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映画レビュー:6 手作りロボットは犬人間の夢を見るか「ロボット・ドリームズ」

 全国1000万人のぼっちの皆さん、こんばんは。年末年始はいかがお過ごしでしたか?
アラフィフのプロぼっちである自分は少し前までは親から「誰かいい人はいないの?」と聞かれたりしましたが、遂にそれも聞かれなくなりました。
あきらめたんでしょうかね?

そんなぼっちの人に贈るのが今作「ロボット・ドリームズ」です。

 アメリカの作家サラ・バロンによる同名グラフィックノベルが原作として、スペインのパブロ・ベルへル監督が初めて手掛けた長編アニメーション映画で、2024年第96回アカデミー賞にノミネート(ちなみに受賞作はパヤオの『君たちはどう生きるか』)

 擬人化された動物たちが住む1980年代のニューヨークに一人ぼっちのドッグ。通販番組で購入した手作りロボットと友人となり、友情を深めていくが、夏の終わりの海水浴の帰りにロボットは錆びて動かなくなり、そのままビーチは閉鎖。ドッグとロボットはお互いの再会を待ちわびながら、離れ離れになる……。

というようなお話。ちなみにセリフは全くなし

 ほのぼのとしたポップな絵柄でしたが、アラフィフのぼっちオジサンにはチクチクと突き刺さるような映画でしたわ。
ドッグくんが一人でアタリのピンポンのテレビゲーム(自分の家も持っていた)をプレイしたり、途中ダックさんと仲良くなって、「このままいけるんじゃね?」と思ったら、突然ヨーロッパに移住したり、「旅行に参加したら友達ができるかも?」という宣伝に騙されてスキー旅行に行ったら、そこでカップルでバカにされるだけで、結局友達もできず一人で帰ったり(帰りのバスでガラスに息を吹きかけ一人で〇✕ゲームをする演出もよい)などなど。

 一方のロボットの方も、謎のボート部集団によって足首を切り取られるわ。ジャンク品としてバラバラにされるわ、仕舞いにはラジカセを胴体になるよう魔改造されて、まるで「キン肉マン」に出てくるステカセキングみたいになる始末。

 そんなすれ違いな状態のままのドッグとロボット。そんな二人(?)が、クライマックスで「出会っていたら」という体でかかる曲がアース・ウィンド・アンド・ファイアーの名曲『セプテンバー』。

 知っていましたか? 『セプテンバー』は「12月に9月に出会った頃を思い出す」歌だったのです。自分は今まで9月の歌だと思っていた……。

 とにかく、この『セプテンバー』をBGMに(本当は再会していないのだが)ドッグとロボットが踊り出すシーンが切なくて泣けるんですよ。今までは、巨人の阿部慎之助の打席入場曲のイメージしかなかったのですが、これからはこの映画のドッグとロボの出会いと別れが思い出されるんですかねえ。

 大切な人と一緒に観るのもよし、ぼっちで見て、かつては親しかったけど今は離れ離れになった親友、恋人、親戚などなど、誰かを思い出しながら鑑賞するのもオススメな作品です。


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サミュエル・L・シュウイチ
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