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「地方創生-1.0」という終わりの始まり
地方創生2.0のドキュメントを読んでみましたか?
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_chihousousei/pdf/honbun.pdf
地方創生2.0の致命的な誤り
地方創生2.0は1.0の失敗を踏まえたと言いながら、本質的な課題を見誤っています。そもそも、地方創生1.0の失敗の原因は「好事例を普遍化すれば全国でうまくいく」という誤った考え方にありました。各地域の状況は異なるため、中央主導でテンプレートを押し付けるやり方では成功しません。東京一極集中の是正を掲げながらも、対策が的外れのままです。
東京一極集中と地方分散の勘違い
「東京 vs. 地方」という単純な対立構図を作るのではなく、東京の強みを活かしながら、まずは大きな地方経済圏の中心となっている地方都市圏がどのように成長するかを考えるべきです。東京があるからこそ、日本は国際的な競争力を保っています。韓国や台湾のように、一極集中の規模が小さい国では、有能な人材が国外に流出してしまいます。東京を抑制すれば地方が発展するという考え方は、単なる政治的スローガンに過ぎません。
重要なのは、東京に匹敵する都市圏を育てることです。鳥取をどうするか、みたいな石破さんの駄目で、それは地域福祉的政策で、選挙対策にはなるかもしれませんが、国家戦略になりえません。東京と小さな地方の田舎ではなく、地方といっても大阪、福岡、仙台などの主要都市に機能を分散し、国際競争力を持たせるべきです。地方創生1.0でやった消費者庁の一部を徳島に移転する、文化庁を京都市に、といった場当たり的な政策では、何も変わりません。
地方の経済構造とビジネスモデルの変革が必要
地方創生が進まない最大の理由は、地方自治体が国の交付金に頼り、産業を生み出す努力をしていないことにあります。戦前は地方ごとに独自の産業が発展していましたが、戦後の補助金依存体質がそれを破壊しました。地方が生き残るためには、自立した経済基盤を持つことが不可欠です。例えば、農業においても、小規模農家を維持するのではなく、農業法人による大規模集約化を進めるべきです。実際に農家がガンガン減ったことで、単位あたりの農家の生産量が増加し、生産性も改善して、所得も改善していくというプロセスが各地で見られています。
さらに小規模な農業地域でも付加価値を引き上げる挑戦で成果をあげているところもあります。例えば、北海道の余市町では、ワイン用ブドウの生産を地域の強みとし、フランスのワイン産地と提携するなど、世界レベルでのブランド戦略を展開しています。地方が成長するには、こうした個別の解決策を生み出し、持続可能な産業を育てることが求められます。
地方の「産官学金労言」に蔓延るジジイたちの会議をいくら回しても意味はありません
なんどもこのレポートに出てくる「産官学金労言」などと関係者を集めても意味がありません。会議を開いて議論をするよりも、実際に現場で稼ぐ仕組みを構築することが重要です。そしてそれはもう若い世代や女性に譲るといっているのだから、さっさと石破総理が退陣し、若い世代に譲る模範となってもらいたいですね。地域では若者と女性が大切だといいながら、自分が年寄り集めて政治やっているんだから、誰がそれを地域で実践すんだよ、と。まずはお前がやれ、というお話です。
地方の衰退を防ぐためには、自治体が単に国の予算を分配するのではなく、企業誘致や税制優遇を通じて、地元で稼ぐ仕組みを確立することが求められます。地方自治体が真剣に産業政策を考えなければ、地方創生は単なるスローガンに終わるでしょう。
若者と女性が活躍できる環境は、人口減少で上層部が追い込まれて実現される
「若者や女性に選ばれる地方」を目指すとしながらも、実際の施策には具体性が欠けています。地方の企業が古い価値観を捨てない限り、若者や女性が働きたい環境は生まれません。そのファクターはなにか。それは人口減少です。もう人手が足りない、だから若者や女性を大切にしよう、というお話にようやくなってきています。今までは「お前らの代わりはいくらでもいる」という横柄なマネジメントをしてきた地域の各種企業、団体の上層部がかわらざるを得なくなっているのです。そこに移民を入れて楽にしようなんてストレスを削ぐようなことをやればやるほど、地元の若者も女性も流出していきます。
例えば、愛知県では、外部人材の登用に成功した企業が他社にも影響を与えた事例があります。こうした実例を学び、地方企業が変わることが重要です。
さらに人口減が極まったからこそ、北海道ではコープさっぽろなど含めた地場事業体が業績を伸ばし、地域を支える仕組みを作っているケースすらあります。人口減少は駄目だ、どんどん外国人でもなんでもいいから地方創生って文脈で入れていこうみたいな骨太の方針のような安易な方法論では、次なる問題を作り出すだけでしょう。
