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新研修医1年目に役立つように研修医1年目を振り返りたい

今月をもって研修医1年目が終わるので
振り返ってみようと思います。

この記事は日記的なものではありますが、これから研修医1年目になる方々の参考に多少でもなれば幸いです。また、コロナ禍で生まれた最初の代の研修医ということでちょっと特殊なのかなと。なので一年間の雰囲気を記録しておくのもいいかなとも思うので、そんな話も書こうかと思います。守秘義務に触れない範囲ですが。

(Noteの投稿も久しぶりになってしまいました。寺社仏閣のポテンシャルについての記事を練りに練っているのですが、なかなか完成せず更新が途絶えております。医療と宗教の話もそろそろ書きまとめますね。)

研修が始まるまでの過ごし方について

部活やサークルなど様々なOBGのツテで様々なテキスト類の情報を集めていました。仕事が始まることが不安で「一緒にこの時期にやっておくことありますか!?」と聴きまくっていましたが、「まあそんな勇んでも仕方ないしたくさん遊んだり、医師になった報告をお世話になった人達にしたりして過ごしなさい。仕事はなんとかなるから大丈夫」という声が大半。これはその通りでした。テキスト類の収集はある程度しておいてよかった気もしますが、正直この時期に抗生剤、輸液、栄養の勉強しようとしてもあまり身が入らないし、実際を見ずに勉強を始めるのはあまり効率が良くないようにも思います。あと、「最初は出来ないことばかりで当然だから、仕事に行って帰ってきたら合格」という言葉には随分救われました。どうせガチガチに緊張するのでそのくらいのつもりでいいのかもしれません。

研修にあたって意識していたこと

◆常に誰に対しても丁寧に接するよう努める。
◆出来ないことは聴く、一人で抱えない。
◆チームが円滑に回るように意識する
◆報告、相談の質を高めることに頭を使う

◆常に誰に対しても丁寧に接するよう努める。
 これは基本にして最重要といってもいいでしょう。私も完璧に出来ているとは到底思えないですし、あまり気さくなコミュニケーションってやつは得意ではないのですが、仕事上で関わる他のスタッフさん、患者さんに対して丁寧に接するよう意識はしています。理由はシンプルで、感じの良くない人と一緒に仕事をすると自分がめちゃくちゃ消耗するからです。
 手技や医学的知識はもちろん大切ですが、取次や報告、相談が職務の大半を占めるため、他のスタッフとの協力体制は必須です。したがって、円滑にコミュニケーション出来る事が一番です。うまく看護師さんや上級医、薬剤師さん達と仲良くなっている同期を見掛けてはは凄いなぁーと感心するばかりです。
 もはや仕事というより、人としてといった話ではありますが、挨拶、ありがとう、ごめんなさいはしっかり伝えるように意識しています。とにかく、色んな方に助けてもらって、教えてもらって仕事を覚えていくので、お世話になりっぱなしです。知らない間にサポートしてもらっていたり、仕事を増やしてしまうような事もままあります。挨拶、感謝、謝罪くらいはちゃんと出来るようにしたいところです。

◆出来ないことは聴く、一人で抱えない。
 研修医は学生以上医師未満なんてキャッチフレーズがありましたが、最初はほんと何も出来ません。どこに何があるのか、どんな手順で行うのか、実務面はやってみないとわからないことばかりでした。そこで勝手にやる、想像でやると大抵間違います。病棟はみんなそれぞれの仕事で忙しそうなので聴くのも憚られるのですが、かといって慣れてない人の自己判断ほど危険なものはありません。なるべく邪魔しないように、タイミングをうかがって周囲に助けを求めていました。

◆チームが円滑に回るように意識する
 大病院だったのでチームに配属される事がほとんどでした。なので、チームが円滑にまわるように、各部署とのやりとりがスムーズになるように工夫を凝らして、頭を使っていたつもりです。ですが、上級医のスピード感には基本的に敵いません。やろうと思ったことは既に整っていることもしばしば。予測して出来ることをしておく、出来ることを探すよう意識していました。上級医達がやったこともやり方を伺っておいた方が良かったです。チームの上級医が外勤や外来などで自分一人になった時、やり方がわからないと捌ききれません。上級医がやっていた事で自分が出来ることは自分がしておく、雑務っぽいことでも自分で捌けるものは極力自分で捌いておく。すると、結果上級医のタスクに余裕が出来れば指導してもらえる時間も増えますし、チームの雰囲気も余裕があれば良くなります。

