練習効率を悪くする3つの失敗
同じ練習をしているのにもかかわらず,上達が遅いことはないですか?もしくは,指導していて思ったおよりも上達しないことはないですか?そんな時やっている3つの失敗について述べたいとおもいます.
注意の向け方
注意の向け方には,2種類あり,インターナルフォーカスとエクスターナルフォーカスです.
インターナルフォーカスとは,自身の体の動きや部位に注意を向けることで,反対に,エクスターナルフォーカスは,自分の体以外の環境要因に注意を向けることです.
練習段階において,多くの人が体をこう動かして,,,などとインターナルフォーカスを用いて練習しているかと思います.しかしながら,多くの研究は,環境に注意を向けるつまり,エクスターナルフォーカスでの練習の方が運動学習の効率がよりことを証明しています.運動のperformanceを検討した場合でも,エクスターナルフォーカスの方がより良い成績を残すことが証明されています.
したがって,1つ目の失敗は,注意の向け方が自分自身に向いてしまっていることです.
練習の多様性
2つ目は,練習の多様性です.例えば,あなたは野球のピッチャーだとします.今,カーブを新たに習得中です.この場合,多くの人が,カーブをひたすら反復練習するのではないでしょうか?
一見,効率的に見えてしまいますがこれが,大きな間違いです.反復練習は,練習中のパフォーマンスを向上させますが,反対に忘れやすくなります.つまり,次の日にはパフォーマンスレベルがかなり下がります.反対に,練習に多様性をもたせた場合,例えば,”カーブのみ”を習得する場合でも例えば,シュートやフォークなどの他の練習を同時に行うことによって,カーブの習得を助けてくれます.この場合,練習時間が長くなると思った人もいると思います.しかしながら,カーブ自体の練習量が少なくなったとしても(トータルの練習量は同じ)カーブの習得率は向上します.
つまり,100球のみ練習できる場合,100球すべてカーブを練習するよりも33球づつカーブ,シュート,フォークを練習した方がカーブの習得率が高いということです.
2つ目の失敗は,練習に多様性をもたせないことです.
練習の順序
最後は,練習の順序です.例えば,英単語を10個覚えるときに,どのように書いて覚えますか?多くの人が1つの単語を10回書いて次の単語に行き10回書いて...を繰り返すのではないでしょうか??これが大きな間違いです.練習の順序をランダムにすることによって,練習効果,学習効果が向上することが証明されています.これを文脈干渉効果と言います.
練習の順番をAAABBBCCCと行うのではなく,ABCBCACABなどのように,ランダムで行う方が効率が良いということです.練習の順序においても,ランダムにしない方が,練習中の成績はいいですが,忘れやすく,次の日での成績はランダム練習の方が良いです.さらに,似たような新規の課題に対しても効果的で,良い成績をあげることが証明されています.
3つ目の失敗は,練習順序をランダムにしないことです.
特に2つめと3つめに言えることは,練習中に頭をフル回転させることが重要ということです.1つのことを反復練習したり,順番通りに練習することは,頭の中で,慣れが生じます.一方で,ランダム化したり多様性をもたせることによって体が自動的に動くのを防ぎ,常に頭を使い練習することが可能になります.