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「お菓子」なのか「おやつ」なのか  ~我が家の ”おやつ” は ”おかず” ~

バレンタインデー。
誰に渡すでもないのだけれど、何作ろうか地味にわくわくします。
何かしらおやつを作ると喜んでくれる息子。
私も息子も食べるのが大好きだから、ほぼ自分と息子の2人のために作っているようなものです。

今回は、そんな私の作るおやつについてのお話です。


今年のバレンタインデーおやつ

今年はオンラインで習った
 ”体に優しい=食養生” 
となるチョコレートのケーキを作りました。
ガトーショコラ風のチョコを使わないチョコレートケーキ。
乳製品・砂糖・油脂を使わないで作るチョコレートケーキ。

家族に《小麦・乳製品・植物性の油・あまいもの》を摂らない主義をとるものがいるため、
「待ってました!」
と喜んでいたものの、よく考えたらココアパウダーもカカオの油脂が入っているから食べないのでした。。。

ということで、やはり私と息子の2人で楽しむべく、前日から仕込み、当日グラサージュで仕上げました。

お菓子がおやつになる過程とその捉え方

お菓子作りと出会うまで

「子供のころからお菓子作りが趣味でした」
という女の子が周りに多かった中で、私はほとんどお菓子を作ってきませんでした。
むしろ、何を作っても一度失敗しないと完成しない、という悲しい過去が何度もあり、苦手な意識がありました。
唯一何度か作っていたのは、マーブルチョコを中に入れたスノーボール。
それもやはり、生地は母に仕込んでもらって丸める作業のみ、というものでした。

衝撃のお菓子作りのはじまり


そんな私がお菓子を作るようになったのは、社会人になってから。
結婚するまで様々な仕事を経験してきましたが、その中でティールームに勤めたのがきっかけでした。
パン職人になりたくて就職した職場でしたが、入職する前日に電話連絡が。
「イーストを使用したパンの販売を中止することになった」
パンが作れる!とワクワクして初出勤をドキドキ心待ちにしていたところに、いきなり雷を落とされたような状況・・・

「イーストを使うパンはないけれど、ベーキングパウダーで膨らませたお菓子パンは作れるから」
と励ましてくれる店長とスタッフ。
そうは言われても、お菓子を作りたくて就職したわけじゃない。
そんな不満な気持ちを持った状態で仕事を習い始めました。

実際、パン販売はなくなったとはいえ、ベーキングパウダーを使ったお菓子やパンの販売数は非常に多かったです。
それを一人で、決められた時間内に全て終わらせるのは時間との戦いで、まさに戦場。
2種のスコーン、3種のマフィン、チョコバナナケーキパン、アップルクランブルケーキパン、ガトーショコラ・・・
計量から始まり、数種類の生地を仕込みながら成型や焼成を行い、焼成後の仕上げをしながら洗い物や翌日の計量を行う。
最後に仕込みの部屋全体を掃除して、今度はカフェ部門でランチとティータイム用の仕込みや営業を行う。
パンの仕込みとはいえ、お店の営業開始までに全て終えておくことになっていたため、2時間ですべてを終える、というタイムスケジュール。
そんな中で作るお菓子は、私にとっては
「ただの商品=もの」
にしか思えない状態でした。

遅咲きのお菓子作りの始まり


昔から何をするにも時間のかかる子だった私は、なかなか決められた時間にパン部門からカフェ部門へ移ることができず、タイマーで管理される日々。
そんな時間ばかり気にして作るお菓子は、まさにただのモノ。
ひたすら仕込んで終わることばかり考える、腰痛とストレスだらけな日々でした。

ただ、ちょうどこの時期に期間限定で仕込むガトーショコラを作っていた時のこと。
疲れて帰宅して、粉まみれなので、すぐにお風呂に入るのですが、その時に髪を洗おうとゴムを外した時のこと。
浴室内がチョコレートの香りでいっぱいに満たされたのです。
何とも幸せな良い香り~
職場ではチョコレートの香りでいっぱいのはずなのに、時間が気になり過ぎて全くいい香りに感じない。
品質や材料にこだわったお店だったので、副材は美味しく高価な食材ばかりだったはずなのに、ただのモノにしか見えていない。