◆報告、相談の質を高めることに頭を使う
 RIMEモデルというものを先輩から教わりました。RIMEモデルとは、研修医の発達段階の考え方の1つで、R:Reporter、I:Interpreter、M:Manager、E:Educatorの頭文字を取ったものです。※1
 カルテの型でいうと、SOAPのまずはSOがしっかりかける、情報を正しく報告できる段階をReporter、SOをもとにAまでしっかり考えて提案出来る段階がInterpreter、自分で考えたAをもとに適切にPlanを考え、行動できるのがManager、自分の行動原理を人に教えられるのがEducatorとなります。正直なところ、優秀なReporterは最初の段階にして非常にハードルが高いです。
 質の高い報告を、報告のタイミング、情報の過不足なく伝えられる、記載できるのが理想ですが、なかなか未だに自信は持てません。また、Rに当たる状況の報告は看護師さんからいただくこともしばしばなので、Rだけに留まるとただの取次になってしまうので、しっかり解釈、Interpreterとして上級医に報告出来るよう努めています。が、これも非常に難しいです。間違っていることも多いです。これに関しては、プレゼンテーション、報告、相談を繰り返してTry & Errorを繰り返して洗練していくしかないかな…

研修医1年目で買ってよかった書籍

以下の4冊が必須にしてこれだけあれば十分だと考えています。

①今日の治療薬アプリ
②内科レジデントの鉄則
③総合内科病棟マニュアル
④ジェネラリストのための内科外来マニュアル

この4冊で内科一般、病棟業務は基本的には完結します。最新の知見に関しては、Up to dateや論文を検索する必要はあります。マイナー科や小児科、産婦人科などはそれぞれその科のゴールデンスタンダードになっている本が大体あるので、それらはローテーションしている間だけ、図書館などで借りるか、友人とシェアするなどで十分かと。以下、それぞれの本の紹介です。

①今日の治療薬アプリ
 毎日使います。Amazonのモノは紙媒体でこれは病棟に大抵あります。こちらはアプリが圧倒的に便利です。医書.jpは検索も出来るし、オフラインでも使えるので重宝します。知らない薬に出会った時、処方を頼まれた時、用法用量だけでなく、禁忌、腎機能障害ある場合の減量など調べる時に使います。薬剤の機序や概略のまとめなどもあって勉強にも使えます。


②内科レジデントの鉄則
 2年間掛けて何周も読み込んでこの一冊の内容を熟知していれば合格点、なんならデキレジなんて言われる一冊。良書中の良書。後述しますが、このテキストに沿って、YOUTUBEで解説動画をアップしてくださっている先生がいて、僕はその動画を見ることでなんとか1周読めました。1人でコツコツ勉強として読んでいくのはちょっと辛かった…。当直など必要な時に必要な項目を検索して読むような形でも大活躍します。当直の際何度もお世話になりました。書き込んで自分だけの鉄則をつくっているレジデントも多いと聴くのでこれは紙媒体で持っていても良いかもしれません。


③総合内科病棟マニュアル
 鉄則では細か過ぎて載っていないような疾患や症候はこちらを利用して調べていました。身体診察や検査所見から、鑑別疾患の考え方、治療の流れまでの臨床経過の流れがイメージしやすい構成になっているため非常にわかりやすく、使いやすいです。診療アルゴリズムがあるのが大きい。検査の見落としも防げるし、具体的な薬剤の用量などの記載もあり、鉄則+病棟マニュアルでほぼ困ることはありません。


④ジェネラリストのための内科外来マニュアル
 救急外来で活躍したのはこの一冊。主訴別に鑑別疾患、それらの診断アプローチがまとまっている。慣れるまでは、救急外来で予診で聴いた主訴の項目を読んでよくある疾患、見逃してはいけない疾患のチェック、必要な問診や身体診察をチェックしてから診察に当たるようにしていました。自力で考えるトレーニングも必要ですが、どうしても見落としや知識のムラはあるので、ある程度慣れても、鑑別疾患などはチェックするようにしていました。病棟の急変時に鑑別疾患を考える時にも使えます。

電子書籍がいいか、紙媒体が良いか?

