【随想】アカウントの更新を行います
「本日もこのアカウントにログインしました」
心のモヤモヤが晴れない、沈みがちな日々。それをブログにアウトプットしようとnoteを開きながら、そんな通知を想像をする。
noteでは、記事投稿や「スキ」回数に応じて様々なバッジがインセンティブとして付与されるけれど、これも一種のログインボーナスだよな。
このアカウントを作って4ヶ月ほど。心理学を学び、記事も増え、いつの間にか愛着も湧いてきた。
そこでふと、僕はいったい、いくつの「アカウント」を持っているのだろう、と思った。
初めてオンライン上に、自分固有のアカウントを持ったのは、中学生のとき。
WEBメールの電子メールアドレスだった。
もうとっくにサービス停止になってしまったけれど、そのアドレスは今でも覚えている。
高校生になって携帯電話を持つようになってからは、@ezweb.ne.jpドメインのアドレスを使っていた。
iPodを使うためにiTunesのアカウントを作ったのは高校卒業の頃。
大学では学内ネットワークにアクセスするための学籍番号IDも付与されて、同時期、国内発SNSのmixiに招待された。
就活時に取得したのはYahoo!メール。
社会人になってからGoogleアカウントで色んなものが紐付けされるようになった。
SNSの数も一気に増える。
ゲームにもアカウント制が導入されて、ソフトを跨いでデータ連携されるようになった。
今では、ありとあらゆるアプリにアカウントが存在している。
全て、「僕」という固有の存在に紐付けられた一意の情報。
これらは、僕を定義する要素のひとつになっている。
呟きも買い物も入金も予約も連絡も、全てそうした「僕の一要素」を経由して手続きが行われる。
サブスクリプションに登録したアカウントは、いちいち主人である僕が申請をせずとも自動で契約を更新をしてくれる。
お陰で僕はNetflixの動画をずっと視聴できるし、プロテインも定期的に補充できる。
様々なアカウントが「僕」として振る舞い、何かしらのアウトプットとインプットを行っている。
僕はせいぜい、指を動かすだけ。
そこで、その指に目を落とした。
そうか、一番長い付き合いなのは、これだよなぁ。
「今日はこのアカウントが開始されてから、38年と4ヶ月の記念日です」
能力に不満も覚えるし、レベルが上がりにくいし、仮に上がっても欲しいスキルがなかなか身につかないけれど、ここまで来ると腐れ縁というか、結構良いところもあるなと思う。
僕らはこのアカウントを様々な設定で使い分けている。
職場用設定、友人向け設定、パートナー向け設定、家族向け設定etc...
たぶん、お金や進路や住む場所等にも、それぞれ設定を変えている人も居るんじゃないかな。
セーブデータの一部はしょっちゅう消えるし、期待する処理性能は当たり前のように下回るけるど、交換も出来ないし、こんなにも育成の甲斐があるアカウントは他に無いんだと思う。
サービス停止になるその日まで、僕らは毎日ログインし続けて、様々な人たちをフォローして、またフォローされていく。
「このアカウントを更新しますか?」
勿論。
もっともっと、心からそう思えるように、このアカウントの舵取りを自動から手動に切り替えていこう。
自動思考は長年の癖からなかなか変更が難しいから。最近、それをとても痛感する。
自分の操作権限を、自分で握っていく。
この元気が出ない日々も、それを否認するんじゃなくて受け入れながら、とはいえ綺麗にいかずに悪戦苦闘しつつも、また明日も新しい履歴を刻んでいくんだろう。
そして、人生の様々な節目に、クライアントさんが自らの新しい操作方法に切り替えるためのサポートを、僕らカウンセラーはしていけるはずだと思う。
さて、もうすぐ、38年と4ヶ月目の記念日が終わる。
おやすみなさい。
また明日も各々のアカウントでのログインをお待ちしています。
文責:心理カウンセラー 俊(しゅん)