継続したら事後的復讐になります。
実際に警察署で状況を詳しく聞き、調書を書くときはこれをもっと詳細にしたものを作成していきます。
いかがでしょうか。
「実際に襲われている時にこんなことを冷静に考える余裕なんてあるわけないじゃん」と思いませんか。
私は正直そう思います。
特にいきなり襲われると気が動転し冷静な判断をすることは極めて難しいでしょう。
だから防犯意識、護身意識を高く持つことでそもそも犯罪に巻き込まれないようにしたり、不意打ちを防止し冷静さを失わないようにすることが重要になってきます。
それと冷静に物事を考えるためには犯人と「間合い」を取ることが非常に大切です。
間合いを取ることで周囲の状況もわかりますし、犯人を観察することができて、どう対処するかを考える時間を生み出すことができます。
不意打ちを受けて腕を掴まれたりして気が動転し、冷静に考えることができなくなってしまったら何とか犯人の手を引き離して逃げて距離をとります。
これは身体に染み付いた技が咄嗟に現れるような段階なので日々の訓練も非常に大事です。
不意打ちを防ぎ、犯人と間合いが取れば冷静に物事を考える余裕が生まれ、どう対処することがいいのかを考え、実際の行動に移すことができます。
結構ハードル高いですよね。
だから護身術は階層構造の最後にしています。
護身術を軽視しているのではなく、身体が反射的に動くレベルの技を一個でも身につけないと実際に襲われると気が動転してしまい咄嗟に身を守ることができません。
それを身につけるまでの期間を無防備で過ごすわけにもいかないため、防犯意識・護身意識をしっかり持って犯罪にそもそも巻き込まれないようにすることの比重を重くした方がいいと私は考えています。
では。
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