抱きまくらの冷たさが身にしみる
10月の中旬まで残暑だったのに、下旬から一気に秋めいてきて、11月に入ったら更に冬の足音が聞こえるようになってきた。
夏から晩秋へ、通常なら2ヶ月かけて進むはずの季節が、今年は地球温暖化のせいなのか、たったの半月ほどで進んでしまったようだ。
こうなると、いろいろなものの冷たさが気になってくる。気温がそれなりに高いと、床や家具もそこそこの熱を持っているが、気温が下がると、空気に触れているモノも冷たくなってくる。
最近、急に冷たくなったな、って、結婚して数年目の倦怠期に入り始めた夫婦みたいな感じで思ったのが、抱きまくらだった。
無呼吸症候群対策で毎晩抱きしめて寝ている抱きまくら。夏が始まる前に飼ったものだったから、接触冷感のものが多かったんだけど、夏を過ぎても使いたかったので、接触冷感ではないものを選んだつもりだった。
でも、もしかしたら接触冷感だったのかもしれない。まだ温まっていないベッドに潜り込んで、抱きまくらを抱いてみると、ひんやりとしていて眠気が一気に冷める。
まだ温まっていないとはいっても、シーツや毛布にはそんな冷たさは感じないから、やはり抱きまくらの生地が接触冷感なのだろうか。それでも、今はそれしかないし、抱きまくらを使わないで寝ると、無呼吸症候群気味になってしまう。
それでも抱きしめていると、布団の中が温まっていくにつれて、抱きまくらも暖かくなってくる。抱きまくらも含めて、布団の中が程よくあたたまると気持ちよく眠れる。
抱きまくらを抱いて独り寝していると、やっぱりこういうのが本当は必要だっていうのは、布団で寝るっていうのは、2人で抱き合って眠るように人の体ってのはできているのかね、って気もしてくる。
抱きまくらも、なんとなく人の身体の形に似ていなくもない。
もしかしたら、横向き寝で寝るのが一番自然になるように、人の身体ができているのは、パートナーを抱きしめながら寝るのが人間にとっての自然だったからなんじゃないかな、と勝手に妄想してみる。
お互いがお互いを抱きしめ合ってぬくもりを感じながら眠りにつくのが、オトナの男女の自然であったのなら、ごちゃごちゃと頭でっかちになりすぎて、男女の出会いを妨げてしまう現代日本が、極度な少子化でニンゲンという種の衰退に向かっているのもどこか納得できる気がする。
なんて、訳のわからないことを考えながら、やっぱり今夜も独り寝だ。子供と一緒に寝なくなってから長いから、もう慣れているけれども、抱きまくらの冷たさになんとなく心に隙間風が吹き込む感じもする。
やっぱり今度、もこもこで温かい抱きまくらを買ってこようかと思う。