【受賞者インタビュー】渋いダークファンタジーの作り手は、若手クリエイターとCAMPで出会った職人たちの混成チームだった! 福岡IGE2022『HARMA』
2022年12月17日、新たなインディーゲームイベントが福岡で発足した。
その名は「福岡インディーゲームエキスポ2022」!
福岡市による後援のもと福岡インディーゲーム協会により開催された本イベントは、個人や小規模で活躍するゲームクリエイターが自身の作品を展示し、来場者に試遊してもらう、展示会形式のイベントだ。
初回ということもあり、会場はそこまで大きな部屋ではなかったものの、累計で350名もの来場者が訪れ、会場は常に熱気で溢れていた。
またゲーム制作に関するワークショップやトークセッションが行われるなど、これからゲームを作ろうという人にとっても有益なイベントであったように思う。
そんな本イベントは集英社ゲームクリエイターズCAMPも協賛しており、スポンサー企業賞として「集英社ゲームクリエイターズCAMP賞」の授与を行った。
受賞者はローグライクカードゲーム「HARMA」を出展した「Indirect Shine」!
今回はそんな「HARMA」を開発している5名のクリエイターたちに、制作が始まった経緯や、ゲームに詰め込まれたこだわりを伺った。
なんとメンバーの何人かは集英社ゲームクリエイターズCAMPで出会ったという事実も明らかになり、どのようにCAMPを活用されたのかを伺うこともできた。これから制作の仲間を募集したいという人には必見の内容となっている。
出会いのきっかけはCAMP!? チーム結成秘話
――本日はよろしくお願いいたします!
では初めに、軽く自己紹介をお願いしてよろしいでしょうか。
キム
私は「HARMA」でプログラミングや開発全般を担当しているキム・ギフンといいます。よろしくお願いします。
イ
私は開発の一部とチームマネジメントを担当しているイ・ジュンヒョンと申します。よろしくお願いします。
青木
今回「HARMA」でBGM全般とSEの方を担当させていただいている、青木しんたろうといいます。
銀親
ドット絵担当その1、銀親と申します。よろしくお願いします。
ふうじゅ
ドット絵担当その2、ふうじゅと申します。よろしくお願いします。
――よろしくお願いいたします!
「HARMA」の開発に参加されているのは、こちらの5名で全員でしょうか?
キム
もう一人韓国の方に、ゲームの企画などをやっているキム・ソンカンというメンバーがいます。
――そちらの方は今も韓国にいらっしゃって、リモートで開発に参加されているということでしょうか?
キム
そうですね。
――では合計で6名体制ということですね。
皆さん全員、サークル「Indirect Shine」のメンバーということになるのでしょうか?
キム
いえ、サークルは私とマネージャーの2名だけです。
他の皆さんは「HARMA」というプロジェクトに参加いただいている形です。
――なるほど。では「Indirect Shine」としては、キムさんとイさんのお二人ということですね。
お二人は韓国からいらっしゃって、現在は愛媛の大学に在学されているということですが、最初に「一緒にゲームを作ろう」となった経緯はどのような感じだったのでしょう?
キム
2~3年前に同じ大学の留学生間で、一緒にプログラミングをしてアプリを作る機会がありました。
私はずっと「ゲームを作ってみたい」という想いがあったので、何回かゲームを作ってはダメになって……というのを繰り返していたのですが、その中で「HARMA」のベースとなるものが生まれました。
韓国の友達はゲーム好きの人が多くて、「こういうゲームがあったら良い」というのをよく話していたのですが、そういった会話の内容が、アイデアの参考になっています。
――留学生の友達同士での集まりがきっかけだったんですね。イさんと一緒にやることになったのは、どういう経緯があったのでしょうか?
イ
元々は他の友だちがアプリやWebページの制作に参加していたので、私も「ちょっと手伝うよ」と入っていったのがきっかけだったのですが、今も続けているのは私一人ですね。
――作り始めたのは何年くらい前になるのでしょうか?
