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第97回アカデミー賞 受賞予想!
作品賞
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◎ANORA アノーラ
○教皇選挙
ブルータリスト
ニッケル・ボーイズ
ウィキッド ふたりの魔女
アイム・スティル・ヒア
エミリア・ペレス
サブスタンス
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
デューン 砂の惑星 PART2
『デューン2』は三部作の二作目、『ウィキッド』は二部作の一作目であり今回の受賞はないでしょう。『エミリア・ペレス』は例のスキャンダルの影響で完全に失速、『アイム・スティル・ヒア』はサプライズ候補であることからこちらもない。『ニッケル・ボーイズ』は二部門のみの候補に留まり作品が小さすぎることからこちらもない。『サブスタンス』はホラー映画であることから投票を躊躇する会員も多いはず。
となると残る4作品『アノーラ』『教皇選挙』『ブルータリスト』『名もなき者』の中から勝者が決まるでしょう。『アノーラ』はこのところ盛り返してきてPGAを受賞したこと、『教皇選挙』はSAGのキャスト賞を受賞したこと、『ブルータリスト』はゴールデングローブ賞を受賞したこと、『名もなき者』は順調にBUZZも伸ばしておりオスカー好みの伝記映画であることがそれぞれ強みです。
『教皇選挙』が怖いところではありますがやはり直近のPGAを制した『アノーラ』が作品賞、と予想しておきます。
監督賞
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◎ショーン・ベイカー『ANORA アノーラ』
○ブラディ・コーベット『ブルータリスト』
コラリー・ファルジャ『サブスタンス』
ジェームズ・マンゴールド『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
ジャック・オーディアール『エミリア・ペレス』
『エミリア・ペレス』ジャック・オーディアールは作品の失速、『サブスタンス』コラリー・ファルジャはギリギリのノミネートであることから受賞はないでしょう。
全員がファーストノミネーションというこの部門、唯一ハリウッドで知名度があるのは『名もなき者』ジェームズ・マンゴールドですが前哨戦でほぼとれておらず厳しいでしょう。
そうなると『アノーラ』ショーン・ベイカー、『ブルータリスト』ブラディ・コーベットの一騎打ちが想定されます。このところPGAやDGAを受賞し勢いをつけてきているのはショーン・ベイカー、ということでここではショーン・ベイカーと予想します。
主演男優賞
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◎ティモシー・シャラメ『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
○エイドリアン・ブロディ『ブルータリスト』
コールマン・ドミンゴ『シンシン/SING SING』
セバスチャン・スタン『アプレンティス : ドナルド・トランプの創り方』
レイフ・ファインズ『教皇選挙』
ここは『名もなき者』ティモシー・シャラメと『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディの一騎打ち、組合賞がシャラメにいったことを考えるとシャラメが一歩リードとみます。あと個人的にシャラメのファンでもあるのでとってほしい。
『シンシン』コールマン・ドミンゴは作品パワーが弱いこと、『アプレンティス』セバスチャン・スタンはそもそもサプライズ候補であることから受賞はないでしょう。
怖いのは『教皇選挙』レイフ・ファインズ、言わずとしれた演技派でありながら受賞経験はゼロ、功労賞的な票が集まってもおかしくないはずです。シャラメとブロディで票が割れたときに上がってくるのはファインズな気がします。
主演女優賞
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◎デミ・ムーア『サブスタンス』
○フェルナンダ・トーレス『アイム・スティル・ヒア』
マイキー・マディソン『ANORA アノーラ』
シンシア・エリヴォ『ウィキッド ふたりの魔女』
カーラ・ソフィア・ガスコン『エミリア・ペレス』
ホラー映画という障害をはねのけ前哨戦を突っ走った『サブスタンス』デミ・ムーアがこのままいくと予想します。
まず『エミリア・ペレス』カーラ・ソフィア・ガスコンは例のスキャンダルの影響でまず可能性はゼロ、『ウィキッド』シンシア・エリヴォはグランデの方に票がいくことを考えると支持は期待できません。
『ANORA アノーラ』マイキー・マディソンは知名度不足が気になりますが作品自体に勢いがあることを考えると受賞はあり得るかもしれません。また、ゴールデングローブ賞をサプライズ受賞した『アイム・スティル・ヒア』フェルナンダ・トーレスは作品支持の票がここに入る可能性もあり油断が出来ません。
ホラー映画でこの部門を制することになればおそらく『ミザリー』キャシー・ベイツ以来の快挙でしょう。各所でみせた感動的なスピーチもいい影響を及ぼすはず。とってほしい。
助演男優賞
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◎キーラン・カルキン『リアル・ペイン 心の旅』