あまりにも時間にとらわれ過ぎて、全く五感を使えていない状態でした。
そんな五感が活かせていない中、日々時間に管理されていたことで一つだけ成長していた点があります。
お菓子を作る技術と手早さが身に付いていたという点は、せめてもの救いでした。
そこで、母にも食べてもらいたくて、いつも作っているマフィンを家で焼いてみたところ、とても喜んでくれたのを覚えています。

ただ、お店のレシピのままだとバターや砂糖がふんだんに使ってあるので、美味しいけれど、日常的に食べることを考えると、体にはヘビーすぎるなと感じていました。
そこで、自分なりに材料や内容量を工夫して独自のレシピを編み出し、家族のおやつとして作ることになっていきました。
これが私のお菓子作りのはじまりです。

お菓子とおやつの違いは?

自分や家族のおやつ用に焼いていたマフィン。
母は良く朝食に食べてくれていました。
そこで、お菓子っておやつの時間でなくても食べるなら、お菓子とおやつの違いは何なのか?と思うようになりました。
丁度その時に、
「昔は今とは違う時間の数え方をしていて、8つ目の時間に丁度おなかが空いて食べていたのがおやつになったんだよ」
と聞いたことがあったので、おやつ=軽めの食事 なのかな、と子供のころに思ったことがあったのを思い出しました。

本来おやつは補食。
子供は消化能力が未発達のため、回数食べる必要がある。
そこでご飯の回数を増やして、朝食と昼食の間・昼食と夕食の間を間食として食べる時間を設ける。
それを ”おやつ” と呼んでいます。
なので、しっかりと食事ができていれば、大人にとって「おやつは必要ない」。
しかも、子供のおやつは食事の延長線上なので、「お菓子」と呼ばれる
食品は必要ないのです

でも、いつしか
「おやつの時間はお菓子を食べる」
という習慣が出来上がってしまい、お菓子業界は大企業となり、かなりの力を持つようになってしまっています。

私にとっての”おやつ”の在り方


おやつの本来の在り方を考えるようになり、私は
「自分で手作りしたお菓子類=おやつ」
「市販のお菓子類=お菓子」
と区別しています。
基本的に手作りの際は体に負担のかかりにくいものを作るようにしています。

乳製品・植物油・砂糖不使用で野菜などを利用したおやつ

もちろん乳製品や油脂は多少使うこともあります。
粉類も米粉だけでなくスペルト小麦を使うこともあります。
それでも、市販のお菓子やネット上にあふれている様々なレシピに比べると、かなり体への負担を減らしたものになります。
これまでいろんなおやつを作ってきましたが、その中で意識していたことが「おかずとして出しても良いおやつ
です。
日々のごはんの副菜としても出せる食材や分量で作る。
体に負担をかけずに楽しく美味しく食べるために外せない点。

お菓子・スイーツ自体ではなく、それに対する自分の気持ち

”ギルトフリー” ”罪悪感のない”
SNS上のレシピ配信によく見られる単語。
私は敢えてこの単語は使う必要ないな、と日々思います。
体に負担のないものを美味しく食べていると「罪悪感を感じるような食べ物」は自然と食べたいと思わなくなっていきます。
・後ろ髪をひかれる
・何か後ろめたい気持ちになる
いくらバターを植物油に変えようが、小麦粉を米粉に変えようが、白砂糖を甜菜糖に変えようが、そういう気持ちを抱くような状態は、「罪悪感のあるお菓子」を食べている状態と何ら変わらない。
そう思うのです。

バターは悪者?
小麦は悪者?
砂糖は悪者?
グルテンフリーやシュガーフリーを続けてきた私が言うのもおかしい感じがしますが、決して悪者ではないと思います。
食材自体に善し悪しをつけるのはあまり勧められないことだと感じています。

その食材をどう使うのか
食べる人の身体の状態はどうなのか

重要なのは、
食材の方ではなく、使う私たちの捉え方です。
良い悪いで言い切ってしまうのは、人に伝える際に安易で伝わりやすいです。
それをそのまま受け止めてよいものかどうか、お菓子に限らずいろんな面で考えていく必要があるな、と最近自分の中で思います。



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