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苦しい夜。

ICUの個室に移り、幾分かは快適になったものの、やっぱり夜は寝苦しい。

体温は相変わらず38℃超。喉はからっから。
でも寝付けない理由はこれだけではなかった。

まず、喉の奥の方でずっと痰が絡んでいるが、これがなかなか出せなくて苦しい。

今回行った弁形成術は、右の肋骨の隙間から内視鏡を入れて行う、いわゆるMICS:ミックスという手法で行われたが、この方法は、右肺が視野の妨げになるため、手術中は分離換気により右肺を虚脱させる。
その影響なのか、手術後からずっと「肺炎」のような症状が続いている。

息を吸えば、喉の奥から胸の方でゴロゴロ・・・
時折、喉の方まで上がってくる痰が咳を誘発してくるが、咳をすると傷口が疼いて痛い。。
咳をした瞬間に、肋骨の間の筋肉が、傷口をキュッと締め付けるように反応し、攣ったような痛みが出る。それと同時に、時々右の背中の内部で何かがひっかかるような痛みが出る(恐らく、排液の為に入っているドレーンチューブかと・・・?)。この痛みが出ると、全身に一気に緊張が入り、思わず身体をよじらせてしまう。
軽い胸の圧迫感・重量感に加え、痰はしつこく絡む。。でも咳をすると痛い。。どっちつかずで、か弱く「コホン・・・」と、声にも近い音を出すしか方法がなかった。

ベッドの角度調整も意外と重要で、特に、頭側の角度調整をせず真っ平にしてしまうと、傷口と背中の痛みが強くなる為、頭側を最低20°以上上げておかないと休めなかった。角度調整が上手くいって一旦落ち着いても、同じ姿勢は長く続かず徐々にきつくなるため、その度に姿勢を変えたり、枕の位置を変えたり、角度調整したりして、もぞもぞとしていた。。

呼吸や傷口の痛みを配慮するだけでも、かなり疲れてしまうが、横紋筋融解症で一時的に不自由になった右脚も、太ももの裏やふくらはぎを中心とした突っ張り、右脚全体的にじりじりとした痺れを出しながら、常に締め付けられるような状態が続いている。
そのまま動かさず放置していると、徐々に脚の付け根と足先の方から冷感が出てくる。症状が悪化しているような気がして、落ち着かない。
「このまま動かさないと、血流が完全に途絶えて、脚がもう動かなくなってしまうのでは・・・?」
そういう不安も襲ってくる為、寝付こうとするたびに、右脚を動かすという状況が続いていた。

火照り、喉の渇き、痰絡み、傷口や脚の痛み・・・いろいろ気になる症状を、水分補給で紛らわすことしか出来なかったが、それを続けていると、案の定、午前2時~3時頃には飲水制限の1000mlに達してしまった。
コップに入った本日最後の一杯の水を、15~20分おきにちびちびと口に入れて、一瞬だけ気持ちが満たされている間にと、目を瞑って「はよ意識とべ!」と念じていたが、眠りに落ちるのも束の間。30分程度で目が覚めてしまう。
目を瞑ってもなかなか眠れないので、その時はベッド横にあるテレビをつけて、ボーっと眺めるように見ていた。この時間帯はNHKぐらいしか見るものが無く、世界の風景映像を見るしかなかったが、BGMの心地よさがちょうど良く、徐々に寝落ち。。
そのまま朝まで眠っていられたら良いが、「○時になりました。」と定刻ニュースを読み上げるアナウンサーの声が聞こえる度に、絶望の目覚めをしていた。

朝が遠い。。。

ICU2日目、3日目の夜はなかなか寝付くことが出来なかった。

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