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【AIによる予測】予測マシンの世紀#21 AIと人間の分業④ 人間も予測マシンも苦手なこと

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
 第3章 魔法の予測マシン
 第4章 「知能」と呼ばれるわけ
 第5章 データは新しい石油
 第6章 分業の新たな形
第2部 意思決定(決断を解明する;判断の価値 ほか)
第3部 ツール(ワークフローを分解する;決断を分解する ほか)
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来)

我々は如何に予測マシンと共同できるのか?前回は記事はこちら。

それでは続きを見ていきます。

■分業の新たな形
昨日は、予測に関する人間の不得意分野を見ていきました。それではマシンの不得意分野はどうでしょうか?まずはドナルド・ラムズフェルド元国防長官の話から始まります。

既知の既知:我々が知っていることだ。
既知の未知:知らないことがあることを知っている。
しかし、他もある。
未知の未知:私たちが知らないものは知らない。
我が国や他の自由主義国の歴史を振り返ってみると、難しいのは後者のカテゴリーです。

ちょっと混乱するので、図にするとよいかもです。今回はしません。

これは、予測マシンが失敗する条件を理解するのに有用な構造を提供している。
第一に、「既知の既知」とは、データが豊富にあり、良い予測ができることがわかっている場合だ。
第二に、「既知の未知」とは、データが少なすぎるため、予測が難しいことがわかっている場合だ。
第三に、「未知の未知」とは、過去の経験やデータにあるものでは捉えられないが、それでも可能性がある事象で、気づかないうちに予測が困難になっているものだ。
最後に、ラムズフェルド氏が認識していなかった「未知の既知」というカテゴリーは、過去に強いと思われた関連性が、時間の経過とともに変化する未知の、あるいは観察されていない要因の結果であり、できると思っていた予測が信頼できなくなる場合だ。
予測マシンが失敗するのは、まさに統計学でよく理解されている限界に基づいて予測するのが難しい場合だ。

よく見てきましょう。

・既知の既知
これはわかりやすいです。豊富なデータがあれば、マシン予測はうまく機能します。

マシンは、良い予測を出すという意味で、状況を知っている。そして、私たちはその予測が良いものであることを知っている。これが現在のマシン知能のスイートスポットだ。詐欺の検出、医療診断、野球選手、保釈金の決定などは、すべてこのカテゴリーに該当する。

・既知の未知
今日の最高の予測モデルでさえも、大量のデータを必要とします。データが少ないものは、良い予測を提供しません。予測できることが難しい(未知)、ということを知っている(既知)ということですね。

いくつかの事象は稀であるため、データがあまりない場合もあり、そのような事象を予測することは難しい
アメリカの大統領選挙は4年に1度しか行われず、候補者や政治環境も変化する。数年先の大統領選挙の結果を予測することはほぼ不可能だ。2016年の選挙では、数日先、あるいは選挙当日の結果を予測することすら難しいことが示された。大地震は、いつ、どこで、どのくらいの大きさの地震が起こるかを予測することは、これまでのところ困難であることが証明されている。

マシンはこの点が弱点です。対照的に、人間は少ないデータで予測することが非常に得意なことがあるそうです。

人間は、一度や二度見ただけで、違う角度から見ても顔がわかる。40年後の小学4年生の同級生の顔が、何度も変化しているにもかかわらず識別できる。
また、私たちはアナロジー(類推)にも長けている。新しい状況を想定して、新しい環境で役に立つ他の状況を特定することができる。例えば、科学者たちは何十年もの間、原子をミニチュアの太陽系に見立てて想像してきた。今でも多くの学校でそのように教えられている。

この、既知の未知、つまりデータが少ない状況でのマシン予測に関して、様々検討が進められています。マシンが一度だけ見ただけで対象物をよく予測する「ワンショット学習」のような技術を開発が進んでいますが、まだこれからという感じです。ワンショット学習に関しては以下。ワンショット「未満」まで行っている模様。

・未知の未知
これもわかりやすいと思います。知らない、起こっていないことは予測できません。何かが以前に起こったことがない場合、マシンはそれを予測することはできません。

ナシム・ニコラス・タレブは、著書『ブラック・スワン』の中で未知の未知の現象を強調している。18世紀のヨーロッパ人にとって白鳥といえば白であった。しかし、オーストラリアに到着した彼らが目にしたのは、全く新しい、予測不可能な黒い白鳥だった。
タレブは、この発見はヨーロッパやオーストラリアの社会の方向性にほとんど影響を与えなかったが、他の未知の存在の出現は重要な結果をもたらすと論じている。

ブラック・スワンの例として、音楽業界が取り上げられています。1990 年代はCDの売り上げは最高潮で、音楽業界はイケイケでしたね。私も思春期はCD世代です。しかし、音楽共有ソフトが出てきました。

1999年、18歳のショーン・ファニングは、インターネット上で音楽ファイルを無料で共有できるプログラム「ナップスター」を開発した。間もなく、人々はそのようなファイルを何百万もダウンロードし、音楽業界の収益は落ち始め、いまだに回復していない。

この、ファニングの存在がまさに未知の未知です。マシン予測では彼の登場を予測できませんでした。
この未知の未知に関しては、人間もマシンも苦手です。

さて、既知の未知に関しては予測マシンが苦手だとわかりましたが、これだけではありません。

これはまた明日!

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/

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