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今年こそ、一歩を踏み出すためのヒント
新しい年が始まると、「今年こそは一歩を踏み出したい」「何か変わりたい」と思う人は少なくないでしょう。そして多くの人は「今年の目標を立てよう」と意気込みます。でもいざ始めようとしても、「目標って!?」、「どうやったら続く?」、「結果を出すには何をすればいい?」と、具体的なアクションに詰まってしまいがちです。
実際、ただ「がんばる」と言っても空回りしがち。重要なのは、「どんな観点や要素を意識して一歩を踏み出すか」という“地図”を手に入れることかもしれません。
ここでは、筆者自身の体験、周囲の事例、先人の教えなどをもとに、昔の自分に向けてあの頃でも真似できそうなエッセンスを整理してみました。「こういうアプローチもあるのか」と思えるものが一つでもあれば、ぜひ気軽に取り入れてみてください。
筆者の簡易プロフ:
一昨年まで7年間正社員→無職→契約社員(週4)+フリーランスに転生して1年経過。
X: @shoty_k2
1.目標が建てられなくてもいい──まず“問い”から始める
目標が定まらないなら、問いを持つ
よく「新年の目標を立てよう」と言われますが、「自分が本当にやりたいことがわからない」「特に目標なんてない」という人も案外多いものです。私も目標設定がとても苦手で嫌いです。そんなときは、無理に目標をつくるのではなく、「問い」を持ってみるのがおすすめです。
たとえば、こんな問いです:
「どうすれば人間関係をもっとラクにできるだろう?」
「この技術はいったいどこで使えるのかな?」
「みんながある程度UXデザインできる社会って、どんな形になるんだろう?」
答えがまだわからなくても、問いがあるだけで好奇心のアンテナが立ち、行動の種が生まれます。問いに近づこうと試行錯誤しているうちに、自然と目標に匹敵する“ゴール”が見えてくることも少なくありません。
目標を持つなら、“Why”を添える
もし明確なゴールを持っている場合(「3ヶ月で英語会議をこなす」「サービスを立ち上げる」など)は、あわせて“Why”(なぜそれをやりたいのか)を言葉にしてみましょう。
「英語が必要だから」だけだと少々淡白かもしれません。
「海外の人にもサービスを届けたい」「世界をもう少し広く感じてみたい」など、自分がワクワクできる“ストーリー”をつけ加えるだけで、行動の芯が強くなります。
目標そのものが途中で修正されるとしても、根底のWhyは変わらないか、あるいは少しずつアップデートされていくだけなので、ブレにくい行動の指針になるはずです。
2.でも、「+コンセプト」を忘れるな
目標や問いを持つことに加えて、とても大事なのがコンセプトです。
もう一度いいます。「コンセプト」が大事なのです。
一般的にコンセプトは、そのブランドやプロダクトが「本質的に何を提供するのか」「人々にどんな意味や価値をもたらすのか」を一言で表す“芯”と言われていますが、個人が新しいことを始めるときにも役立ちます。目標や問にもコンセプトを掛け合わせてみると、行動や意思決定が驚くほど深みを増します。
昨年、私は「海外案件が増えそう」と予期し…「3ヶ月くらいでビジネス英語を何とか会議で使えるレベルにしたい」という目標を描きはじめていました。運よく(!?)まもなくサンフランシスコへの出張が決まり、通訳なしで2時間のビジネス会議に臨まなければならなかったのです。
当初の目標:「3ヶ月後には出張先で英語の会議をこなす」
想定される行動:英会話スクールに通う、オンラインレッスンを増やす、英語のニュースを読む…など、カリキュラムは立てられる
しかし、これだけでは“やることリスト”が増えるばかりで、モチベーションを保ち続ける原動力としては少し弱いと感じました。そこで、もう一段深く、“自分が本当に実現したい雰囲気”をイメージしてみたのです。
“話すだけじゃない、ポジティブな余韻を残す力を”
私が頭の中で妄想していたのは、「会議が終わったあとに相手から“プレゼン良かったよ”と肩を叩かれるような関係性を作りたい」「ちょっとした冗談で笑い合える心地よい雰囲気や余裕も出せたらいいな」という状況でした。
そこで自分なりのコンセプトとして、「話すだけじゃない、ポジティブな余韻を残す力を」と設定してみたのです。
コンセプトが生む変化
学習内容が広がる:「どうやってフォーマルな場でユーモアを入れ込めるか」「アイスブレイクに向いた話題は?」など、新しい視点で英会話を勉強するようになる
当日の立ち振る舞いや準備が変わる:会議の間の休憩のとり方、挨拶をするときの表情や間の取り方など、“ただ話す”以上の部分を意識する
こうして目標(3ヶ月後に英語で会議をする)や問い(ビジネス英語はどう学べば最短で身に付く?)だけでは見えなかった具体的なアクションが、“コンセプト”を定めたことで自然と浮かび上がってきました。
結果的に、当日もアイスブレイクがスムーズに進み、相手とのコミュニケーションに“ポジティブな余韻”を残せた手応えがあります。
