映画「人間の証明」 ~松田優作が見たくて~
実は、松田優作の隠れファンなのかもしれない…と最近感じている(笑)きっかけは「蘇える金狼」…ドラマや映画でもリメイクされている作品ではあるけど、個人的に松田優作主演の作品のドライでゲーム感のある第1作は特に面白い。スカーフェイスのような成り上がり映画を見た後に感じる、独特の高揚感が確実にそこにあった。あくどい商売で一般社会を食いつぶす大企業を、倫理観とは別に純粋に乗っ取り食い物にしていくシーンは案外、勧善懲悪とは別にドライなゲーム的感情や視点ゆえに非常に痛快だし、一方でラストに待ち受ける切ない別れも印象的…実は、純愛作品でもあるんだよね…。
真木蔵人主演の作品はキャストの素晴らしさとは裏腹に、物語的に復讐の概念が強すぎて実は引いてしまったが…、香取慎吾主演のものは子供の頃に見た限りの記憶だけど(ということにしてください/笑)恐らく今では実現できないようなキャストにアクションが盛りだくさんだった印象…なので、それぞれ良き点微妙な点は確かにあるのだけれど、なんだかんだ…1作目の優作主演のものが、一番個人的には好きかな。
ブラックレインも良かったね…個人的にアンディ・ガルシアが大好きなので、彼との共演が見られたのも心底嬉しかったし、アンディが優作との共演で親交を深めたエピソードも好き…故に、彼の訃報を聞き落胆したというエピソードも、切ないけど2人の絆が感じられて好き…。あの映画は高倉健とマイケル・ダグラスも出演していて(他、ガッツ石松や内田裕也などそうそうたる面子も…)キャストも豪華だし、世界観も独特で…確か、リドリー・スコット監督の作品故にブレードランナーで描かれているような、湿った空気なんだよなぁ…日本とは確かに違うけど、日本の湿っぽさが感じられるというか…不思議だよね。
そんな松田優作が出演している作品の1つである「人間の証明」…森村誠一の名前は知っていたけど、実は前職がきっかけで知った「棟居刑事」…これが発祥だってのを調べて初めて知った(笑)それ位背景知識がないまま見たのだけれど…まず、映画として面白かったし当時で国をまたいでの撮影だから、相当お金も労力もかかるプロジェクトだったんだろうなって…。NYの街中でのカーチェイスシーンはしびれたね!
内容としては端的にまとめれば「不可解な殺人の真相を追うミステリー」なんだけど、どちらかといえば戦後日本の反米メンタリティの伴う悲哀が描かれているというか…あるいは、互いの事情故に生き別れを余儀なくされた親子の悲劇を描いているといえばそうだろうし…多角的な見方ができるのも確か。
ちなみに、原作とは内容が異なるらしく、例えば主人公の父親を殺した犯人(不良米兵の1人)を見つけてしまうシーンがあるんだけど、原作にはそういう描写はどうやらない(?)みたいで…ある意味アメリカ撮影に沿った形のシナリオ変更もあったのかなとも感じたし、個人的に…ジョー山中が日本人と米兵(黒人)の子供の役を演じていたことに一番驚いたね…。岩城滉一と鶴田浩二はすぐにわかったのだけれど、まさかジョー山中が登場していたとは…彼はヒップホップグループのMic Jack Productionとのコラボ作品でも非常に印象深いサビを披露していたのだけれど、まさか…びっくりした(笑)
個人的に、優作演じる棟居が鏡越しに「父親殺しの犯人(※最初は「父親を殺した人物」と同じ入れ墨のある米国人に向けられたシーンだと思い込んでいた…)」に鏡越しに銃弾を撃ち込むシーンがあって、間接的に銃弾撃たれた相手は「何やってるんだ」と、主人公の不可解な行動に首をかしげるのだけれど、まさか自分がリンチの末殺害した相手の息子に遭遇していたなんて思わないだろうから…とにかく、非常に印象に残ったシーンではある。松田優作による、人を殺めそうだが必死で抑える鬼気迫った表情…も頭に残る。
現代においては例えば軽い気持ちで「誹謗中傷」してしまって、その相手と偶然遭遇したって本人が気が付かないまま…ってパターンがしっくりくるのだと思うけど、案外あの不良米兵によるリンチシーンって「人間の隠れた心理」であって、特殊な戦場による感情では片づけられない深い闇でもあると思うんだよね…。理由なんて後付けで、日本が真珠湾で…なんてのは言い訳どころか口実にもならないわけでさ…。あるいは、現代においては相手が見えない形で、あるいは精神面で暴力的に展開されているのだろうし…。
ということで、少し「昭和」に触れることになった作品。個人的には面白かったです。そして、これは爆笑問題の太田のぴーちゃんも著作等で大いに語っていたけど、松田優作という俳優の持つ魅力…改めて感じられたし、好きな俳優だなと改めて再実感できました。
画像はニューヨークの街並みのものらしく…懐かしいね。一度だけ両親がアメリカに駐在しているときに旅行させてもらったけど、やっぱりアメリカ好きだからテンション上がったよね…また行きたい…そう思うと、社会復帰のためのモチベーションになる。
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