イ
2年くらい前だったと思います。私が大学3年生の初めくらいで、キムさんが2年生ですかね。
――そこから「HARMA」がスタートして、しばらくしてから他の皆さんも参加されたということですね。
イ
そうですね。作り始めてから半年以上は経っていたと思います。皆さんにお声がけした段階で、お見せできる程度には出来上がっていたので。
――他の皆さんとは、どのような形で出会われたのでしょう?
青木
僕はまさに集英社ゲームクリエイターズCAMPで、お二人がレトロなゲームのサウンドクリエイターを募集しているのを見かけまして。
めちゃくちゃゲーム画面がカッコよかったし「これは参加しなきゃ!」と思いまして、速攻で連絡を取らせていただきました。
――おぉ! CAMPの「募集」機能を使われたんですね。
イ
そうです。募集を作成したところに、青木さんが応募してくださりました。
――それはそれは。CAMPがお役に立ったようでなによりです!
イ
他のお二人を見つけたのもCAMPでして、そこからTwitterのDMで連絡を取らせていただきました。
――そうなんですね! 賞の審査時にはそのことを全然知らなかったのですが、図らずともCAMPと関わりが深いタイトルに差し上げていたと(笑)。
CAMPではどのようにして探されたんですか?
キム
まず「ドット絵のゲームを作りたいな」とは思っていて、加えて私が「HARMA」でイメージしていたのは、明るいアニメ調のビジュアルではなく、それとは真逆のダークなものでしたので、そこから絞っていきました。
そういったドット絵を描かれている方はあまり多くはなく、何人かに連絡を取ってみたのですが、特に良いなと思っていた銀親さんとふうじゅさんからお返事をいただきまして、お二人にお願いすることになりました。
――銀親さんとふうじゅさんは、「仕事を受けよう」と思った決め手みたいなものは、何かあったのでしょうか?
銀親
僕は元々「DarkBlood」など雰囲気が近いゲームに携わっていたのもあり、ファンタジー系には強いかなと思っていたところはありましたので、「やってみようかな」と。
あとゲームボーイ的なモノクロ一色のドットも得意分野でしたので、多分自分の力が出せるのではないかというのもありました。
ふうじゅ
僕の場合は、ちょうどその時は仕事もなくて暇でしたので。
どうしようかなと思って、とりあえずCAMPに登録したらDMが来たので、じゃあやってみようかなという感じでした。
なので何か「決め手」があったというよりは、ちょうどタイミングが良かったという感じです。
それで入ってみたら銀親さんがいてびっくりしたんですが(笑)。
――お二人は元々お知り合いだったんですか?
ふうじゅ
いえ。でもドッターの世界は狭いので(笑)。
だいたいの人のことは、知ってはいますよね。
――そうなんですね。
皆さんCAMPに登録してくださったのは、お仕事が来るかもしれないというのが理由だったのでしょうか?
銀親・ふうじゅ
そうですね。
青木
CAMPは自分のメインジョブに対する募集が立つと通知が来るので、それですぐに内容が見やすく、相手方との連絡も取りやすいので、かなり使いやすいですね。
――おぉ、それはありがとうございます!
やはり皆さん、そういった部分でご活用いただいているんですね。
ふうじゅ
CAMPの登録ユーザー以外からも「CAMPを見た」といって依頼が来たことがありましたね。それは企業からの依頼だったのですが。
人が集まっているので、そういった方も結構見ているのではないかと。
――そうなんですね! CAMPとしては、そういった活用も大歓迎です。
やり取りは基本Discord、リモートでの開発について
――皆さん、それぞれお住まいはバラバラだと思うのですが、普段はどのようにやり取りをされているのでしょう?
キム
基本的にはDiscordで。会議をするときもスケジュールを合わせてDiscord内で行っています。開発中のアプリに大きなアップデートがあるたびに、会議を開くような形で進めていました。
資料などは共有ドライブで管理しています。
――なるほど。ちなみにテストプレイなどは募集されていたりするのでしょうか?
