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「Live Free or Die」ナンバープレートと「巌(いわお)の顔」


1.ニューハンプシャー州のナンバープレート

昨日の投稿記事で、米国ニューハンプシャー州の自動車ナンバープレートに書かれた州の公式標語について書きました。

やはりこれは実物写真をアップしておいた方がいいだろう、と思い、個人アーカイブから探し出しました。

州のナンバープレートで特徴的なのは、上部の標語「LIVE FREE OR DIE」中央にある人の横顔のような岩

2.標語「LIVE FREE OR DIE」の起源とそこからの連想

上部の標語「LIVE FREE OR DIE」は、もともとはアメリカ独立戦争においてニューハンプシャーで最も著名な戦士であるジョン・スターク将軍の戦後かなり経ってからの言葉だそうです。植民地に重税を課していたイギリスから《自由》を得るために戦った精神スピリットを忘れない、ということでしょうか。
ただし、これはスターク将軍のオリジナルではなく、フランス語「Vivre Libre ou Mourir」は既にフランス革命の有名な標語であり、さらにその元になったのは、アメリカ独立戦争勃発の直前に、パトリック・ヘンリーが、ヴァージニア植民地で行ったスピーチだったそうです。

「鎖と奴隷制の料金で買われた身として、生きることはそんなに大切か、平和はそんなに素敵なことか?全能の神よ、禁じてください!他の者がどのような道を取るか私にはわかりませんが、自分のとる道はわかっています。私に自由をください、さもなくば死なせてください!

Live Free or Die - Wikipedia

これは、現在、ロシアからの自由を求めて戦うウクライナ軍の精神スピリットにも通じるものがあります。
ウクライナを支援する欧米2強のうち、イギリスは当時、その土地は自らの所有物だと抑圧する(ロシアの)側、アメリカは自由を求めて戦う(ウクライナの)側だったわけですね。

高校時代、日本史の時間に隣席の友人がポツリと言ったことを想い出す:
「日本は敗戦によって、海外派兵や侵略戦争に対する反省をしたわけだけど、イギリスのように勝ち続けている国って、過去の植民地政策や抑圧政策をどう結論付けているんだろうか?」

3.もうひとつの象徴:謎の岩?顔?

この「LIVE FREE OR DIE」はニューハンプシャー州の25セントコインにも刻まれている:

ニューハンプシャー州の25セント硬貨

アメリカには「50州25セント硬貨(State Quarters)プログラム」で発行された50種類の流通コインがあり、熱心な収集家もいます。
各州の特徴がデザインされており、NH州のコインでこの標語「LIVE FREE OR DIE」以上に目立つのが、
謎の顔?岩?
そして、Again、謎の言葉:
「OLD MAN OF THE MOUNTAIN」

この「OLD MAN」は、実はナンバープレートにも描かれています:

ナンバープレートの中央部を拡大

これは、州内の山にある、老人の横顔に見える氷河期に作られた巨大な岩棚(高さ12m、幅7.6m)で、NH州のシンボルになっています(いました、と言うべきか?)。

残念ながら、突き出したこの《顔》部分は2003年に崩落しました。

かの地に住む友人がこの《顔》が見られる場所に連れて行ってくれたのはこの崩落後だったため、私が撮った写真(↓)に《顔》はありません。

この「崩壊」は、州民のプライドにとってかなりショックだったかも……。

4.日本の小学校国語教科書に載っていた「いわおの顔」

この「岩の顔」はナサニエル・ホーソーンによる小説「The Great Stone Face」のモデルになっています。

実は、私と同じ年代の日本人の多くが、この話を読んだ経験があります。それは、小学校6年生の教科書の最後に掲載された話:
いわおの顔」
です。
ざっくりとしたストーリーは:

ある少年がいつも岩山を見て育つ。
その起伏は人の顔に見える。
その渓谷には、岩にまつわる伝説が語り継がれていた。
《いつの日かこの渓谷で生まれた子が、すばらしい偉人となり戻ってくる。そしてその顔は岩とそっくりだという》
やがて、その少年自身が老人になってふるさとに帰った時、村人たちは、彼の顔こそが巌の顔だったことに気付く。

かつて教科書に載っていた「いわおの顔」のあらすじ

この話は(おそらく小学校生活の最後だったこともあり)今も印象に残っています。
卒業を間近に控えた6年生にこの話を持ってきた教科書作成者の意図を想像します……。

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