3.どこで踊るかー舞台を意識する
いざ目標や問い、そしてコンセプトが固まると、「よし、やろう!」と勢いで行動を始めたくなります。もちろん、それ自体は大事なのですが、もう一歩だけ足を止めて考えてほしいのが、「どこで踊るか」という視点です。
“どの場に身を置くか”が成果を左右
特に個人頑張ろうと思う方は、才能や努力だけではどうにもならないほど、ネットワークやプラットフォームの影響が大きくなっています。SNSやコミュニティなど、自分がどの“エコシステム(生態系)”に参加し、どう関わるかがチャンスの広がりを決める大きな要因となっています。
得意や興味を、どの“エコシステム”に乗せるか
すでに盛り上がっているトレンドやコミュニティに、うまく自分の強みや興味を掛け合わせることで、一気に人目に触れる機会を増やせます。つまり、盛り上がっている「会場のステージ」や周辺の「道のスペース」をどう借りられるかを考えるわけです。
たとえば私の場合、生成AIという文脈に、自分の専門であるUXデザイン(拡張するとAI×デザイン)やビジネス路線の話を組み合わせて情報発信をしています。これはまさに、既に盛り上がっている舞台にに自分の得意分野を乗せるアプローチです。
エコシステム内の“フロー”を掴む
少し応用編の話になりますが、そのエコシステムの中で「どんなフローが発生しているのか」──つまり「情報がどう流れ、新しい話題や仕事がどのように生まれているのか」を把握できると、借りられるステージがさらに大きくなる可能性があります。あるいは、自分で新しいイベントやステージを用意することもできるかもしれません。
4.打席に立ちまくる
試行回数 × エコシステムがチャンスを呼びこむ
数をこなすことの大切さはよく語られますが、そこに“問いやコンセプト”と“エコシステムの視点”を掛け合わせると、効果はさらに高まります。イベント登壇やオンライン発信、社内プレゼンなど、どんなに小さな機会でも「打席」に立ち続ければ、ヒットが出る確率は自然に上がるものです。
そして、こうした場数が増えれば増えるほど、「あの人に声をかけてみよう」と思われやすくなるでしょう。
そのおかげで私は憧れだった日経デザインの雑誌にインタビュー記事が載りました(感無量...
5.他人に振り回されない──ほどよい距離感
「人を大切にするけど、人には程よく無関心」でいい
行動を増やそうと思っても、「失敗したらどうしよう」「人に笑われたらどうする?」と怖くなって踏み出せないことはよくあります。
少し矛盾しているように思えるかもしれませんが、“適度にドライ”な姿勢を持つだけで、驚くほど生きやすくなるケースもあります。
相手の事情と自分の事情を分ける
「相手が怒っているのは、自分が悪いから?」と即断せず、「相手にもいろいろな背景があるかも」と切り離して考える。他人を大切に思う気持ちは捨てなくていい
ただし、「必要以上に他人へ期待しすぎない」ことで、自分自身を守ることができます。
他人を思いやる姿勢は大事だが、自分の中の「相手にどう思われるか心配しすぎる気持ち」を客観視し、程よい距離感を保つことが、行動量を増やすだけではなく、自分らしく生きる土台になります。
先日、初めて会った人と深く語らったのですが、「あなた、いい意味でプライドないですね」と言われました。ちょっと実践している効果がでてきたのかも。
6.知識から知識体系に──“複利成長”を狙え
行動を続けていくと、必然的に新しい情報・スキル・経験がたまっていきます。ここで大事なのは、それらを“点”のままにせず、体系化(地図化)しておくことです。
たとえば何かを学んだら「これはどんな原理で成り立っている?」「別の分野に応用できる?」とまとめておく
一度“抽象化”して整理すれば、同じような問題に出会ったときに格段に再利用しやすい
つまり、常に新しいゲームに望むのではなく、”ルールをしっている”、”すでに武器をもっている”状態に自分をアップデートしていくようなものです。同じ労力で得られる結果が雪だるま式に増えていく、成果が積み重なるスピードが、単純な“加算”ではなく“掛け算”に近くなるわけです。その中でも、再現性の高い“勝ちパターン”を見出せる回数を増やしていくことが肝だと感じます。
ちなみに、ChatGPTなどの生成AIも使いながら、過去の学びを“引き出し”として整理できれば、新しいチャレンジに対するスピードが段違いにアップします。
7.仕組み化で続ける──意志力に頼らない工夫
「やらざるを得ない状況」を先につくる
「意志力でなんとかやりきろう」と思うと、やる気の波が来ない日にはあっさり挫折してしまいがち。そこで頼りになるのが“仕組み化”です。
例えば
・ルーティンで“やる気”を省略
「朝いちに英語のオンラインレッスンをいれて、英語脳に切り替える」といった仕組み化で、迷わず行動できるように。まじで、しんどかった笑
すでにある予定や行動とセットにする
「◯◯しながら◯◯する」習慣なら続きやすい。例えば“仕事と仕事の合間に5分だけ筋トレ”など。