電子書籍が良いか、紙媒体が良いかの議論は耐えないですが、私は下記の書籍はisho.jpで買いました。スマホに入れられること、オフラインでも検索が出来る利点が病棟ではかなり大きいです。鉄則に関しては、持ち歩くよりは、書き込んだり、研修医室で勉強する時に利用することも多いので、紙もありだと思います。当直中に確認することもあるので、やっぱり私は電子書籍派ではありますが…

研修医1年目でやってよかったこと

◆患者さんと接する時間を長くもつよう努める
◆わからないことはとにかく聴く/質問を用意する
◆知らない薬を処方する時は必ず今日の治療でチェックする
◆健康維持のための習慣づくり


◆患者さんと接する時間を長くもつよう努める
 ほとんどの場合、チームで一番暇な医師は研修医です。ベットサイドに一番時間がさけるのが研修医なので、患者さんとお話する時間を極力長く持つようにしていました。患者さんへの病状説明や身体診察などは勉強になりますし、雑談は雑談で楽しいです。上記のRIMEとも重複しますが、患者さんに関する情報収集の質が高ければ、上級医も追加聴取の必要が減ります。患者さんにマメに会っておくと、体調の変化にも気づきやすく急変前に対応出来ます。患者さんが多い場合、自分ひとりで患者さん全員分丁寧に話を聴くのは難しい時もあるので、看護師さんから患者さんの様子を伺うこともあります。患者さんに一番近くで接しているのは、看護師さんなので看護師さんと相談するのはとても大切です。雑談する上では、持っている手札はすべて使いました。ヨガのこと、ハンドパンのこと、旅の経験、患者さんとの共通点、話題になりそうなら何でも話します。やはりそういう意味では、会話の引き出しは多いにこしたことはないなと。

◆わからないことはとにかく聴く/質問を用意する
 疾患や治療薬など学術的なことはある程度調べてから上級医に聴くのが礼儀だとは思いますが、実務の部分などは聴いてしまった方が早い場合も多いです。経験年数が近い先生に声を掛けて教えてもらっていました。
 チームでのまとめの時間などの前に、質問を用意するようにしていました。プレゼンテーションすることを想定して、何故使っているかわからない治療薬やよくわからない検査所見などを洗い出しておいて、聴けるタイミングで聴くような感じです。教科書的な知識として名前は知っていても、実際にどうするのか、治療や検査ひとつとっても実際にやる流れはわからないものです。
 また、上級医から教わったことは、同期にシェアするような事もやってよかったです。他の同期の学びもシェアしてもらうのもいいですし、教えることで自分の定着度もあがります。失敗談などは特に大事だったように思います。


◆知らない薬を処方する時は必ず今日の治療でチェックする
 既に処方されている処方を継続したり、看護師さんから処方を頼まれたり、自分で考えることなく漫然と処方する瞬間は多々あります。そういう時に、今日の治療で用法用量、禁忌など確認する習慣に何度も危ないところを助けられました。直近の検査での腎機能や肝機能のチェック、禁忌になるような疾患がないかのカルテチェックも地味ですが本当に大事です。頼まれた処方だけど、腎機能めっちゃ悪くて使えないじゃん!!!とか、血圧低いけど本当に処方して大丈夫かな?とか、1ステップ自分で考えるかどうかで失敗が防げます。


◆健康維持のための習慣づくり
 新型コロナウイルスの影響もあり、一年間体調を崩す訳にはいかない緊張感がありました。コロナ関係なく、一ヶ月単位で職場が一転するのはかなりのストレスなので、疲れも溜まります。当直や夜勤シフトなども身体には負担です。そんな生活の中でも体調を崩さないようなルーティンを習慣化していたのは、よかったように思います。具体的には、以下のような感じです。

1.朝起きたら白湯を一杯のむ
2.軽くヨガ(ストレッチ)してから出勤
3.食事は抜かない
4.夕食前に筋トレ
5.シャワーだけでなくお湯に浸かる
6.お風呂後にストレッチ
7.合間の時間で瞑想
8.週末など時間がある時はランニングなど運動
9.仕事を忘れて、趣味に没頭する時間もつくる
10.睡眠時間は7時間以上確保
11.無理してきつさを感じたら週末は寝まくる


この手のライフハックは様々な方がまとめていたり紹介しているので、そちらに詳細は譲ります。
 あとは、自分が疲れた時のサインを知っておくのも大事そうです。私の場合は、部屋が汚くなります。あとは、忘れ物が増えるとかもありますね。部屋の掃除が行き届かなくなってきたときは、無理せず休むなど先手を打てます。無理をしない。マラソン的な部分があるので、体力配分は意識した方が良さそうです。怪しい時もありましたが、上記の習慣のおかげか、体調を大きく崩すことなく1年間研修に臨めました。


研修医1年目でやらなくてよかったこと

やりがちだけどやらなくてよかったこと5選…。
◆教科書やテキスト類を買い漁る
◆コンビニ中心の食事
◆志望科を決めて研修に臨む
◆無理をしない
◆表面上のやり取りを鵜呑みにしない