キム
過去にクラウドファンディングをしたことがあるんですが、その際に支援いただいた方にクローズベータテストを行ってもらっています。そこでフィードバックやバグ報告をいただいて、修正している感じですね。
――そうなんですね。それはどのくらいの人数の方がいらっしゃるのでしょう?
キム
支援をいただいた方は、韓国と日本で合計170人くらいです。その中でベータテストに参加してくれているのは30~40人くらい。実際にフィードバックをくれた人は、もうすこし少ないと思います。
――すごい、そんなにいらっしゃるんですね!
フィードバックのやり取りは、どのようにされているのでしょう?
キム
クラウドファンディングのサービス内にメッセージ機能があるので、それを使ったり。あとはGoogleフォームで送ってもらう形ですね。
もはや趣味で大学生をやっている!? 今の制作状況
――キムさんとイさんは現在も大学生ですよね。学業もお忙しいのではないかと思うのですが、イベントにも多数出展されておりますし、どのように両立されているのでしょう?
キム
韓国で事業者登録をしたときから、もうゲーム制作が本業になっていて、趣味で学生も続けているみたいな感じですね(笑)。
――なるほど。ちなみにゲーム制作ツールの使い方などは独学で学ばれたのでしょうか?
キム
そうですね。ツールはUnityを使っているのですが、その使い方は大学の留学生同士で制作をしていたときに身に着けました。
でもプログラミングの知識は大学に入る前から勉強していたので、すぐに取り組めるようになりました。
――技術面のスキルはそれほど苦労なく習得できたんですね。逆に苦労された、あるいは今も苦労されている点はありますか?
キム
そうですね……。
やはりゲーム制作は初めてでしたから、何らかの問題を解決したとき、それが最適なソリューションだったのか確信が持てないんですよね。
幸い「HARMA」はシングルプレイでボリュームもそれほど多くはないので、それほど処理パフォーマンスに関わるような問題はなかったのですが、そういった面が難しかったですね。
――さきほどベータテストを行っているというお話でしたが、そこでのフィードバックによる調整とかも大変ではありませんでしたか?
キム
そうですね。
最初にきちんと企画を立てて作ってはいるのですが、プレイしてもらうことで変わる部分もたくさんあるので。
プレイヤー的には小さな変更でも、システム的には結構変えないといけないときとかもあるんですね。
でも正しいフィードバックだったら、やはり変えないといけないですね。
こだわりに共感してくれる人に向けて作りたい
受賞作「HARMA」に詰まった想い
――「福岡インディーゲームエキスポ」の出展者一覧を見たとき、「HARMA」はめちゃくちゃ渋いダークファンタジーだったので、「結構ベテランの人が作ってるんじゃないかな」と勝手に想像していたのですが、実際にお会いしたらすごい若い方々だったので驚きました。
どうしてこのようなゲームを作ろうと思ったのか、発案の経緯やきっかけは何だったのでしょうか?
キム
元々昔のゲームが好きだったんです。特にドット絵特有の美しさというか。上手く描かれたドット絵って、本当に綺麗ですよね。
「HARMA」のようにダークな雰囲気のゲームが好きで、今までもたくさん遊んできました。
それで自分でゲームを作ろうと思い、コンセプトを考えているときに「みんなが好きなものにするか、自分が好きなものにするか」と悩みました。
もちろん収益を上げる必要がありますから、すごく具体的なターゲットを設定して、そこに一番刺さるコンセプトのゲームを作るほうが良いのかなという考えはありました。
でもインディーゲームだから、なにより作る人の主観とこだわりがあって、そこに共感する人へ伝わるようなゲームが良いなと。そのほうが作る過程も楽しいと思いますし。
自分が伝えたいものを、そのまま伝えられるものにしたい。それがダークファンタジーになったのは、私の好みです(笑)。
――そうなんですね。韓国ではこういうレトロなダークファンタジーが流行っているとか、そういうことは?
キム・イ
ないないない(笑)。
――そうですか(笑)。では子供のときにプレイされていたのが、そういうゲームが多かったとか?