何より上記には淘汰がつきものです。人が減って、それに対応できない、若者や女性を大切にできない企業はそもそも淘汰されてよいのです。そのうえで一定の優秀な経営力ある企業や事業体が残れば、その地域は十分に存続できるのです。そもそも人口が減るのですから、たくさんの事業体なんてそもそもいらないのです。
地方創生は分配ではなく、経済の問題です
地方創生とは「東京 vs. 地方」の話ではなく、産業と経済の話です。国か地方かという議論はすべて財政論の議論です。国と地方という政府の中での税金で何をやるかというお話。しかし地域は財政では発展しないことは戦後80年、日本列島改造論から50年以上が経過して、今の地方が体現しているので言うまでもないでしょう。田中角栄の最後の弟子とかいってんなら石破さん、そのあたりちゃんと理解していますかーーーというあたりです。他の地域の金をいくらもらったところで、その地域が発展することなんてないのです。開発援助でもよく言われる話です。魚を与えるな、魚の釣り方を教えろ、という基本原則を無視して財政で地域をどうにかしようなんてやっているから駄目なんです。
結局総理を出した地域にたくさんの高速道路、新幹線、空港ができてもその地域は持続可能になっていません。むしろ国際競争して切磋琢磨した自動車産業がある地域、ものづくりがある地方が所得を伸ばして今も発展しています。稼ぎなくして地域の発展などありえないのです。
地方が稼げる仕組みを作らなければ、どれだけ補助金を増やしても問題は解決しません。もっともっと予算があればーーーーといって増税するだけです。事業を知らない官僚や選挙で地元にこびうることばかりの政治家が立案した抽象的な政策では、地方の課題を解決できません。地方が本気で自立しなければ、地方創生2.0は確実に失敗するでしょう。
地方創生4つの思考の転換
日本の地方は、もはや「人口を増やせば解決する」という段階にはありません。少子高齢化が進み、地方の人口減少が避けられない中で、どのように持続可能な経済を確立するかが問われています。
道路や新幹線、空港を作れば地方が活性化するという考え方は、すでに時代遅れです。交通インフラを整備した結果、地方の人口流出が加速する「ストロー現象」が発生しています。むしろ、地方で生き残るためには、産業を興し、経済の自立を果たすことが不可欠です。
今後、地方が生き残るためには、
国の補助金に頼らず、自分たちで経済を回す(交付金乞食からの脱却し地方税への殻替え、適切な地方の格差と競争と自治体破産整理なども含めた地方自治改革)
人口減少を前提に、持続可能な産業を確立する(付加価値は少人数で値上げをして成立する)
若者と女性が活躍できるよう年寄りは引退する(令和のパージで、政治家含めて役職定年)
東京を敵視せず、地方都市圏へ重点的に連携を強化して、国家としての競争力を維持する(東京の力をそいでも他国が得するだけ。さらに地方全部ではなく、地方都市圏に注力する)
これらの課題に真剣に取り組まなければなりません。
地方創生2.0は単なる掛け声に過ぎません。地方が本気で変わらなければ、いくら政策を掲げても、地方経済は沈み続けるだけです。
日本列島改造は10年単位では成功、50年単位では失敗
あと日本列島改造をなにか石破さんは高く評価しているようですが、長い目でみて自動車社会になった地方だからこそ今、詰んでいることを理解したほうがいいですね。さらに日本列島改造ブームが原因で地方の不要な投機が助長され、オイルショックとダブルのインフレで田中角栄の人気が消し飛んだことも昔はなしではないんですよね。10年くらいは土建ブームで皆が助かった、地方も便利になったとかいっていたけど、だからこそもう別に田舎にいる必要もなくなり、都会に出入りできるようになったから吸い上げられ、残った高齢者たちは自動車がないと成立ができないスプロール化した環境で終わりを迎えようとしています。
密度を薄める日本列島改造は完全に地方を終焉に向かわせました。あと、地方振興によって地方の土建に人が取られて、高度経済成長が終わったことも理解しておきましょう。以下の経済のプレズムは必読の名著レポートです。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h20pdf/20085420.pdf
ま、色々と申しましたが、基本的に短命政権でしょうし、こんなことに期待するよりも、地道でも地域での事業を立ち上げたり、自分のキャリアにしっかり投資をして稼ぎを増やしていくことが大切だなと思わされます。老後などについても社会保障改革は全く進まないので、できる限り健康に働き続けるという戦略が大切です。
動画解説
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