地域間の通信格差に関する考察

私が今住んでいるところは既に光ケーブルが敷設おり、無線通信を行うに当たっては特に問題ない状況です。
最近、実家近辺(田舎)の通信網が ADSL 網から光ケーブルになってきていることを知る機会がありました。

ふと、ネットワーク通信の環境が異なっているということは、GIGA スクール構想に以下のような影響を与えるのではないかと思い、この通信の格差について調べてみました。

学校にいる間は学校の Wifi を利用して勉強ができますが、家庭では事情(金銭面や住環境)によって Wifi が使用できず、自分で能動的に学習することができなくなる懸念があります。
これにより、問題解決ができる人材の育成ができなくなる可能性があります。

ネットワーク環境の格差をできるだけ小さくすることで、より質の高い教育を受けることができるのではないかと考えています。

調べた内容

総務省 通信利用動向調査:令和2年調査 (PDF、全38ページ)

【p15:(4)端末別インターネットの利用状況(個人)】
令和元年と令和2年における、端末別利用状況比較です。
スマートフォンは 63.3 -> 68.3 と増加していますが、一方でパソコンは 50.4 のまま変化せず、タブレット型端末は 23.2 -> 24.1 と 増加幅が スマートフォンより小さくなっています。
このことから、パソコンやタブレット型端末よりスマートフォンでの利用傾向が強くなっていると言えます。

インターネットの端末別利用状況

【p16:(5)都道府県別及び地方別インターネットの利用状況(個人)】
令和元年と令和2年における、都道府県別インターネット利用状況とインターネットの端末別利用状況です。
赤枠かつ白塗の部分は利用総数が少ない県、赤枠かつ黄色塗の部分は利用総数が多い都県となっており、規模の大きいところほどインターネットの利用が多くパソコンやタブレット型端末の利用が多い傾向があります。
画面キャプチャに含まれていない他の府県のデータも含めて考えますと、規模が小さい都市や田舎は規模が大きい都市と比較すると、インターネットへの接続のしやすさが低いと判断できます。

都道府県別インターネット利用状況

要因考察

2015年のものですが、インターネット利用率が高かった3都県(大規模な都市)は 700 万円台・800 万円ほどで、低かった県(規模が小さな都市)は 600 万円台でした。

都道府県別子育て世帯年収 (2015年)

※抜粋
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1 東京都  805万円
   :
4 神奈川県 751万円
   :
9 埼玉県  731万円
   :
27 福島県  665万円
28 岩手県  663万円
   :
40 秋田県  605万円
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e-Stat から取得を試みましたができず。。

インターネット利用料金は地域によって大きく変化するものではないため、規模が小さな都市は年収に占めるインターネット利用料金の割合が高くなります。
また、パソコンを購入する費用の捻出も比較的難しく、回線速度が遅い環境であると考えられます。
つまり、設備面と費用面の関係でパソコンやタブレット型端末でのインターネット利用ができないように見受けられます。

改善策

実現性はいったん置いておいて、考えられる改善策としては、タブレット端末に無線 WAN のモジュールを組み込むのが良いと考えました。

無線 WAN のモジュールは、NTT 等から貸与または購入したモデムと同じで、パソコンに取り付けて設定することでインターネットを利用することができます。

しかしながら調べてみると、無線 WAN を内蔵したベンダー製パソコンはなく、自分で無線 WAN 利用可能な SIM をパソコンに仕込む必要があるという結果となりました。
これは、無線 LAN ルータが多数販売されており、外でも Free Wifi が利用できるため、内蔵させる必要性が低いためと考えられます。

SIM の費用や設定、月額費用を鑑みると、GIGA スクール構想におけるタブレット端末の要件である 5 万円内に収まらない可能性もあります。

まとめ

通信格差を小さくすることで教育の質がより良くなる可能性はあるものの、現状は各家庭で Wifi が使用できるようにするのが最善と思われます。
タブレット端末への無線 WAN 内蔵、今後出てきてほしいです。

参考

この国の「通信格差」。学生の通信環境問題を考える (2020/4/6)

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