◆教科書やテキスト類を買い漁る
 研修始まる前は、良書といわれる書籍が沢山あって片っ端から買おうかとも考えましたが、全然読む時間がないんですよね。大学受験や国家試験の勉強にも通じますが、色んな本を掻い摘むよりは、上記の4冊を読み込むようなスタイルの方が勉強としても捗ったように思います。往々にして買って満足、並べて満足になってしまうので、しっかり使う本を決めて読み込む方針がおすすめです。


◆コンビニ中心の食事
 当直帯やら変則的な生活からコンビニの食事にお世話になることも増えがちなのですが、コンビニ飯は金もかさむし、身体も重くなる…。コロナで外出もしにくかったので、自炊中心、弁当持参で病院に通っていました。後半はサボリ気味でしたが…。ただ、上級医が奢ってくれたり、チームの動きの流れで弁当を取りに行ったりすると迷惑になる場面もちょこちょこあり弁当持参はチームによっては一長一短です。チームの動きを妨げるのは申し訳ないですので、そこは臨機応変に。


◆志望科を決めて研修に臨む
 「先生志望科は?」と必ずローテーション中聴かれます。実際はある程度固まってはいますが、ある程度固まってますが、全部興味あります!、全部勉強したいです!的な姿勢は大切です。進路的に必要ないからと研修医の時点で知識を絞りきってしまうと、いわゆる専門バカが研修医の時点から始まってしまいます。志望科を伝えることで、優しい先生は志望科とローテーション中の科の共通点や、関連ある部分を強調して指導してくださることもあるので、志望科を正直に伝えるのはオススメです。ただ、他の科に関する関心を失わない方が良いという話です。実際、ローテ中に知った知識が他の診療科で活きることは無数にあります。たとえば、内科ローテ中に回腸導管術後の患者さんがいらっしゃった時、それ何?とチーム内で話題になった時、麻酔科ローテ中に泌尿器科の回腸導管造設術を経験していたのでイメージ出来たとか。また、国試の知識も馬鹿になりません。十年以上前の国試では出題されないようなマイナー疾患も現在では出題範囲になっているため、僕らの世代ではあー勉強したなーくらいの疾患が、年配の先生方からしたら全く聴いたこともない、なんでそんな疾患知ってるの?という事もあったりします。今日の経験を無駄にしない、その積み重ねですね。ま、そんなドヤってする機会なんて教わる機会に比べたら稀ですけどね。


◆無理をしない
 上記の通り、研修医は毎月のように環境が変わる、新しい環境、新しい人間関係の連続なのでそれだけでストレスフルです。要領もつかめないままにそんな生活を続けるので、研修医のバーンアウト症候群、抑うつ、更には自死は実際少なからずあります。マラソン的な部分があるので、無理はしないようにしていました。上記の健康に気をつけた生活習慣もそうですが、それでも無理なら美味しいもの食べて寝まくる。しっかり身を守る。潰れないことを意識して生活しました。志望科では無理してでも学びに行くようなタイミングもつくりましたが、基本的には無理しない。カッコつけたくなるんですけどね。あと、上級医の方がよっぽど仕事もしていて負担大きく、それなのにろくに仕事もしないのにへばっている自分に本当に情けなくなります。が、環境変化が多い、慣れていない、抜き方がわからないって事もなかなかの負担ではあるので、自分の力量は素直に認める、見極める必要があります。
 

◆表面上のやり取りを鵜呑みにしない
 社会人って怖いなって思ったのが、みんな大人なんですよね。パワハラ、セクハラの少ないホワイト病院という事もあり、露骨に面と向かって怒られる、注意を受けることは想定していた程はありませんでした。外科とか体育会系の人達は別ですけども。感情的になっても仕方ないと思うので、知識不足や至らない点に関しては足りてないよと教えればいいのでこういった風潮は良いことでしょう。怒りとか苛立ちで雰囲気悪くなるとチーム全体の雰囲気悪くなってパフォーマンス落ちるというのは最早有名な話ですし。
 ただ、実際はかなり迷惑を掛けてしまっていて、優しくその場は当たり障りなく接してくれていても内心ブチギレ案件…なんてことはままありそうです。本当に申し訳ない限りです。逆に、自分が多少理不尽だったり、仕事が増えるような事案があってもキレ散らかすことはないのでお互い様ではありますが。明らかに迷惑かけたときはあやまることは出来ますが、自分の気づかぬところで負担を掛けてしまっていることはなかなか消化出来ません。見逃しとか、処方忘れとか、きっと気づかぬところで誰かがサポートしてくれています。ここから言えることは、人のミスに寛容になろうというのと、気づかないところで迷惑掛けているかもしれないということを忘れないようにという話ですね。逆に、上級医や他の職種の方々は自分がしたことに関して過剰なほどにありがとう!優秀だね!助かる!と褒めてくれたり、下手に接してくれます。ここで調子乗ると本当に痛いことになります。ポジティブなフィードバックしか伝わってこないって怖いです。気をつけましょう。


