【AIを使いこなすツール】採用のAI化を例に『予測マシンの世紀 第三部』#4
こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。
AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。
目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
第十二章 ワークフローを分解する
第十三章 決断を分解する
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来)
第三部、ツールに関してです。昨日の記事は以下です。
■ワークフローを分解する
昨日は、ワークフローがタスクに分解され、そのタスクをこなすには意思決定が必要、そこをAIに置き換えていくという過程を見てきました。このような活動はGoogleなどは既に急速に進めており、知らない間にAIに置き換わって言います。恐ろしい。
このAIの恩恵を受ける為にも、意識的にワークフローのタスクにAIを入れていく必要があります。本の具体例を元に、見ていきます。
本ではMBAプログラムへの学生募集を例に議論しています。まずはワークフローをタスクに分解します。
MBAプログラムへの学生募集について考えてみよう。MBAのリクルーティングのワークフローは、潜在的な応募者のプールから始まり、エントリーオファーを受け取り、受け入れる人々のグループへとつながっていく。
具体的には以下の三つのステップです。
(1)応募を促すステップからなるセールスファネル
(2)オファーを受ける人を検討するプロセス
(3)オファーを受けた人にオファーを受け入れるよう促すさらなるステップ
それぞれのステップに多大な人的・金銭的リソースが投入されています。
セールスファネルは、以下の意味のようです。参考ページは以下。
セールスファネルとは、「セールス活動の漏斗(ろうと)」という意味です。セールスファネルは、初めて企業のビジネスに触れる人が潜在顧客・見込み顧客から認知・購入、継続的な顧客化に至るまでの過程を分解して段階を踏む形にしたものです。
ここで考えるべきは、目的です。というのは予測マシンの導入する際はリターンとコストを考える必要があり、最終的にGOを出すにはこの採用プロセスの目的を明確にする必要があります。
このような採用プロセスの目的は、最高の学生を集めたクラスを作ることである。しかし、「最高」とは何かというのは複雑な問題であり、学校の戦略的目標にも関係する。ここでは、「最高」の定義の違いが、AIツールの設計やワークフロー内のタスクにどのような影響を与えるかという問題はさておき、単に学校が組織にとっての「最高」の意味を明確に定義していると仮定します。
つまり、一連のアプリケーションが与えられれば、学校は努力次第で学生を最高の観点からランク付けすることができる。
まずは最高、の定義はMBAの学校が定義していると仮定します。ではリクルートに進んでいきましょう。
リクルートワークフローの中間段階である「どの応募者にオファーを出すか」には、オファーを出す時期を早くするか遅くするか、金銭的なインセンティブや援助を付帯させるかなど、重要な決定が含まれる。
これらの決定は、単に優秀な人材を対象とするだけでなく、優秀な人材にオファーを受け入れてもらうための最も効果的な方法を予測することにもつながる(ワークフローの後半で実際される)。
では、まず始めに、どの応募者にオファーを出せばよいでしょうか?
そうするには、応募者のランク付けが必要です。
一般的に候補者は、
(a)明らかにオファーを受けるべき、
(b)(a)の人がオファーを辞退した場合にオファーを受けるべき、
(c)全くオファーを受けない、
というように、バケットa、b、cにランク付けされる。そうなると、エラーの可能性を高める可能性のある行動の是非をバランスよく考えるリスクマネジメントが必要になるす。
「エラーの可能性を高める可能性のある行動の是非をバランスよく考えるリスクマネジメント」とは何でしょうか?
例えば、(a)や(b)にすべき人を、アプリケーション上では明らかではない理由で(c)にしたくはない。
応募を促したい人にオファーしない事態は確かに避けたいです。
同様に、優先順位が低いはずの人を(a)に配置することも避けたい。
これもその通り。ただ、こういったエラーを避けるのは結構大変です。応募は多次元的である(指標が多い)ため、評価には、客観的なものと主観的なものが混在しています。
さて、うまく切り分けられるでしょうか?
もしうまくAIが出来たと仮定すると、以下の効果が得られます。
仮に、MBAプログラムがAIを開発したとすると、応募書類やその他の情報を受け取り、そのような応募書類や情報が後のベストスコアにどのように反映されたかという過去のデータに基づいて学習し、応募者全員の明確なランキングを提供することが出来る。
このAIツールは、どの応募者にオファーを出すべきかを選ぶ作業を、より早く、より安く、より正確にしてくれる。
応募者全員のランク付けも正確にできるし、誰にオファーするかも明確で正確。とても良いです。これよりも大事なことがあります。
重要なのは、このような魔法のような予測技術が、他のMBAのワークフローにどのような影響を与えるかということだ。
少しわかりづらくなってきたので整理します。
今は、仮に応募者のランキング付けを出来る予測マシンがうまく出来たら、MBA採用のフローにどのように影響があるかを議論しています。そのような予測マシンの作り方には言及していません。
もし、応募者をランク付けするための予測技術を開発できれば、それはどの応募者が最も優秀である可能性が高いかを教えてくれる予測を提供する。そして、この予測はワークフロー全体の決定に影響する。
そう、仮に応募者がランキングできれば、どの応募者が優秀かを予測できます。すると、
①早期入学許可(おそらく他校に先駆けて)
②金銭的なインセンティブ(奨学金)
③特別な配慮(教員や著名な卒業生とのランチ)
などをワークフローのに加えることを検討できます。
上記の項目はトレードオフの関係だ。志望度の高い候補者をより正確にリストアップすることで、誰がこれらのリソースを受け取るかが変わる。また、最高の候補者であると確信している候補者には、経済的なインセンティブをより多く費やすことができるだろう。
さらにこの応募者優秀度予測ランキングは、学校が願書を受け取る前に行う決定に、さらに大きな影響を与える可能性があります。
多くの学校は、より多くの応募を受けたいと思っている一方で、あまりにも多くの応募があった場合には、それらを評価してランキングするという問題に直面することを知っている。
私たちの予測マシンは、そのような順位付けを行うコストを劇的に削減します。その結果、ランク付けのために多くの応募書類を用意することのリターンが大きくなる。このようにして、学校は応募者プールの範囲を広げることが出来る。願書の選別があまりにも簡単なので、より多くの願書を受け取ることに実質的なコストがかからないため、出願料をゼロにするかもしれない。
ランキングできる予測マシンが出来上がると、願書を受け取ってからランク付けするための人件費無くなり時間を削減されます。つまりランク付けがほぼ無料になるため、より多くの応募者を募集出来ます(リターンが多くなる)。そうすると、さらにデータがたまり、予測も正確になるし、MBA応募量を無料にも出来るかも知れません。
さらに、
もしランキングが十分に優れていれば、ほぼ瞬時に反映され、ワークフロー全体のタイミングとトップMBA候補者の競争のダイナミクスを大きく変えることができるだろう。
MBAの人材確保そのものの在り方を変える可能性がありますね。
まとめます。
今考えたランク付けをするAIは仮想的なものですが、この例では、ワークフローの中のタスクにAIツールを配置すること以下の効果が得られます。
・タスクが削除されたり(例:手動でのアプリケーションのランク付け)
・追加されたり(例:より広い範囲での広告)
もちろん、ビジネスごとに結果は異なるが、ワークフローを分解することで、予測マシンが設計された個々の判断をはるかに超えて到達する可能性があるかどうかを評価することが出来る。
ワークフローの中のタスクをAIに置き換えると、そのワークフロー事態にどういう影響を及ぼすかを見てきました。
明日は別の例を見ていきます。
草場壽一