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【書評】「デジタルマーケティングの定石」はWebマーケティングの"常識"を揃える超良書
こんにちは、豊藏(@shotatykr)です。
普段はアイオイクス社にてWebコンサルタントをしています。
今日は2020年9月10日に発売された「デジタルマーケティングの定石」の書評を書いていこうと思います。
私がこの本を読んだ感想は以下の3点に集約されます。
・”定石”ではなく、"常識"として扱って良い本
・無駄を理解し、必要なことを知る本
・成果を追求するならとりあえず読んどけな本
普段から垣内さんの切れ味の良い発言に惹かれていましたが、そのイメージのままの超良書です。
Webマーケティングの新人担当者が読むべき本というよりは、今Webマーケティングにて”成果が出ないのに仕事が忙しい”と感じている担当者が読むべき本だなと感じました。
早速解説していきたいと思います。
この本の内容を要約してみた。
この本の構成はこんな形になっています。
1.デジタルマーケティングで、あちこちで起きている非常識を整理し、出来ることと出来ないことをまとめ
2.デジタルマーケティングの普遍的な真実を淡々と語り
3.サイトやビジネスモデルの特性毎にどう活用すべきかを教えてくれる
(※私の解釈含む)
Webサイトでマーケティングを行う為には、まずデジタルが出来ることを学ぶ必要があります。
自分がユーザー側の時は気にも留めないようなこと、必要としていないことでも、いざ自分がマーケティング担当やベンダ側に回ると、ついついやってしまう失敗や非常識を解説してくれます。
Q:「1000万円するBtoB商品は、非常に重要な購買意思決定をするのだから、ウェブサイトを隅々までこだわる必要があるに違いない。」
そんなもっともらしく感じる問いに対して、この本はこう答えます。
A:その前提は誤りです。高単価商品でも、Webサイトをわずか数十秒みただけで、離脱するか問い合わせをするかを決めるのです。更に問い合わせ時点でその商品の詳細をほとんど知りません。
この主張は著者である垣内さんの3万サイトに及ぶ分析経験と、ユーザ行動観察のファクトです。と非常に説得力のある論拠から語られます。
このように、ユーザーがどう行動するのか、ウェブで出来ることは何なのか。というのを事例を交え詳しく説明してくれます。
この本では、ウェブの限界について語られます。
・ユーザーは好きなもの以外、一切見ない
・カスタマージャーニーは操作出来ない
・デジタルでブランディングは出来ない
・ユーザーの行動理由はわからない
前半はウェブマーケティングで当たり前のように語られている話が、バッサバッサと切られていきます。
では「デジタルマーケティングが出来ることはないのか?」というとそういう訳ではありません。
「デジタルマーケティングの強みはこれなので、ここを最大化していきましょう。その強みを御社のビジネスモデルに生かすためには、こうやれば良いです。」
と、もはや答えまで提供してくれる。
こんな本です。
Webマーケターは「ゴミ屋敷」に侵入する特殊清掃員?
個人的に一番刺さったのが、ページ最後にあるこの内容です。
「マーケティングにおけるデジタル活用という仕事は、語弊を恐れずに言えば「ゴミ」屋敷に突入する特殊清掃員のような仕事です。」
Webマーケティングは、なまじ数値や指標がたくさんあるので、対面以上にその顧客やビジネスの状況を知った気になれます。
ただ、数値はファクトでしかありません。
「直帰率が50%だからサイトが良く見られているに違いない・・」と思っていたが、いざユーザーアンケート調査をしてみたら「ページ構造がわかりづらくて、目的のページにたどり着けなかった。」という答えが出る事も少なくありません。
サイトの数値を見るだけではわからない。その細かな調査に時間を使うのであれば、ユーザーを5人捕まえてアンケート調査とUX調査をしたほうが本質的な問題解決につながる。ともこの本では述べています。
Webマーケティングの本質は特定の成果を出すことにあり、各数値は成果を出すために行動を意思決定するただの材料の一つである。
そんなキーメッセージを受け取りました、
サイトの調査やレポーティングをしていると、ついつい数値の上下や挙動に、「意味を見出してしまいがち」です。
・数値は、あくまで数値である。
・重箱の隅をつつくことよりも、必要なことを把握すること。
・出来ることには限界があるから、必要なことをやろう。
非常にエッセンスがつづられた良書だったなぁと思います。
どんな人が読むべきか?
この本は以下のような人におすすめです。
・Webマーケティングで”何が出来る”かがわからない人
・Webの”正しい使い方”に悩んでいる人
・数値に何らかの意味を見出そうとする人
・レポート作成の目的を見失っている人
この本を読めば、デジタルマーケティングで必要なこと、みるべきこと、成果につながることがシンプルにわかります。
僕自身もWebコンサルタントとして様々な数値を扱い、分析して顧客へ説明をしたりしていますが「説明する必要のないこと」「本質とは外れていること」を整理する上で非常に参考になりました。
逆に、注視すべき本質を洗いざらい丁寧に解説をしているので、この本を指針に、サイトのマーケティングをする上で「どこをどう深めていけば良いのか?」を考えるキッカケになると思います。
この本を共通言語に、デジタルマーケティングに取り組むことで、かなり本質的かつ成果に着目したマーケティングの議論が出来るようになるのではないかと感じました。
おすすめなので、是非読んでみてください。
以上、豊藏(@shotatykr)でした!