研修医1年目でやっておけばよかったこと

1年目の後悔4選です。悔やまれる…。
◆Youtuberのホームレスドクターによる鉄則解説を早めに知れたらよかった
◆フィジカルちゃんねるの視聴を早めに見ればよかった
◆税金や給与、労働基準法などについての勉強
◆同期との交流

Youtuberのホームレスドクターによる鉄則解説を早めに知れたらよかった
 上記でも触れた、内科レジデントの鉄則を全章に渡って解説しているホームレスドクターさんの動画は必見です。 

 テキストの読み合わせをしながら、ご自身の研修経験を交えて緩急つけながら話してくれるので、テキストの中でも大事な部分とさらっとでいい部分がはっきりして飲み込みやすくしてくれています。「これはマジで使うし重要だから覚えてね」、「この点はあんまり経験してないから説明しないよ」と、等身大の視点で語ってくれるので信頼出来ます。一周目はホームレスドクターさんと一緒に読み合わせ、2周目は自分で復習、あとは実務の中で繰り返し読んでいく感じでしょうか。
 この動画知ったのが年末で、爆速で見切りました。最初から知ってたらもっと早く鉄則読み切れたのにな…と悔やまれます。自分ひとりで鉄則しっかり読み込むような独学力は持ち合わせていないので、本当にこの動画には助けられました。これから研修する方は早くから動画見切って研修出来るので羨ましい限りです。


◆フィジカルちゃんねるの視聴を早めに見ればよかった
 上記のホームレスドクターさんの動画の応用編として、身体診察をまとめた動画を平島修先生がアップロードしています。

マクギーのフィジカル診断学というテキストを元に、楽しく身体診察を勉強できる動画シリーズです。僕は、循環器ローテ前にこの動画を知り、視診の項目だけは見切って臨んだため、頸静脈の視診にだけやたら詳しい頸静脈マニアみたいな感じになってしまいました。動画の中でもお話されていますが、ベッドサイドに行くのが楽しくなる、楽しみになる動画です。身体診察の方法から機序、エビデンスの紹介、歴史の紹介などとても楽しく学べます。動画見終わると患者さんの身体診察したくなります。身体診察ってこんなに種類があったんだ!身体診察だけでこんなことまでわかるんだ!という驚きを味わえるのでぜひ一見ください。
 この動画のシリーズはそこそこ動画数も多く、早くから見ておきたかったです。知るのが遅すぎた…。今頑張って観て学んでいるところです。
 研修が始まる前からこの動画のことを知れていたらと思うと悔やまれます…


◆税金や給与、労働基準法などについての勉強
 我々研修医、医学部生活で一切経済、法律について学んでおりません。よって社会では良いカモです。PHSにはマンション投資の勧誘、節税詐欺の連絡が定期的に来ます。注意喚起こそなされているものの、ずっとそういった業者からの連絡がくるのは騙される人がいるからでしょう。税金関係、投資や労働に関する法律関係は勉強しておくべきだったし、今からでもしっかり勉強しないとなと思う事が多いです。が、多忙を理由に後回しになりがちです。時間がある時にしっかり学んでおいたほうが、今後身を守るためにも必要なことかと思います。誰か教えて。


◆同期との交流
 コロナウイルス流行により、同期での飲み会なども全然出来ていません。上記の、失敗談や怖い思いをした経験などの共有もそうですが、なんやかんや助け合う仲なので、仲が良いにこしたことはありません。また、別病院に行った大学同期とは定期的に連絡を取れると良いです。病院ごとに結構常識が違ったり、経験している内容が違います。研修医ってこんなもんなんだ〜と思っていたところ、ハイパー病院で働く同期が主治医としてバリバリ色んなことを自分で決めて診療にあたっていると知り愕然としました。明らかに勉強も経験も足りていなかった…。でも、それも話してみるまで気づきもしなかった。恐ろしいですね。コロナが落ち着いたら〜ローテーションが重なったら〜とそのうちそのうちと思っていたら一年間あんまり同期と交流せず終わってしまいました…。仕事中はチームに研修医は1人くらいで上級医や看護師さんと話す時間が長いので、意識しないと同期研修医と話す時間はないんですよね。反省点です。

