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映画「ルックバック」を観て

感想を書かなきゃいけないな、と思った。
旅はいつか、終わりを迎えるのだから。
映画『ルックバック』を観た。原作は読んでいる。

京本にとって藤野は"背中を追い続けている人"であり、自分の世界を広げてくれた人"で。
藤野にとって京本は "圧倒的な才を持ったライバル"で、"自分を肯定してくれた人"だった。

藤野と京本が過ごした日々。積み重ねてきた作品と、かけがえのない時間。
費やした時間への"価値"を顧みることなく、前だけを見てがむしゃらに進み続ける。
戦友であり、相方であり、味方であり、仲間であり、きっとかけがえのない友人だったのだろう。

京本が「やりたいことができた。夢を追いたいんだ」と打ち明けた時の、藤野の絶望、怒り、やるせなさ、困惑。

「描くこと自体は全く好きじゃない」と言いながらも、後戻りができないところまで登ってしまったこと。

京本が不在になった後もひたすらに描き続ける。数字が下がろうが、上がろうが、ひたすらにペンを握る背中だけが映し出されるシーン。
求めている画力を伴ったアシスタントがなかなか現れなくとも、描いて、ただひたすらに描いて。
孤独な背中なのだけど、その心情は全く語られない。

京本が亡き後にも、やっぱり自分は描くしかないんだと決意をして、背中がまた映される。
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色々タイミングが重なったこともあって、今この瞬間に観ないといけないと思った。
気がつくと号泣、というか嗚咽をあげて泣いていた。

2人の関係性も、藤野の気持ちも。
痛いほどに今、わかる。
自分の創作活動に当てはめた時、私は京本のように、書き続けなければならない。
もう後戻りができない。振り出しに戻る、という選択肢なんてとうの昔に過ぎ去ってしまった。

終わらない旅などない。
もし旅が終わってしまったとしても、私はきっと書き続けるのだと思う。

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