○エドワード・ノートン『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
ガイ・ピアース『ブルータリスト』
ジェレミー・ストロング『アプレンティス : ドナルド・トランプの創り方』
ユラ・ボリソフ『ANORA アノーラ』
前哨戦結果から考えてここは『リアル・ペイン』キーラン・カルキンにしかなりようがない。個人的には貫禄のある演技をみせて今まで受賞経験のない『名もなき者』エドワード・ノートンか文字通りの怪演をみせた『アプレンティス』ジェレミー・ストロングにいってほしいのですが難しいでしょうね。
助演女優賞
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◎ゾーイ・サルダナ『エミリア・ペレス』
○アリアナ・グランデ『ウィキッド ふたりの魔女』
イザベラ・ロッセリーニ『教皇選挙』
モニカ・バルバロ『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
フェリシティ・ジョーンズ『ブルータリスト』
受賞の可能性がないのは『名もなき者』モニカ・バルバロ、『ブルータリスト』フェリシティ・ジョーンズです。バルバロは知名度不足、ジョーンズはサプライズ候補であることからです。
現時点でのフロントランナーは『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナですがガスコンのスキャンダルに巻き込まれる形で失速しつつあるか…その場合前評判も高かった『ウィキッド』アリアナ・グランデ、功労賞の意味合いも強い『教皇選挙』イザベラ・ロッセリーニに票が流れこむかもしれません。でもやはりサルダナが強いと予想します。
脚本賞
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◎ANORA アノーラ
○リアル・ペイン 心の旅
ブルータリスト
サブスタンス
セプテンバー5
ここはハリウッドへの貢献度が低くても寛容な部門、前哨戦結果から見ても『アノーラ』とみるのが妥当でしょう。ただ『リアル・ペイン』も猛追しており逆転受賞もあり得る気がします。
脚色賞
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◎教皇選挙
○ニッケル・ボーイズ
エミリア・ペレス
シンシン/SING SING
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
ダントツで批評家賞をとっているのは『教皇選挙』、このままいくでしょう。個人的には『ニッケル・ボーイズ』がとてもよかったのでとってほしいのですがノミネート数の少なさを考えると難しいでしょう。
編集賞
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◎ANORA アノーラ
○教皇選挙
ブルータリスト
エミリア・ペレス
ウィキッド ふたりの魔女
ここは作品賞とセットで考えるべきなので作品賞をとるのが『アノーラ』とするとそうするしかありません。組合賞はオスカー後なので参考にしようがありません。
撮影賞
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◎ブルータリスト
○Maria
ノスフェラトゥ
エミリア・ペレス
デューン 砂の惑星 PART2
『ニッケル・ボーイズ』が落ちたことが多いに嘆かれたこの部門、批評家賞では『ブルータリスト』と『ノスフェラトゥ』が争っている状況でした。しかし組合賞はなんと『Maria』にいくという大波乱。それでも作品パワーを考えると『ブルータリスト』とするのが順当でしょう。
美術賞
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◎ウィキッド ふたりの魔女
○デューン 砂の惑星 PART2
ノスフェラトゥ
教皇選挙
ブルータリスト
批評家賞では拮抗していたこの部門、組合賞は『ウィキッド』『ノスフェラトゥ』『教皇選挙』が分け合いました。作品パワーを考えるとやっぱり『ウィキッド』になるでしょうか。
衣装デザイン賞
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◎ウィキッド ふたりの魔女
○ノスフェラトゥ
教皇選挙
名もなき者/A Complete Unknown
グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声
組合賞は『ウィキッド』『ノスフェラトゥ』『教皇選挙』にいきました。とすると批評家賞で圧勝した『ウィキッド』で決まりでしょう。個人的には『グラディエーターⅡ』の衣装がよかったのでサプライズを期待しているのですが…
作曲賞
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◎ウィキッド ふたりの魔女
○ブルータリスト
教皇選挙
野生の島のロズ
エミリア・ペレス
組合賞は『名もなき者』と『ウィキッド』にいきましたが、『名もなき者』はノミネートから外れてしまったので『ウィキッド』という予想です。前哨戦結果からすると『ブルータリスト』なのでここに票が集まってもおかしくないでしょう。
音響賞
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◎デューン 砂の惑星 PART2