研修医2年目で習慣化したいこと

◆職種問わず、名前を覚える。名前を呼ぶ。
◆知らない疾患に出会ったら①Up to date 、②ガイドラインのチェック③論文チェック
◆その日の学びをまとめてフィードバックをとる
◆デスクワーク中の姿勢

◆職種問わず、名前を覚える。名前を呼ぶ。
 看護師さんや検査技師さん薬剤師さんなどたくさんスタッフの方がいて、顔はよく見るけど名前が覚えられていない人がたくさんいます。担当看護師さんの名前と顔が一致せず、探すのに苦労して時間を無駄につかうのが本当にもったいない。やっぱりせんせーとかかんごしさーんとか、あのーって感じで呼ばれて仕事するよりは、きちんと名前で呼び合って仕事する方が、気持ちは良いですよね。頑張って覚えて、呼んでいきたいです。


◆知らない疾患に出会ったら①Up to date 、②ガイドラインのチェック③論文チェック
 患者さんが少なかったり、業務が少ない科では出来ていたことではありますが、忙しいとどうしても疎かになってしまう、アカデミックな部分や最新知見の収集、こういうのを優秀な上級医の先生は習慣化してますよね。大変でもやらないといけないことですね。


◆その日の学びをまとめてフィードバックをとる
 漫然と過ごしていると一日は凄い勢いで終わります。一週間の記憶がなかったりします。何を学んだんだっけ…となることもしばしば。ま、何かしら学んでいて、経験は積んでいるのですが、結構忘れます。日記、メモ、まめに取るようにしたいです。メモはEvernote、LINEのグループ機能、IPadのgood notes5を用途に応じて使い分けていました。ただ習慣化までは至らなかったのでもうちょっとしっかり目に残してフィードバックをとりたいところです。


◆デスクワーク中の姿勢
 医者ってデスクワークがそこそこ長いです。姿勢が良くないと身体の負荷が増えます。あと、当たり前ですが姿勢が良いほうが見栄えが良いです。もともと姿勢があまり良くないので、疲れてくるとどんどんひどい姿勢になってしまうんですよね。学生のときは、バランスボールを導入して工夫出来たのですが、流石に病棟にバランスボールは持ち込めないのでなんとか頑張りたいところです。


新型コロナウイルスによる影響

コロナ以前から働いていた訳ではないので、実習でみていた様子との違いになりますが、影響は様々ありました。大病院ということもあり、かなり守られていたようには思います。ルールや対応がきっちりと決まっていたのと、医療資源が不足していたとはいえ枯渇はしなかったところが大きいです。

コロナウイルスによる良い影響

◆カンファレンス、回診などが最低限になり負担が減った。
◆職場の飲み会がゼロに。
◆発熱や体調不良があったら即休む文化が出来た。
◆勉強会がオンライン開催になり参加のハードルが下がった。

◆カンファレンス、回診などが最低限になり負担が減った。
 全体的に業務は縮小傾向、無駄が切り落とされ、だらだらと仕事をするようなスタイルは比較的減ったように思います。ただしこれは一長一短。教育の場、経験を共有する場が減ったため学びは減っています。一方で、業務に余裕が生まれて自分のチームの患者の把握や治療に専念出来た面もあります。休みなく働くことが前提のルーティンから、働き方改革が加速したという意味ではコロナはいい方向に働いたようです。


◆職場の飲み会がゼロに。
 コロナ以前の研修医は食費がほぼかからないといっていいほど、昼食、時には晩御飯まで指導医や先輩医師に奢ってもらっていたようです。今は会食禁止が原則となり、そういった会食の場はありません。経済的には厳しいし、先輩に奢ってもらいでもしないと食べられないような高級料理を食べるような機会はありませんが、仕事とプライベートのOn offがはっきりしたのは、別に趣味がある私にとっては非常にありがたかったです。夜遅くまで飲み会してそのまま仕事みたいな悪しき風習もなくなって身体の負担も減っていそうです。


◆発熱や体調不良があったら即休む文化が出来た。
 無理して働くのが当たり前ではなくなってきてはいそうです。実はこの変化がインフルエンザ等、他の感染症の減少にも寄与しているのではないでしょうか。数年前までは、薬飲んで働きなって感じだったようですね。今でもそういう病院はあるかもしれませんが、少なくとも私の職場ではかなり休む文化は進みました。


◆勉強会がオンライン開催になり参加のハードルが下がった。
 これまででオンラインコンテンツが最も充実した一年だったのではないでしょうか。学会や院内勉強会だけでなく、気軽に他病院の勉強会にも参加できるので勉強出来る機会は他の形で生まれました。しかもリアルタイムで勉強会に参加出来なくてもアーカイブスが残っていることもあるので、自分の好きな時間に勉強できるのはありがたいです。

