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父親、誕生。

とある植物園の名ばかり園長の独り言シリーズとして更新しておりましたが、今回はひとつ大切な節目というか、今の気持ちを記録しておかなきゃということで、綴ります。


先日、2019/12/12 17:51 娘が産まれました。
こうやって、文章にしても違和感があるほど、まるで実感が湧きませんが、どうやら父親になったようです。


女性の場合、身体に明らかな変化があり、主体的に妊娠・出産を感じる(感じざるを得ない)かと思いますが、世の男性は(少なくとも私は)、気持ちの面でどうしても付いていくことができません。

今回、妊娠に関しては計画的なものではなく、俗に言う「できちゃった婚」良いように言うと「授かり婚」でした。

本来、妊娠が発覚した瞬間ってめちゃくちゃ嬉しくて、夫婦でハイタッチするような、喜びを爆発させる瞬間ですよね。私もそれを想像しながら生きていたので、まさかこんな形で妊娠を受け入れないといけないなんて……と少しばかり、いや、全力で戸惑いを隠しきれませんでした。

まだ、付き合って9ヵ月やし、妻(当時は彼女)のご両親にもご挨拶どころか顔を合わせたこともない状態やし、もちろん妻も私も受け入れることなんてできていないし、超絶ロマンチックなプロポーズだってまだできていない…。(結婚する気というか、したい気はめちゃくちゃありました。妻は知らんけど。(笑))

そんな中で、夫婦共々ふたり夜な夜な泣きながら、今後のことを話し合いました。
妻が、顔面ぐしゃぐしゃで泣きながら、「おなかの子を守りたい」と消えるようなか細い声で、でもはっきりとした口調で、その言葉を発したと同時に、俺が2人を守っていこう、という強い覚悟を持ったことを今でも隅々まで記憶しております。

こうして始まった、3人の生活。

2人とも普通の会社員(私は異業種ですが…)のため、仕事があることは前提で、両親ご挨拶&大謝罪(人生で一番緊張しました。)、悪阻、引っ越し(当時は2人とも一人暮らしでした。)、結婚式、新婚旅行、後期悪阻、出産準備と、振り返れば5月~12月は怒涛の日々を過ごしました。(丁寧に振り返ると、のんびり1日1日を大切に過ごしていたようにも思います。)

時にはぶつかり合うこともあり、悪阻の時期なんかは妻はもちろんのこと、私のメンタルも崩壊しかけるほどに弱り切っていました。

それでも少しずつ受け入れ、一つ一つこなしていくうちに、妻とは形だけではない「夫婦」になっていきます。こうなればこっちのもん!
元々二人ともスーパーポジティブマインドを持ち合わせているので、日に日にお腹が膨らんでいく様を見るのが毎日の楽しみになりました。

幸い妻の会社は、時代遅れの価値観を取っ払っている優良企業だったので、すぐさま在宅勤務が認められ、無理をせず仕事と妊娠期と家事を両立してくれました。一方、私も一人暮らしを僅かにかじっていたこともあり、最低限の(人によってはアウトレベル)家事はこなせたのも救いでした。

令和時代は仕事を言い訳に家事をしない価値観は通用しない、と自分に言い聞かせ、24時間体制でおなかの子を育ててくれている妻を全力でサポートしました。(半分以上は空回り。。。)

そうこうしているうちに臨月。臨月を迎えてから、妻のやる気は最高潮に達し、毎日平均1万歩以上の散歩(ドラクエウォークにはお世話になりました。)、病院がやっているヨガ教室やエアロビ教室にも可能な限り参加、自宅でもできる限り運動している姿をみて、心の底から頼もしく、誇らしく感じました。
膨らんだお腹に、安心して生まれてきていいよ、あなたのお母さんはとっても強くたくましく、あなたのことを愛してくれているよ、と語りかけました。(恥ずかしいので心の中で、ですが。)

11月下旬、妻と検診に出向いた際、いつ生まれてきてもおかしくない、だいぶ下りてきている、と言われてから2週間ほど経過。
予定日まであと3日を残した夜中、妻となにか予感を察し、早めに寝床でスタンバイ。「陣痛着たかも」アプリを片手にウトウトしていました。(私は寝落ち。妻よ、本当に申し訳ない。。。)明け方4時半に、10分刻みの陣痛となったため、病院へ出発します。


陣痛は壮絶でした。

特段何も考えず、「立ち合います!」と意気込んでいた私。
実際はなにもわかっておりませんでした。

陣痛は痛い、男性なら耐えられず死ぬ、鼻からスイカを出すのと同等、など色々言われております。私も知識としてはわかっているつもりでした。
ただ、これだけ毎日運動していて、年齢も若く(妻は25歳)、バレエを20年間していたことから柔軟性抜群の妻だから大丈夫だろう、と少々高を括っていたのかもしれません。

陣痛が始まって9時間。

医者「陣痛がまだまだ弱い、このままだとお母さんの体力が尽きる。促進剤を打ちましょう。」
多少なりとも母体にリスクが生じる陣痛促進剤。これを打たないといけないほどなのか、安産しか考えていなかった夫であり父親である私は、動揺を隠しきれませんでした。妻の顔をチラ見すると、今にも死にそうなほど弱り切っています。(比喩ではありません。)
これは促進剤に賭けよう、と誓約書にサインを記し、よちよち歩きの妻と分娩室へ。

促進剤を打ってから大体どのくらいで産まれますか?の質問に対しての返答は「約5~7時間です。」とのこと。まじか( ^ω^)・・・

ただ、これ以降の妻が本当に本当にすごかった。

弱音を一切吐かず、全身全霊で痛みと戦って、異例の1時間半で子宮口が全開に!あと1時間で産まれます!と助産師さん。私すでに感動で涙目。

その助産師さんの言葉も全く受け入れず、ものの20分で産み落としたのだから、これはもう気合いとしか説明がつかなかったです。

誕生の瞬間は、とても動物的な瞬間で、思わず目を背けたくなるような光景でしたが、妻に声をかけつつ、その様を目に焼き付けました。と同時に、目には涙が溢れてきました。こんな自然に涙が溢れたのは初めてです。

生まれたての赤ちゃんが妻の胸に乗せられます。
出産が終わってすぐの妻は、顔に生気が戻り、何事もなかったかのような笑顔で赤ちゃんを見つめていました。そして私に感謝の言葉を投げかけてくれたのです。

こっちのセリフやねん!ほんま…。

陣痛が始まって13時間、本当にお疲れさま。

今度はパパの番。
妻に安心して任せてもらえるよう、家事・育児励んでいきたいと思います。


産んでくれて、ありがとう。

産まれてきてくれて、ありがとう。

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