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流行りの本は、僕のことが書いてない。

僕は人気本より、
その横にそっとたたずむ、
差し本に心惹かれる。

「なんでこの本が売れてないんだ!?」
と腹が立ったことがある。
僕は「タイトルがよくない」と思った。
読者ハガキにわざわざ書いてポストに入れた。タイトル改変すれば売れるから!と。

これこそ、売るべき本だろうと思った。
世の中に流行らせなきゃいけない
必要な本だと思った。

流行りの本は、僕のことが書いてない。

「売れてる!おもしろい!」
その声は、僕の心にちっとも届かない。

流行りの本を読まないわけじゃない。
読むし、これは流行るなと思う。
面白いと思う。

でも、僕の心に届くかといえば、
そうでもない。

流行りそう。

だけど僕には、刺さらない。
残らない。

世間的には求められる面白さ、
だなって思う。

そういう作品が
嫌いなわけじゃない。
すごいと思うし、尊敬もする。

でも世間のおもしろさが、
僕に刺さるとは限らない。

面白いことと、
心にささることは
なんだか僕はちがう。

僕はすごく勝手なやつだから、

僕だけに向けられたような
これは僕の心を
のぞき見されたんじゃないかと、
僕のことが書いてある本。
そんな本が好きだ。

きっとみんなそうなんじゃない?
と密かに思っている。

そんな刺さる本は必ず、
人気のある作品のそばに置いてある。

なぜか知らないけど。

まるで僕に語りかけるように置いてある。


僕のことが書いてある。
あなたのことが書いてある。

そんな作品に出逢うために
ぼくたちは生きてる気がする。

花が咲いた本の隣に、
ひそかに咲いてる埋もれた花がある。

しょーいち


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しょーいち
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