コロナウイルスによる弊害

◆当直対応、救急対応が非常に大変
◆業務が縮小され経験の場が減った。
◆常にリスク管理を求められる緊張感
◆上級医とのコネクションがつくりづらい
◆後輩への教育の場がほとんどなかった

◆当直対応、救急対応が非常に大変
 患者への1st touchは研修医に任される事が多いですが、フルPPEでの対応が必須となり、負担が増えました。リスクにも常に晒されます。
 脳卒中疑いできた患者を肺までCT撮ってみたら肺炎像あり…期せずして濃厚接触者になりかける…なんてことも。対応が決まった当初は、感染対策のプロトコルにきちんと従って診療していたとしても、どうしてもピットフォールはあるため、綱渡り的な部分が少なからずあったように思います。


◆業務が縮小され経験の場が減った。
 挿管など飛沫の飛散リスクが伴う手技の経験が出来ないまたは制限される場面はありました。また一時期は患者さんが減る、オペ件数が激減するなどから閑散としていたこともあり経験を積む機会は明らかに減っているように思います。また業務が縮小された結果、残業代が減り給料が減りました。他の職種に比べたら恵まれた給与をもらっている方なのかもしれませんが、医者といっても研修医の生活はあまり楽ではありません。


◆常にリスク管理を求められる緊張感
 もしも自分が体調不良になったら、コロナに感染したら所属チームがストップするかもしれない。場合によっては診療科の動きが止まってしまう。一個人の病院に与える影響があまりにも大きすぎます。軽率な行動を取ったとして大バッシングの報道までされてしまった例もありましたね。そういった危機感から、あまり外出はせず病院と家の往復のみの日常になっています。
 ま、公園でハンドパンやったり、筋トレしたり、それはそれで充実はしたんだけど。体調管理に対する緊張感はやはり独特のストレスがあります。


◆上級医とのコネクションがつくりづらい
 コロナは分断の方向に働いたようで、人との関わりを持つ事へのハードルがあがりました。飲み会嫌いとはいえ、志望の診療科や、お世話になって仲良くなった先輩方とはゆっくり話す機会が少しは欲しいものです。そういった場面はほとんどといっていいほどありませんでした。これは自分のコミュニケーション能力によるものかもしれませんが。また、他病院への見学もなかなか行きにくいです。3年目以降の進路を決めるにあたって病院見学はしたいところではありますがハードルが高いです。


◆後輩への教育の場がほとんどなかった
 私が学生の時は、研修医は立場が近く話しかけやすく随分多く実習の時に助けてもらったものです。その恩返しをしたいですし、教える事での学びはたくさんあるのですが、実習がほぼほぼ停止してしまったため、そういった機会はほとんどなかったです。悲しい。

まとめ

振り返るとたくさん失敗もしていて、本当にたくさんの人にお世話になってきました。ですが、一応行って帰ってきたら合格という意味では、なんとか合格は出来たかと思います。たくさんの方々のサポートあって、貴重な経験をたくさんさせてもらいました。人の人生の節目、時には人生のはじまり、時には終わりの時間に立ち会うため、患者さん一人ひとりにドラマがたくさんあり、思い出深い出来事ばかりです。そんな中で少しでも患者さんの役に立てるように頑張ってきたつもりではありますが、まー難しいです。年間何回点滴とか採血とかミスったんだろう。
 これから研修が始まる方々に伝えられるのは、なんとかなるから無理せず、ぼちぼちやっていけばいいんじゃないでしょうか。一方で、知識はあればあるほど、日々の業務が充実します。余裕があるなら勉強は沢山した方がいいです。でも、知識があるとか、手技が上手いとかそういうのもとても大事だけど、一緒に働いていて働きやすいとか、報告、相談がしっかり出来るとか、話しやすいとかそういうことのほうがずっと大事で、そういうところがしっかりしてる同期の方が評判は良いように思います。良いお医者さんになりたいですね。同じ病院で働く後輩の方々にお会いできるのを楽しみにしています。

★追記:上記内容や、触れられていない事でも
知りたい質問等ありましたら、気軽に連絡してください。
応えられる範囲で応えます。


追記の追記:他にもあるよ大切なこと

読んでくれた方々から様々レスポンスいただけたり、こんな長文なのに多くの方に読んでいただけて光栄です。役に立てばいいんですけど。
Facebookの方などで、先輩方から補足があったので、追記します。

