流行りの本は、僕のことが書いてない。
僕は人気本より、
その横にそっとたたずむ、
差し本に心惹かれる。
「なんでこの本が売れてないんだ!?」
と腹が立ったことがある。
僕は「タイトルがよくない」と思った。
読者ハガキにわざわざ書いてポストに入れた。タイトル改変すれば売れるから!と。
これこそ、売るべき本だろうと思った。
世の中に流行らせなきゃいけない
必要な本だと思った。
流行りの本は、僕のことが書いてない。
「売れてる!おもしろい!」
その声は、僕の心にちっとも届かない。
流行りの本を読まないわけじゃない。
読むし、これは流行るなと思う。
面白いと思う。
でも、僕の心に届くかといえば、
そうでもない。
流行りそう。
だけど僕には、刺さらない。
残らない。
世間的には求められる面白さ、
だなって思う。
そういう作品が
嫌いなわけじゃない。
すごいと思うし、尊敬もする。
でも世間のおもしろさが、
僕に刺さるとは限らない。
面白いことと、
心にささることは
なんだか僕はちがう。
★
僕はすごく勝手なやつだから、
僕だけに向けられたような
これは僕の心を
のぞき見されたんじゃないかと、
僕のことが書いてある本。
そんな本が好きだ。
きっとみんなそうなんじゃない?
と密かに思っている。
そんな刺さる本は必ず、
人気のある作品のそばに置いてある。
なぜか知らないけど。
まるで僕に語りかけるように置いてある。
僕のことが書いてある。
あなたのことが書いてある。
そんな作品に出逢うために
ぼくたちは生きてる気がする。
花が咲いた本の隣に、
ひそかに咲いてる埋もれた花がある。
しょーいち
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