下半期

スーツを着て。

電車の窓に反射する。スーツが1番似合っているかもしれない。何者にもなれないのに何かになるために必死になっている。健気で素直で愛おしい。ボクがしたいことはこんな事じゃない。

年の瀬。食事の席。久しぶりのキミ。遅れてきた僕の隣だった。戯けた姿で笑っていた。四字熟語の話は共通理解だった。容姿だけでは収まりきらない魅力。身の回りを少し達観しているその姿さえも。もっと知りたかった。

Kはこの世に絶望していた。嫌悪感から涙さえ流していてた。珍しく感情的だった。しかしお笑いのコト、誰かに話を振られた時はイキイキしていた。ようやく人間らしいところが垣間見えた。むしろ人間らしいのはKかもしれなかった。ニコニコ笑うピエロなんかよりはよっぽど。

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