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自分を甘やかす方法が分からない
長生きのALS患者は、
自己愛と存在の絶対的肯定によって支えられていた。
これも患者さん達との交友から分かったことだが、
病に冒されて何も出来なくなってもなお自分を大切にできる人は、
弱く衰えた自分でも愛せる自由で柔軟な思考回路の持ち主であった。
――――『逝かない身体』川口有美子 65頁
▼▼▼続けるために自分を甘やかす▼▼▼
最近、いろいろと疲れる出来事があって、
自分を甘やかそうと思っている。
僕のとある友人はセクシャルマイノリティ当事者で、
セクシャルマイノリティのための居場所づくりをしている。
その居場所には多くのカミングアウトできない当事者や、
LGBTを応援する気持ちを表明することができない、
「カミングアウトできないアライ」が集まる。
もちろんカミングアウトした当事者も、
僕のように公にオープンなアライも集まる。
「居場所」という性質上、
カミングアウトできていない人々にとって、
そこは「唯一本当の自分でいられる場所」であり、
そういったシェルターを提供する僕の友人を、
僕は勇者だと考えている。
その彼がこういう意味のことを言っていた。
誹謗中傷の類いに遭うと非常に疲れる。
疲れるだけでなく自分が倒れてしまう。
自分が倒れてしまうと、
この居場所も維持できなくなる。
それだけは避けなければいけないから、
僕は人に「良い評判だけ伝えてください」と頼み、
批判は一切目にしないようにすることで、
自分を甘やかしてるんです。
そうでないと続けられないから、と。
、、、
、、、
ふむ。
これは大切なことだぞ、と僕は思った。
自分を甘やかすことは大切だ。
自分のしていることを維持するために、
無駄に消耗してはならない。
僕はその友人のように「勇者」ではないし、
大義を背負っていると自分では思っているけれど、
それが本当の本当の本当に「義」なのかどうかは、
最後に神様が判断することであって
自分で言うことではない。
アブラハム・リンカーンは、
最後の最後まで「神は北軍の側にいる」
という言葉を敢えて避けた。
「南軍か北軍のどちらに神がいるかは分からない。
自分は北軍の義(奴隷解放)が大切だと思っている。
神の御心は向こう側に行くまでは人間には分からないのだ」と。
僕はそういう節度をとても大切にしたい。
話を戻す。
僕はそういうわけで、
自分の正義に神を利用するようなことはしたくない。
「神はこう言っている」という人を僕は信頼しない。
「神はこう言っていると私は思う」という人を信頼する。
それでも強い使命感と確信があり、
LGBTQアライの発信もしているし、
日々のYouTubeやPodcastの放送、
メルマガの配信、
有料マガジンの記事の更新、
そういった諸々のアウトプットをしている。
「まったくオレの元には届いていないんだが」
という人もあろう。
陣内は会社にも行かずに、
朝から晩までいったい何をしてるんだ。
毎日公園のベンチで浮雲でも眺めているのか?
そう思う人もあろう。
でも、多少なりとも書いたり話したりすることで、
継続的にアウトプットをしたことのある人で、
僕のアウトプットの全容を知る人なら、
それが「かなりの量」であって、
自分で言うのは口幅ったいが、
あまり常人には真似できない量と質だと、
思ってくれるのではないかと僕は思っている。
重ね重ね口幅ったいけれど、
僕はわりと「アウトプットの鬼」なのだ。
そうしてアウトプットした僕のコンテンツに、
毎日の通勤時間を、
毎日のジョギングの時間を、
皿洗いや洗濯物を畳む時間を、
教会に向かう車の運転時間を、
飛行機や新幹線で出張する移動時間を、
仕事の手入力作業のときの情報摂取時間を、
畑での農作業時間を豊かにしてもらっている、
という人に僕はこの数年でちらほら出会うようになった。
陣内さんの放送やメルマガがなくなると困るんですよね。
リップサービスも多分に含まれるだろうが、
その方々は言ってくれた。
そういう「公共性」を、
僕のアウトプットは小さいながらに担うようになった。
僕はそう思っている。
思い込んでいるだけかもしれないが。
だとしたら友人が言うように、
疲れたときは思い切り自分を甘やかし、
低空飛行でも良いから飛び続けることを、
とにかく優先するのが大切なんじゃないかと僕は思った。
墜落しちゃうと次の離陸まで穴を開けることになり、
それが一番良くないことだから。
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