最高のグリーンカレーと妻 【企画参加】
今週は、久しぶりに珈琲次郎さんの企画に参加してみたいと思います。
テーマは「パートナーとの特別料理」です。
妻との思い出の味といえばタイのグリーンカレーである。
元々、何の接点もなかった僕達は、お互いが大学生の時にタイで出会った。僕は一人旅で、彼女は友達2人と一緒だった。
そこはアユタヤという町にあった、一軒のゲストハウス。宿泊費はなんと1泊300円。ガイドブックで数多くの好意的なコメントを集めていた、伝説的な安宿である。
その宿には、ガイドブックの情報を頼りに、各地から日本人が集まってきていた。僕のように日本から来たばっかりの人もいれば、東南アジアを周っている人、インドで6ヶ月放浪してきた人など様々。
バックパッカーをしていると、情報交換は重要だ。当時は今の様にネットが普及していない時代。「地球の歩き方」に乗っていない情報は、他の人に聞くしかない。だから初対面でも、同じ日本人ということで、すぐに打ち解けることがある。
この時もそうだ。意気投合した僕達は、翌日、みんなで一緒に観光することになった。船をチャーターして遺跡巡りをし、ナイトマーケットに行って夜遅くまで飲んだ。
総勢8人のグループの中で、自然と話す機会が多かったのが妻である。よく笑う子だというのが、その時の印象だ。後から当時の写真を見返すと、僕達が隣同士でいることが驚くほど多かった。
かといって、下心は全く無し。
お互いに付き合っている相手がいて、日本での住所だって千キロ以上離れている。そんな状況で、彼女を恋愛対象として見れるわけがない。ただ、ただ、一緒にいることが楽しかっただけだ。
そしてその日の深夜、僕や彼女達のグループは、夜行列車に乗ってバンコクを目指し、明け方のバンコクで別れを告げた。
そしてそれから8年後、僕はひょんなことから彼女に再会する。その時に彼女が作ってくれたのがグリーンカレーだった。
ココナッツミルクの香りがする本格的なタイの味。辛さで舌がちょっとしびれる感じが、ビールによく合った。
なんて料理上手なんだ!そう思ったことを覚えている。家カレーと言えばジャワカレー派だった僕にとって、グリーンカレーという彼女の選択肢はとても新鮮で、しかも美味しかった。
妻と結婚後、意外に妻が辛いものを食べないこと、料理に苦手意識を持っていることに驚いた。
妻と言えばグリーンカレー。「辛い物好き&料理好き」のはずだったのに・・・。思わず疑問を妻にぶつけてみると、意外な答えが返ってきた。
「元々、そんなに辛いものは得意ではないの。しかしせっかくの再会だったから、いかにもタイらしい料理にしたくて選んだの。あのグリーンカレーはペーストを使っているので、見た目ほど難しくないんだよ。」
あの時、料理が苦手な彼女が作ってくれたグリーンカレーを食べた感動は忘れない。味もいいし、何より初めての手料理だ。だから最高に決まっている。
そして彼女はあの時も、そして今も最高である。
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