キム
今思えばそうかもしれません。確かに子供のころから、ドット絵のものに限らず暗いゲームが好きだったので。お話もハッピーエンドじゃなくて、悲しい話とか。
参考にしているのは「Bloodborne」とか「Diablo」とか、そういうゲームなんですけれど。
でもこういう3Dのゲームを作るのは大変そうなので、自分の好みとしても綺麗だと思えて、コスト的にも現実的だったのがドット絵のゲームでした。
ドット絵の色は8色に制限しているのですが、これも最初はコストが理由でした。でも今は、それが雰囲気を出していて逆に良かったなと思っています。
――確かに。でも「8色だけで描く」というのも特殊なスキルが求められそうですが、ドット絵を描かれたお二人としてはどうでした?
銀親
それなりに難しいことだとは思うのですが、ドット絵描きは「ゲームボーイの4色」であったりとか「ファミコンのカラー」であるとか、制限して打つことが好きな人は多いですし、僕もそのうちの一人ではあったので、できるだろうとは思っていました。
ふうじゅ
自分も8色を少ないとは思わないというか。カラーで8色なら少ないとは思うのですが、今回はモノクロなので問題ないかなと思いました。
――なるほど。確かにモノクロで8色であれば、十分なのかもしれません。ただ別な問題として、モノクロですべてを表現しないといけないという難しさはありそうです。
銀親
まぁそのへんは、装飾やデザインで表現できれば良いのかなとは思いますけどね。
ふうじゅ
本当に色を表現しないといけないなら難しいと思いますが、凹凸や光の加減などがわかればキャラクターを描くことはできるので、特に問題はないかなと思いました。
――ちなみにお二人が「HARMA」で手がけられた中で、特に難しかったものや、よく描けたと思うものはありますか?
銀親
一番最初に依頼されたのが、馬に乗った騎士だったのですが、馬って難しいですよね。これを描くときは、いろんな映画やゲームを見て参考にしましたね。
ふうじゅ
自分の場合は、広告で使うということで依頼された絵がとにかくデカかったので大変でしたね。
サイズが大きくなればなるほど、ドットの並びがちゃんと整っているのか見る範囲も増えていくので……それが面倒くさいですよね銀親さん?
銀親
僕はね、面倒というのはないですね!
一同
(笑)
ふうじゅ
えぇー? そうですか。
僕はもう「クソデカドット……面倒くさい……面倒くさい……」と言いながらやってましたよ。
もうチェックすればするほど、直したい部分が出てくるんですよね。
――うわぁ確かに。ドット絵って地道に打っていくイメージですから、巨大なものになると相当大変そうですね。
そういえば、ドット絵担当であるお二人の役割分担って何かあるのでしょうか?
銀親
明確な役割分担はなかったと思いますね。基本的に手が空いている方がやるという感じで。
ただ数が少ない領域であれば、片方がすべて担当するということはあったと思います。例えばカードはすべてふうじゅさんが担当されてますよね。
ふうじゅ
そうですね。逆にモンスターは銀親さんのほうが多いと思います。特にデカイやつとかは。
――それでもしっかり統一感が出せるというのはすごいですね。ベースとして明確に「ダークファンタジー」という方向性があったのが大きかったのかもしれませんね。
サウンドもやはり「ダークなものを作れる方」という感じで探されたんですか?
キム
そうですね。最初に短い効果音などのデモを作ってもらいまして、それを聞いて「この方なら良いサウンドを作ってくれそうだ」と思いまして、お願いすることにしました。
――音楽がメインかと思っていましたが、そういえば効果音も作られているとおっしゃっていましたね。両方作られている方は珍しい気もします。
青木
自分の場合、他の作品では効果音だけ担当しているものもあります。効果音を作るのも楽しいので。
――今回のようなファンタジー世界を表現するサウンドというのは、得意だったのでしょうか?