◆服装と身だしなみを整えるのはとても大切
 新社会人マナーなどでよく言われる事ではありますが、これも基本であり重要事項の1つでしょう。大雑把に言えば、清潔感があれば良いのではないでしょうか。ただ、精神科領域では医療者の服装も治療的意義として捉えると教えていただき、僕もはっとしました。ということで、気をつけるポイントごとに一言ずつ。

○白衣かスクラブか
 研修医はスクラブ指定されている事もあり、あまり白衣を着ない人も多いかと思います。が、上記のような考え方もあり、スクラブで診察するのは失礼という考え方もあるようです。一方で、感染対策の意味合いから採血や身体診察する時は白衣は脱ぐべきという考え方もあるので、状況に応じて使い分ける必要はありそうです。また、お看取りの場面などでは基本は白衣必須です。救急科だとそうでもない気もしますが。
 ただ、経験上、白衣を着てぴしっとした格好で業務をした方が患者さんも他のスタッフさんもそれ相応に丁寧に接してくれることが増える気がします。馬子にも衣装ってやつです。形から入るのも悪くないですが中身が伴うように頑張らねばというプレッシャーも生じます。笑
○髪
 現状男性にしてはかなりのロングの私が書くのは恐縮ですが、きちんと整えておく方がいいです。ワックスは駄目とか、明るい色は駄目とか、患者さんは内科ならほぼほぼ高齢者なので、その年代からみて奇抜だとちょっとそこで不信感を持たれることもあります。それでもこだわりを持った髪型をしている人は、実力でそのマイナス分を取り返しているのだと思われますが、まぁ無難に清潔感を大切にしていくのが良いかと。
○顔
 マスクをしているので、メイクをしている人は目元で勝負、眉毛やまつ毛で印象が決まるところがありますね。ただ、食事やふとしたタイミングでマスクを外す場面になって、無精髭があったりすると恥ずかしい感じになります。また、N95のリークテストをするとヒゲをはやしている人は有意にリークが多いらしいです。業者さん情報なので真偽、ソースは不明ですすみません。N95つけてもリークしていたら意味ないですからね…ヒゲはほどほどに。
○爪
 おしゃれは手元から。というよりは、実務的に爪は長いと支障が大きいです。圧迫止血や脈を探す時に爪が患者さんに食い込むので痛がられます。あと、爪が伸びていると手袋がすぐ破けます。そして、手袋はなぜか急いでいる時に限ってよく破れます。なので、爪は整えておくことをおすすめします。
○靴
 病院内での靴は色んな意見がありますが、私は黒のスニーカーです。汚れが目立たないのと、なんやかんや立ち仕事、移動が多いので、足が疲れない靴の方が良いです。こなれている先輩方はクロックスを使っている人もいますが、穴あきのクロックスは血やら分泌物やら色んなものが足元に飛ぶともろにかかる恐れがあるのでおすすめはしません。
○香り・制汗
 見た目もですが、こっちの方が重要なんじゃないかと思うこともしばしば。フルPPEやら心臓マッサージやら我々はどうしても汗をかいてしまう業務が発生します。フルの防護服はめちゃくちゃ熱いです。そして、医療者は診察時など患者さんとの距離感がぐっと狭まる瞬間も多いです。病状説明する時の部屋は小部屋なことも多いので、そういった場面も同様です。そんな時、汗臭いと非常に気まずいです。体臭には気を使っているつもりですが、それでも心配です。あと、チームで仕事をするので、チームでパソコンを囲む、オペの時狭い術野に密集するなど、医療者同士も距離が近くなる場面が多々あります。なので、香り・制汗には本当に気をつけたいと常々思っております…
○通勤時の服装
 病院の近くに引っ越す人も多いかと思いますが、病院の往復の服装も気にする人は気にします。先輩にはスエットやビーサンアロハシャツで通勤していた猛者もいるようですが、院内の更衣室にたどり着くまでに、結構患者さんやら他科の先生方が見ていたりします。別にオフっちゃオフだし良い気もしますが、そんなことで変に信頼失うのも嫌なので、私は、チノパン、ワイシャツ、ジャケットをほぼ同じものを×6枚買って一週間まわしています。頭を使わないので楽です。あとある程度フォーマルな方が、急に勉強会に呼ばれるとか、私服で上司にあった時気まずくないのでそれなりに小綺麗な格好の方が良いかと思います。

身だしなみについて追記しました。今後も、有用な情報の補足があったら追記していこうと思います。

参考文献・リンク

※1.https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2015/PA03133_01

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ShunIshikawa
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