アメリカ企業でCOO(最高執行責任者)が激減した理由
かつて、アメリカ企業においてCEO(最高経営責任者)の右腕といえばCOO(最高執行責任者)でした。ところが、近年アメリカの大企業ではCOOというポジションの廃止が進んでいます。
USA Todayの調査によれば、アメリカを代表する企業のうち、COO職を設置している企業の割合が、2000年の48%から2013年には35%に減少しました。COOというポジションが急速に消失しつつあるわけです。
CEOの右腕はCOOからCFOに
COOに代わって重要度を増しているのがCFO(最高財務責任者)です。
従来のCOOの役割の多くがCFOに移管されており、なかにはCFOO(Chief Financial and Operating Officer)を設置する企業も出てきているほどです。
日本における代表的なCFOといえば、エーザイの柳氏です。同社は売上高の4割を占める主力製品の特許切れ(パテントクリフ)問題を乗り越え、2020年3月期に13期ぶりの最高益を達成しました。
ではなぜ、CFO職の重要度が増しているのでしょうか。
最大500万ドルの罰金?
アメリカでCFOの存在感が増している背景には、2002年に成立したSOX法があります。アメリカの上場企業は、SEC(米国証券取引委員会)に年次報告書などの様々な書類を提出する必要があります。
SOX法によれば、そうした提出書類の内容に「虚偽や重大な記載漏れがないこと」を保証する署名をCEOとCFOが行うことが求められます。
もし、虚偽報告等において「故意の違反」があった場合には、最高20年の禁固刑または罰金500万ドルが課せられます。
つまり、SOX法の成立により、CEOとCFOは一蓮托生の関係になったわけです。その結果として、COOからCFOへ経営の重心が移ってきているのです。
今回は以上です。