○名もなき者/A Complete Unknown
エミリア・ペレス
ウィキッド ふたりの魔女
野生の島のロズ
『デューン』が技術系の賞をかっさらっていくかな、と思いきや組合賞は『名もなき者』にいきました。音楽ものは当然音に強いはず、ですが流石にここは『デューン』かな、という予想です。
メイクアップ&ヘアスタイリング賞
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◎サブスタンス
○ウィキッド ふたりの魔女
ノスフェラトゥ
エミリア・ペレス
A Different Man
組合賞は『サブスタンス』と『ウィキッド』で分け合いました。ただ、よりメイクの力を感じるのは『サブスタンス』のはず。大穴で『ノスフェラトゥ』がきたら面白そうですが…
歌曲賞
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◎「El Mal」『エミリア・ペレス』
○「The Journey」『6888郵便大隊』
「Mi Camino」『エミリア・ペレス』
「Like a Bird」『シンシン/SING SING』
「Never Too Late」『エルトン・ジョン : Never Too Late』
ここは絶対的本命がいない印象。ちょっと地味ですね。前哨戦からすると『エミリア・ペレス』のどちらかが受賞と予想します。対抗はダイアン・ウォーレン作曲の「The Journey」でしょうか。功労賞をかき集める可能性があります。
視覚効果賞
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◎デューン 砂の惑星 PART2
○ウィキッド ふたりの魔女
エイリアン : ロムルス
猿の惑星 キングダム
BETTER MAN/ベター・マン
組合賞は『デューン』の勝利、このまま行くでしょう。ただ、勢いのある『ウィキッド』が追い上げている印象。まぁただ受賞はないかな。
国際長編映画賞
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◎エミリア・ペレス(フランス)
○I'm Still Here(ブラジル)
聖なるイチジクの種(ドイツ)
ガール・ウィズ・ニードル(デンマーク)
Flow(ラトヴィア)
当初は『エミリア・ペレス』一強に見えましたが、カーラ・ソフィア・ガスコンのスキャンダルにより『I'm Still Here』が追い上げ中。作品賞に入ったのも大きいです。逆転受賞もあり得なくはないと思います。
長編ドキュメンタリー映画賞
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◎ノー・アザー・ランド 故郷は他にない
○Soundtrack to a Coup d'Etat
Black Box Diaries
Porcelain War
SUGARCANE シュガーケイン
前哨戦からして『ノー・アザー・ランド』一強。他には考えられませんが、音楽ものが強いこの部門の特性を考えると『Soundtrack to a Coup d'Etat』が対抗と予想します。
長編アニメーション映画賞
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◎野生の島のロズ
○Flow
インサイド・ヘッド2
ウォレスとグルミット 仕返しなんかコワくない!
かたつむりのメモワール
前哨戦では拮抗していた『野生の島のロズ』と『Flow』ですが、大ヒットしたのは『野生の島のロズ』なので強いはず。
短編実写映画賞
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◎私は人間
○The Man Who Could Not Remain Silent
アヌジャ
A Lien
The Last Ranger
面白さだけで見るなら『私は人間』かなと思います。『The Last Ranger』だけ観られていないので未知数ですが、対抗は『The Man Who Could Not Remain Silent』にしてみました。
短編ドキュメンタリー映画賞
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◎Instruments of a Beating Heart
○Incident
ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風
Death by Numbers
I Am Ready, Warden
ここは日本勢の健闘を祈って『Instruments of a Beating Heart』と予想。実際よく出来た作品で視聴回数も多く、ということは多くの人が見ているはず。
この中では『Death by Numbers』だけ見られていませんが、人種差別の問題を扱った『Incident』もなかなかユニークでよかったので対抗にしました。
短編アニメーション映画賞
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◎イトスギの影の中で
○美しき男たち
あめだま
フシギなフラつき
Yuck!
ここは前哨戦もなにもないので好みで決めました。今年の短編映画でダントツで好きだったのが『イトスギの影の中で』です。