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【日経リスキリングから⑥】水炊き発祥のミツカン「味ぽん」60周年、全国で万能調味料になったワケ(ヒットの原点)
日本経済新聞社の日経電子版にある「日経リスキリング」(掲載時の名称は「NIKKEI STYLE」)に書いた記事です。この日経リスキリングに今も残る、ロングセラー商品の歴史的な背景を探る「ヒットの原点」シリーズからご紹介します(※表記されている年や数字・社会情勢・環境や経済状況などは記事公開当時のままです)。
ミツカンホールディングスのポン酢製品「味ぽん」を知らない人は、国内ではもはや少ないだろう。今年2024年11月で発売から60周年を迎えた。ポン酢は今、鍋の季節になると欠かせない調味料として重宝される。最近では味ぽんに限らず、全国各地で多種多様なポン酢製品が販売されているが、その火付け役となったのがミツカン「味ぽん」だった。
福岡市は博多の名物として人気の鶏鍋「水炊き」を1950年代に食べたミツカン社長の七代目・中埜又左エ門氏が、このポン酢に魅了され、商品化に知恵を絞ってきた。劣化しやすい柑橘系の果汁を、いかに長期にわたって品質を維持するか――。その工夫を生み出して、ロングセラー商品へと育てた。
鍋料理ではしょうゆ、みそが定番だった関東や東北で味ぽんを浸透させようと、戦術的に“あの市場”に目をつけたのも面白いエピソードだった。
ミツカンホールディングスのぽん酢「味ぽん」は鍋用の調味料としておなじみの存在。前身商品が発売されたのは1964年の東京オリンピック後と、意外にも戦後デビューだ。原型となった調味料はもともと関西から九州で鳥肉の鍋「水炊き」に使われていた。この割とローカルだった調味料を、全国に広めた立役者が味ぽんだ。ギョーザや大根おろしにもかけるなど、今や家庭で定番的な調味料に「出世」した味ぽんは、どうやって世に出たのか。
ミツカンのロングセラーぽん酢「味ぽん」は、もともと鍋料理を楽しむ「ぽん酢としょうゆを合わせたたれ」として1964年に最初の商品が発売された。しかし、80年代以降はギョウザや焼き肉、焼き魚などに合わせるという「鍋外」の使い方が広まった。家庭の「基礎調味料」に出世していった裏側には、ミツカンの周到なマーケティング戦略があった。
鍋料理に使う調味料だけでは、夏場は売れず市場は広がらない。そこで、様々な料理に合う、使えるとテレビCMなどでも提案しながらマーケットをつくってきたところも、ミツカンの底力を感じさせる。
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