【AIを使いこなすツール】AI使いこなすにはリエンジニアリングが必須『予測マシンの世紀 第三部』#2
こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。
AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。
目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
第十二章 ワークフローを分解する
第十三章 決断を分解する
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来)
第三部、ツールに関してです。昨日の記事は以下です。
■ワークフローを分解す
さて、いよいよ予測マシンを使うためのツールについてです。予測マシンの時代を考える上で、IT革命を振り返ることから本は始まります。
IT革命の真っ只中、企業は「コンピュータをどのようにビジネスに導入すべきか?ある企業では、「計算が多いところを探して、人間の代わりにコンピューターを使えば、より良く、より速く、より安くなる」と簡単に答えが出た。それに対して、実験を行った。
この挑戦から、「リエンジニアリング」という動きが生まれたそうです。
リエンジニアリングとは、企業における、既存の管理方法や業務プロセスを抜本的に見直し、変更すること。ビジネスプロセスを再構築することにより、業務スピードの向上、人件費などのコスト削減、さらに競争優位の創出が可能になる。ビジネスプロセスの変更は、仕事のやり方だけではなく、組織や管理方法、求められる人材、経営者の役割などにも影響を及ぼす。
このリエンジニアリングが予測マシンの時代にも重要。
『Reengineering the Corporation』という本があるそうです。その中で、「コンピュータという新しい汎用技術を使うためには、企業は自分たちのプロセスから一歩引いて、達成したい目的を明確にする必要がある」と記載があるそうです。まさにリエンジニアリングです。
企業はワークフローを研究し、目的を達成するために必要なタスクを特定した上で、それらのタスクにコンピュータが役割を果たすかどうかを検討する必要があるとした。
例えで、1980年代にフォードが直面した「車を作ること」ではなく「みんなにお金を払うこと」のジレンマが取り上げらえています。参考記事は以下。
上記記事によると、
フォードは、買掛金の厳格化計画に熱心だったが、マツダを見るまではそうではなかった。フォードは400人規模の部署を目指していたが、マツダの買掛金組織は5人であった。絶対数の差は驚くべきもので、マツダの規模の小ささを調整しても、フォードは買掛金組織が本来の5倍の規模になっていると考えた。フォードのチームは、この差を体操や社歌、低金利のせいにしてはいけないと考えていた。
マツダは買掛金組織が5人、フォードはなんと400人。これは会社規模の違いを考えても異常です。日本人の生産性の高さだけでは片付きません。何が起こっていたのか?
フォードのマネージャーは、パフォーマンスを向上させるために、一歩下がって購買が行われるプロセスを見直さなければならなかった。発注書を作成してから実際に購入するまでには、多くの人が対応している。その中の一人でも仕事に時間がかかれば、システム全体のスピードが落ちてしまう。
購入の際には、発注書の照合が必要なものもあった。その作業は、プロセスの中で一人がやらなければならない。つまり、問題のある注文がごく一部だったとしても、その人の時間の大半は問題解決に費やされていた。そうすると、すべての注文が、最も困難な注文のスピードで流れていくことになる。
『ザ・ゴール』にあるようなボトルネックの理屈でしょうか。発注書の照合の際の時間が注文プロセスの全てを握っており、しかもそこを1人の人間がやっていたので、めちゃめちゃ時間がかかると。ここで、コンピューターの活用です。
コンピューターは、システムの障害となっていたミスマッチを減らすだけでなく、難しい案件と簡単な案件を選別し、簡単な案件を適切なスピードで処理することができるのだ。新しいシステムが導入されると、フォードの買掛金部門は75%削減され、プロセス全体が大幅に速く、正確になった。
この例は、頭数を減らせた取り組みです。
では他の例はどうでしょうか?
大手生命保険会社のMutual Benefit Lifeは、申請書を処理する際に、5つの部門の19人が30の異なるステップを踏んでいることを発見した。ちゃんと整理して進めれば、実際には1日で終わらせることができるはずだ。しかし、実際には、1つの申請書に5日から25日かかっていた。
なぜか?トランジットの時間だ。さらに悪いことに、動きの鈍いターゲットに張り付くようにして、他のさまざまな非効率性が積み重なっていた。ここでもまた、エンタープライズコンピュータシステムによる共有データベースが、意思決定を改善し、ハンドリングを減らし、生産性を劇的に向上させた。最終的には、1つのアプリケーションを1人の担当者が管理するようになり、処理時間は4時間から数日にまで短縮されました。
こちらは、1人で見れる範囲が大幅に増えた例です。以下は参考記事。
古典的なコンピューティングと同様に、AIは汎用的な技術だ。予測は意思決定の重要なインプットであるため、あらゆる意思決定に影響を与える可能性がある。したがって、問題や既存のプロセスに「AIを投入する」だけで、生産性の大幅な向上を実現できるマネージャーはいない。AIは、プロセスを見直す必要があるタイプのテクノロジーなのだ。
AI自体は予測を安価にしますが、それを使って生産性を上げるには、プロセス自体を見直す必要があります。
では、いよいよ具体化していきます。