監視社会のインフラはもう十分すぎるほど、この世界にゆきとどいている〜超監視社会で身をまもる方法
『闇ウェブ』を読み、その勢いでもうちょっと突っ込んでそのへんのところ(インターネット利用における危険性)を知りたかったのでケビン・ミトニックの『超監視社会で身をまもる方法』を読みました。
闇ウェブについてはこちら。
ケビン・ミトニックはもとはクラッカー(悪いことにハッキングの知識、技術を使う)だったのだけれど(それで逮捕、収監されている)、現在はそのスキルを生かして、いわゆるホワイトハッカーとして活躍している「伝説のハッカー」です。
とても詳しく、具体的にインターネット利用(だけでなく)における危険性、その回避方法を事細かに解説してくれていますが、正直なところこれを実践するのは時間、労力、金銭面で厳しいものがありますね。
著者が言うように、どのレベルまで注意すればいいのかは人それぞれなので、実践するにあたっては必要性が感じられるところだけでいいとは思いますが。
とはいえ、本書で明かされるそうした危険、注意喚起は(程度の差はあれ)必須でしょう。
はっきり言って「プライバシー」はもはや幻。
インターネット(に限らず)でサービスを提供している側からの「追跡」を逃れるには、もはやインターネットを使わない、スマートフォンを捨てるしかないんじゃないかという気になります。
さらに恐ろしいのは、そうしたサービスだけでなく、到るところに追跡、個人情報の取得(利用、売買等のために)の罠が張り巡らされているというところ。(これから更に進んでいくであろうIoTなんかも)
無料で使えるということで、その利便性からそうした諸々にどっぷり浸ってしまっている我々ですが、実際は無料ではありません。
無料で便利だからと、喜んで監視、管理される社会に向かっていることはもっと強く意識したほうがいい。(無分別に手指消毒、常マスク、密を避ける等もその一端)
自分の個人情報や行動記録、趣味嗜好といったものを利便性と引き換えに売り渡しているのだということを。(本人はそれにいかに価値があるか、自覚していないことがほとんど)
そして彼らはそれを実際の利益(お金)に変え、莫大な利益を得ているということを。(金銭面での利益だけでなく、為政者側にとっても)
そのことをそのままに説明することなく、無味乾燥で恣意的な表現(彼らの利益を生むことを優先とした)でつづられている利用規約(ほとんどの人が読むことのない)だけを示して。
かといって、インターネットやめました、スマートフォン捨てましたで避けられるものでもなく(わたしもそれはできないし、するつもりもない)、そうしたとしても不可視(追跡からの)になれるわけでもない。(それに近い状態になる方法は書かれていますが)
超監視社会のインフラはもう十分すぎるほど、この世界にゆきとどいていることを痛感した一冊でした。