第58話 自分と心を守る必要性。
今朝、ある女優さんの訃報を知った。
若く、美しく、才能に溢れた、大好きな女優さんでした。
あまりにも突然で、想像できないことで、現実だと受け止められずに、驚いた。
何故、あんなにも素晴らしい才能と実績を持った人が亡くならなければいけないのか?
先日も、若い俳優さんや女優さんの訃報があった。
このところ、報道のせいか、連続のように感じる。
私には、とても信じられない。
でも、少し思い当たることを、思い出しました。
実は数年前、私もある経験をしました。
数年前のある期間、たまたま仕事が極端に多忙だったせいか、かなり精神的に疲れていたのだと思います。
自分では特に意識していませんでしたが、少し自分の行動や言動に違和感がありました。
奥さんから、少し話があると言われ、話し合いをしたことがあります。
なんだろうと思っていましたが、突然、心療内科の受診を勧められました。
はじめは、冗談だと思い笑ってましたが、奥さんは真面目でした。
結局、一度だけ受診することになり、会社を休んで、奥さんと一緒に受診しました。
まさか、自分が心療内科に行くことなど、思いもしていませんでしたし、どこか軽く思っていたこともあり、笑いながら、病院へ向かいました。
かなり待たされた後、自分の順番になり、呼ばれました。
先生からの質問に私と奥さんが答えるという、カウンセリングを行いました。
まだ私には現実的ではなく、自分が心療内科を受診する必要はないと思っていました。
長い時間カウンセリングを受けました。
その後、部屋から退出し、少し後にまた呼ばれ、カウンセリングの結果を聞くことになりました。
結果は、鬱(うつ)ではないと、診断を受けました。
正直、私は「そらそうやろ。」と思ってました。
柴胡加竜骨牡蛎湯(漢方薬)を処方され、一ヶ月後にもう一度だけカウンセリングを受けることになりました。
「さあ、帰ろかー」と思ったときに、先生から最後に一つだけ話がありますと言われました。
「最後に、私と一つだけ、約束をしてください。この約束だけは、絶対に守ってください。」
何かなーと思った私に、先生が言った一言。
「絶対に、死なないでください。自分で生命を絶つことはしないと、ここで私と約束してください。」
はっきり言われました。
それまで、軽く思っていた私は、衝撃を受けました。
先生曰く、人は誰でも、ふいに自分の生命を絶つことがある。特に、私のように、軽く考えている人、全然大丈夫だと思っているような人にも起こりうることだと教えてくれました。
「あなたのように、うつではないと診断を受け、良かったと安心して、元気に帰った人が、突然、翌日に急にビルから飛び降りたりすることがある。そんな人が多いので、私と約束してください。」
先生は、静かに、ゆっくり、はっきりと、私の目をしっかり見ながら、話しました。
その時、恥ずかしながら、何故か、涙が溢れてきて、泣いてしまいました。
自分は強いようで、弱いんだと、改めて感じました。
おかげさまで、その一ヶ月後、再度受診したあとは特に問題もなく、元気に過ごしています。
そんなことがあったので、人には、自分でも気付かない心の負担があり、弱さを持っている。あまり自分を過大評価せずに、ケアも必要だと思っています。
思い出したくない過去ですが、自分と心を守る必要性。今日は、久々にそのことを思い出す日になりました。