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「大丈夫?」なんて気安く聞かないで!ただ寄り添って!話を聴いて!
僕がクローン病だった頃、お見舞いに来て、
「大丈夫?」
って聞かれるのが、一番嫌だった。
なぜなら、いつも心の中で
「大丈夫じゃないから、病院にいるねん」
って思っていたから。
「大変だったよね?」
「辛かったよね?」
そんなふうに共感する人も嫌いだった。
そもそも、
「お前に何がわかるねん」
って思っていたから。
「乗り越えられない試練はないのよ」
なんてアドバイスをする人は、大嫌いだった。
そして、
「元気になったら、美味しいものを食べに行こうね」
って言う人は、最悪だった。
なぜなら、僕は当時、一生食事制限があると言われていたから。
僕は、難病を患うことで、精神までやられていたから、ホントひねくれていたし、すごく失礼だったと思う。
全てに対して反抗的だったから、本当に申し訳なかったと思う。
ごめんなさい。
でも、本当に大変な時には、
「大丈夫?」
なんて気安く聞かないでほしかったし、その気持ちは、今でも変わらない。
そもそも、
「大丈夫?」
と聞いて、僕が
「大丈夫じゃない」
って言ったら、どうするの?
「あなたに、何ができるの?」
「助けてくれるの?」
大抵の日本人は、ものすごく心優しいから、
「大丈夫?」
と聞かれると
「大丈夫!」
って強がって言うし、僕も最初は、それをやっていた。
でも、そんなことを繰り返す毎日で、
「なんで、病人の僕が気を遣わなきゃいけないの?」
って思うようになった。
「なんなん、この茶番!」
そんな風にまで、思うようになってしまった。
これは、僕の実体験から言えることだが、もしお見舞いに行くなら、
「大丈夫?」
なんて気安く聞かない方がいい。
助言やアドバイスなんていうのは、もってのほか!
そもそも医師や専門家でない一般人が言うことなんて、所詮、相手を救っているつもりだろうが、綺麗事を言っている自分を救っているにすぎない。
辛い経験や、同じような体験をした人は、つい
「わかるよ」
といいがちだが、あなたとは立場も状況も違うんだから、これも気安く
「わかるよ」
なんて言わない方が、絶対にいい!
もし、何かしたいなら、まずは
「そばにいてもいい?」
「お邪魔じゃない?」
と確認をとるべきだ。
そして、相手の許可をとった上で、
「私に何かできることはない?」
「今の私にできることがあったら、教えてほしい」
それくらいの配慮がほしい。
雑誌や新聞、その人がほしいものを持っていくのもいいが、お花やお菓子は要注意!お花は飾れない病室もあるし、食べれない患者もいるから。
僕は昔から、
「相手の立場になって行動しなさい」
そう言われて育ってきたから、それができているつもりだったけど、自分が病気になって、改めて、
「相手の立場になんて、なれない」
ことを思い知った。
すごくショックだったし、傲慢だった自分を反省した。
でも、だからこそ、
「相手を知ろうとしたり、わかろうとする『姿勢』や『思いやり』『行動』が大事なんだ」
ってことに気づけた。
相手の立場になりたくても、なれないし、わからないからこそ、
「わかりたい」
「共感したい」
「力になりたい」
そんな謙虚な姿勢が大事だって気づけたことは、本当に良かったなって思う。
僕が病人だった頃、ただ何も言わず、傍にいてほしかった。
ただ、そっと手を握り、肩をさすってほしかった。
そして、僕の「本音」や「本心」を聴いてほしかった。
だから今、僕は、相手の「本音」や「本心」を聴けるカウンセラーであり続けたいって、常に思う。
神社昌弘(かんじゃまさひろ:本名)
https://kanja.info/contents_507.html
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