継続の仕組みを見越して設計する
私は物事が長続きしません。なので「集中モード」と「のんびりモード」を最初から設計することがあります。
例:英語を学ぶなら、3ヶ月の短期集中 → 週1回のゆるいメンテ、もしくは興味があるときだけ取り組むに切り替えて“落としどころ”を作る。
この落とし所が大切です。例えば私は気が向いたときに「英語で記事を読む」、「ChatGPTと英会話してみる」などをゆるいメンテにしています。
“最初から完璧に続ける”よりも、“続かない日があっても大きく後退しない仕組み”を整えておくほうが、長い目で見て成果につながると信じています。
8.世界の見方を少し変える
「つまらない世界」「楽しい世界」のどちらを見るかは自分次第
人間は、いったん「こうだ」と思い込むと、それを裏付ける情報ばかりを集めてしまう傾向(確証バイアス)があります。これはやっかいです。
「世の中はどうせくそだ!」と思い込むと、“つまらないくそな”部分だけを無意識的に拾ってしまい、「結局そうだよな」と思いこみがち。
一方で、「意外と面白いことが転がっているかも」と考えれば、小さな発見やアイデアに敏感になり、日常の景色がガラッと変わる可能性があります。
ネガティブ・バイアスを乗り越えるための一工夫
あえて“逆”を探す
「くそな部分ばかり目に入る」と感じるときこそ、「それとは正反対のよい部分」を見つける目を養ってみる。少なくとも、「100%悪い」という思考を和らげられます。世界全体を“善”や“悪”で一括りにしない
「つまらない部分があるなら、面白い部分もある」と割り切れば、0か100かで見なくてすむはずです。
たぶん、ちょっとは生きやすくなるはず。
9.生成AIで学習速度を加速する
ChatGPTのような生成AIが登場したことで、世の中の学習ペースそのものが劇的に加速しています。しかも基本的なやり取りならコストは低く、多くの人が気軽に使えるようになりました。
“アウトプット自動生成ツール”で終わらせない
AIは文章や画像をつくるだけでなく、あなたの脳を拡張し学習を深めてくれる相棒になり得ます。
想像してみてください。地面に置かれた重たい荷物を、あなたが引っ張っている姿を。どこへ運べばいいのかわからないし、最初に動かし始めるときは特に大きな力が必要ですよね。そんなとき、AIという「隣からアドバイスをくれる存在」がいれば、
「どの方向に進めばいいか」
「どう操作すると効率がいいか」
をリアルタイムで教えてもらえます。たとえば「何から勉強を始めればいい?」「必要な前提知識はどれ?」といった基礎的な疑問をAIに尋ねるだけで、ざっくりと全体像を把握できるのです。
静止摩擦係数を下げ、前進しやすくする
荷物(=新しい学習やプロジェクト)が止まっているときは、いわゆる“静止摩擦係数”が高いため、動かし始めるハードルが大きくなります。けれど、一度動き出した後は、想像以上にスムーズに前へ進んでいくはずです。生成AIは方法のアドバイスに加えて成果物も作ってくれるため、静止摩擦係数がぐっと押し下がり、場合によっては荷物が動き出すのです。
自分ひとりであれこれ試行錯誤するよりも、AIが“初動”をサポートしてくれることで負荷がぐっと下がり、加速度的に学習が進むのが大きな利点といえます。
学習の振り返りに使う
また、学んだことや実践したことをAIに入力し、要点や不足点を整理してもらうと、スムーズに先ほど紹介した“知識の体系化”へつなげられます。
今では息を吸うようにXにポストする私ですが、昔は月1回投稿できればよいほうでした。生成AIにポストを考えてもらい、微修正して投稿を何度か繰り返していくうちにコツを掴み、自分のみでどんどん投稿できるようになったのです。
おわりに
目標があろうがなかろうが、問いを持ち、コンセプトを大切にし、行動の“舞台”を考え、打席に立ち続ける――こうした姿勢で動き出すと、不思議なことにチャンスやアイデアが巡ってくる感覚があります。
AIなどの新しい武器を使えたり、コミュニティーエコシステムが多様化したりと、“自分一人の力”に頼らなくてもいい環境が実は周りにあります。
そして、いざアクションを起こす際には「仕組み化で継続する」「知識を体系化して複利成長」「ポジティブな世界の見方をする」「ほどよく他人と距離を取る」といったポイントを押さえてみましょう。
もちろん人生、めぐりあわせや運、タイミングはコントロールできない部分があるかもしれません。でも、それらを味方につけやすい“地図”や“仕掛け”なら、自分で整えられると思っています。
数年前の自分はこの記事をみてどう思うでしょうか。私はひん曲がっているから怪しい記事だなーとか思っていそう…笑
さあ、今年こそは自分なりの一歩を踏み出してみましょう。意外な面白さや成果が、あなたの周りで動き出すかもしれません。
筆者のXアカウント:
https://x.com/shoty_k2
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