青木
他のゲームで、ゲームボーイ風の音楽を作ったことはありました。ただそちらはもっと日本風の、メロディ主体な感じの曲でしたね。
なので今回の音楽制作では「もっと暗く! もっと暗く!」ということを言われましたね。
あと最初は16bitサウンドを主体として曲を作っていたのですが、お二人が描かれたドット絵がカッコよすぎて、それに合わせると安っぽくなってしまうなと感じたんですよね。
なので生オケの方をどんどん増やしていって、そこに効果音などで少しだけ16bitサウンドを加えるような形になっています。
――なるほど。確かにサウンドに関しては「レトロだけじゃないな」というのは感じていました。そういった方向性についても、やりとりをされていく中で決まっていったのでしょうか?
キム
そうですね。最初から100%は伝わらないので、何度かやり取りをしていきました。
サウンドについては全然知識がありませんでしたので、参考にできそうなものをいくつかリストアップして「こういう感じが良いです」と送ったら、もう全然カッコいいものを作ってくれました。
――先程の「16bitサウンドだけじゃないほうが良い」というのも、青木さんの方から提案されたのでしょうか?
キム
そうですね。
青木
そのへんは大分自由にやらせてもらっていて、ありがたいですね。
作品全体や章ごとのテーマがはっきりしているので、作りやすいですし。
――外部の方に依頼するとなると「要件をしっかり決めなきゃ」みたいに考えがちですが、相談し合いながら任せるところは任せるスタイルでできているのは、とても良い関係性ですね。
ゲームシステムで大切にしたのは
「はじめるのは簡単、マスターするのは難しい」
キム
カードゲームにしようと決めて、どんなシステムにしようか考えたときに、一番大事にしたのが「Easy to start, hard to master」つまり「はじめるのは簡単、マスターするのは難しい」ということでした。
ルール自体は簡単で、目に見える要素も簡単で、でも実力次第で深い戦略が楽しめるゲームにしたかったんですね。
そのためにさまざまなゲームを遊んで参考にしました。
「HARMA」はモバイルのゲームですが、モバイルだとカジュアルなゲームが多いですよね。それらは簡単にプレイできるし、クリアもできる。
「HARMA」も簡単にプレイできるのですが、最後までクリアしようと思うとかなり難しいゲームになっています。
――確かにルール自体はシンプルで、イベントで試遊させていただいたときもすぐに理解できましたね。
本作はデッキ構築型ローグライトというジャンルだと思いますが、この手のゲームには珍しく、技の成否やダメージ量に確率要素が入っていますよね。しかも単なる確率ではなく、リソースを消費することで成功確度を上げられるようになっています。
これはどういった狙いで入れたシステムなのでしょうか?
キム
戦略を考えるのは良いのですが、それだけで成功するとは限らないようにしたかったんですね。
出会う敵の種類にはランダム性があるので、それに合わせた戦略を考える必要があるのですが、それでも繰り返しプレイしていれば「この敵はこうすれば倒せる」というのがわかってきますよね。
なので、バトルの中においてもランダム性を高めることで、同じやり方が通じないようにしたかったんです。
最後までクリアしようと思ったら、十分な実力と運が必要になります。
プレイするのは簡単、でもクリアするのは難しくて運も必要だから、何回も最初からプレイする、というのがモバイルゲームには合うのではないかと思いました。
死んだら全部最初からになり、キャラクターも元に戻ってしまいますが、プレイヤーは学習して徐々に強くなっていくはずです。
――なるほど。ちなみに1周クリアするのにはどのくらい時間がかかる想定でしょうか?
キム
ゆっくりプレイしたら1時間くらいのボリュームにしたいとは思っています。
――ふむふむ。でもそれは1回で順調に行ければの話で、実際にクリアしようと思ったら何日も繰り返しプレイして、プレイヤー自身の経験値を貯めていく必要があるわけですね。
キム
そうです。
――同ジャンルにおける他のゲームですと、周回するごとに使えるカードが増えるなどで、徐々に有利になっていきますよね。
本作にはそういった要素はないのでしょうか?
キム
今のところ想定はしていないですね。
一度出会ったり倒したりした敵は「モンスター図鑑」に記載されていくので、情報面では有利になっていくと思いますが。
プレイヤーキャラクター自体にレベルなどはなく、カードもすべて最初から使えます。
――なるほど。そこも一つこだわりがあるポイントなんですね。
確かにキャラクターが強くなっていくと、最終的には誰でもクリアできるようになる反面、一度クリアしちゃうと「次もクリアできるだろうし、もういいか」となりやすい可能性はありますよね。
その点「HARMA」は、一回クリアできても次できるかはわからない、まだまだスリルが味わえると。
リリースは2023年の春か夏ごろを予定!
今後の目標と意気込み
――「HARMA」は2023年リリース予定とのことですが、今後はどのようなご予定となっているのでしょうか。
キム
今はコンテストや支援プログラムなどの申請を行っています。
その結果次第ではあるのですが、おそらく2023年の春か夏あたりにはリリースできるのではないかと思っています。
最初に考えていたよりも大分ボリュームが増えていまして。
特に敵の種類ですね。銀親さんが「できるだけたくさん用意して、繰り返しプレイしても新しい敵に出会えるようにしたほうが良い」とおっしゃって、ものすごいスピードでバンバン描いてくれるので、その組み込みなどを行っています。
――なるほど。それはとても楽しみですね!
では最後に、今後の目標や意気込みをお伺いできればと思います。
キム
私が好きなゲーム開発者のモットーに「みんなのためのゲームは、誰のためのものでもない」という言葉があります。
私もインディーゲーム開発者として、「HARMA」を買ってくれるような人に楽しんでもらえるゲームにしたいと思っています。
ドット絵もこれ以上ないくらいにカッコいいものを描いていただいたので、これを早く皆さんに届けたいと思います。
イ
私は、ディレクターであるキムさんのビジョンの実現に協力したい一心でやってきましたので、これからもそれを続けつつ、自分でも「これは私が参加したゲームだ」と誇れるような仕事ができたら良いなと思っています。
もちろん、皆さんの力にもなれたらと思っています。
青木
僕としては、作品のコンセプトもしっかりしていますし、グラフィックもとてもカッコいいので、それをしっかり盛り上げられる音作りですかね。
世界観をしっかり残しつつ、「そこにしかない音」という尖りを、こだわりを持って120%作り込んでいきたいと思っています。
サウンドトラックも出ますので!
ふうじゅ
僕は銀親さんに迷惑をかけないように……以上ですね。
一同
(笑)
ふうじゅ
まぁ意気込みというほどのものではないですが、地道に頑張るというくらいですかね。それが一番重要なので。
銀親
日々の中で、目の前の仕事を一個一個やっていく。がんばるぞい、って感じです!
――なるほど(笑)。ありがとうございました!
現役大学生でありながら、強いこだわりを持って果敢にゲーム作りへ挑む「Indirect Shine」のお二人と、それを後押しする頼もしきグラフィック・サウンドの職人たちというメンバー構成が、非常に印象的なチームであった。
出身国も年齢も異なるメンバーが、CAMPを通じて出会ってゲームを作り、もうすぐリリースを迎えるという。
図らずともそんなケースを目の当たりにすることができ、我々運営チームとしても喜びと感慨の深いインタビューとなった。
そんなローグライクカードゲーム「HARMA」は、記事内でもお伝えした通り2023年の春か夏ごろにリリースを予定しているとのこと。
対応プラットフォームは iOS & Android だ。
公式ツイッターでは最新情報が公開されているほか、本記事で何度も話題に上がったカッコいいグラフィックもアニメーション付きで紹介されているので、ぜひチェックしてほしい。
「HARMA」の開発メンバー探しに活用されたCAMPの「募集」機能については、下記の記事にて使い方を解説している。これから制作の仲間を募集したいという人は、ぜひご一読いただきたい。
「いきなり一緒に制作するのはちょっと……」とハードルを感じている人には、まずテストプレイやアドバイスを依頼できる「サポートメンバー」機能もオススメしたい。こちらも記事にて使い方を解説しているので、併せてチェックしてみよう。