Civic Tech Live! vol.1 〜共創を生み出すコミュニティデザインについて考えよう〜 開催レポート
はじめに
こんにちは、Code for Japanインターンの大西です!
7月4日(木)にCode for Japan主催で開催した「Civic Tech Live!」のレポートを書いたので、当日来られなかった方や振り返りをしたい方に向けてシェアさせていただきます😆
Civic Tech Live!とは?
Civic Tech Live!は、シビックテックに関係するテーマに取り組んでいる方をお招きしてパネルディスカッションやプレゼンを行う「トーク型」のシビックテックイベントです。2年前ほど前にCode for Japanが開催していた同名のイベントに「グラレコ」や「アクセシビリティ」と言った要素を加えて今回リニューアル開催することになりました。2ヶ月に1度のペースで毎回テーマを決めて実施するのですが、今回は「共創を生み出すコミュニティデザイン」をテーマに大喜利やデザイン、プロジェクトといった様々な観点からコミュニティデザインに取り組み、共創を生み出している方々をゲストにお迎えして開催しました!
イベントの様子
まず、写真でざっくりとイベントの雰囲気を振り返ろうと思います!
僕はリニューアル第1回目の司会でど緊張でした...笑
イベントにはココディーさんも来てくれていたみたいです...!
プレゼンはみなさん熱く、個性的でとても盛り上がりました😆
パネルディスカッションは終始和やかな雰囲気で、途中ミニ大喜利会なども開催されました笑
今回のイベントでは絵を使って会場の様子をレポートするグラレコを取り入れました。運営側からするとこれ以上無いほどに振り返りがしやすい手法で、いつ見ても魔法みたいです...
イベントではアクセシビリティ向上のため、UDトークというリアルタイム字幕システムを導入しており、イベントの様子が全てスクリーンに映し出されます。海外では当たり前に取り入れられているこうした仕組みがこのイベントをきっかけに広まっていくといいなと思っています。
プレゼン
イベントは前半と後半に分かれており、前半は登壇者の方々によるプレゼンでした。
1. Code for Japanが取り組んだFtO
プレゼン1人目はCode for Japanの武貞さんによるCode for Japanの紹介と「Face to Ocian」という沖縄で開催した台湾、日本、韓国の合同ハッカソンのレポートでした。
3つの国から人が集まって共通の課題解決に取り組み、それが結果としてメディアにも取り上げられて、新しい繋がりを生んだというFace to Oceanの事例を元に、「課題に対して真剣に取り組むことも大事だけど、持続していくためには楽しさが必要」というメッセージが込められたプレゼンは、2年振りに復活したCivic Tech Live!リニューアル第1回目トップバッターにぴったりで、僕もこうした場を作っていかないといけないなと感じました。
Face to Oceanハッカソンの集合写真。写真から楽しさが伝わってきます😆
「楽しさ」が紡ぐ新たな展開にワクワクします...!
プレゼンのまとめとして語られた、「楽しい」ことが続いていくことで、結果としてコミュニティが続いていく、それが無いと衰退してしまうというお話はシビックテックに限らず色々な活動に共通して言えることだなと感じました。
ポスターに入れ忘れるという失態...すみませんでした...汗
2. Code for America
2人目は恐縮ながら僕がつとめさせていただきました。5月末に参加したCode for Americaサミットで感じた、関わる人がみんな主役になるためのコミュニティづくりをするためには「ニーズの把握」と「活躍できる場」を提供することが必要なのではないかということについて「心理的安全性」の観点からまとめ直して話をさせていただきました。
半年振りのアメリカを楽しんできました😆
まだまだアイデアベースですが、アメリカと日本では制度や文化が全く違うということはもちろんありますが、そこで思考停止せずに中に入ってみると制度や文化に関係しない「一工夫」が多くあるのではないかということを最近考えているので、その辺りを今後もっと深ぼって行きたいと思います。
3. コミュニティと一緒に成長してきたCocoda!
3人目はデザイン学習サービスCocoda!を運営している株式会社alma代表の斎藤さんによる「愛されるコミュニティづくり」というタイトルの発表でした。
50枚を超える資料をもとに立ち上げ期から今までの軌跡と気づきをコミュニティと結びつけて熱く語っていただき、すごくモチベーションが高まるプレゼンでした。
プレゼンの中で特に印象に残ったのは、「Cocoda!が作るコミュニティは不安が解消されコンプレックスが勇気に変わる場所」「サービスを作る前にコミュニティを作ることでユーザーと仲間になることができ、それによってサービスの価値を高めることができる」の2つのメッセージでした。
発表を聞きながら、コミュニティとサービスを両方とも高めることで関わる人全てがサービスの作り手になり価値共創を実現しているからこそ、Cocoda!が人生を変えるような体験を作り出せているのだなと感じました。
4. 仲間探しサービス「Tomoshibi」が描く未来
3人目は株式会社Campfireにて仲間探しサービス「Tomoshibi」の事業責任者を務めている田中さんによる「プロジェクトコミュニティが創出する新しい共創と挑戦の形」というタイトルの発表でした。
排他的で独立した既存のコミュニティとTomoshibiが描くグラデーションと重なりのあるコミュニティの比較、それによって実現するオープンイノベーションや、実現するために必要な心理的安全性の確保などといった抽象的なお話と、それをTomoshibiというサービスにおいてどのように実現しているかという具体的な話を織り交ぜたプレゼンはビジョンをサービスの形にしている田中さんでなければできないものであり、とても学びになりました。
特に、コミュニティ間の繋がり作りや、コミュニティへの参加のハードルを下げるための「緩やかな繋がり」は僕自身が帰国してからずっとシビックテックの中で実現したかったことだったので、今後の活動に向けてたくさんの気づきが得られました。
5. 大喜利によって生まれたコミュニティ
プレゼンの最後は日本大喜利協会代表として活動している渡部さんによる「一億そうアウトプット社会とコミュニティデザイン」というテーマでのプレゼンでした。
大喜利活動を始めたきっかけやこれからの社会において大喜利が生み出す価値などをユニークな語り口で語る、大喜利と誰よりも真剣に向き合っている渡部さんならではのプレゼンは会場の盛り上がり方が圧巻でした。
猫カフェや企業の合宿所、銭湯など様々な場所で毎週大喜利会を開催しているそうです。興味がある方はぜひフォローをしてせんだいさんからの情報をキャッチしてください😆
個人的には、渡部さんのプレゼンはそれまでの登壇者の方々の「意識してコミュニティを作っている」という内容とは真逆の「好きなことをやっていたらコミュニティができた」という内容だったことがとても印象的でした。「コミュニティを作るぞ!」ではなく、ただただ好きなことを続けていることが、同じような気持ちを持った人を惹きつけているのかもしれないなと思いました。
「イベントは手段で、コミュニティはその結果として出来上がっている」と語る渡部さん。
パネルディスカッション
パネルディスカッションは、登壇者の方々からの提案で参加者の方々の質問に大喜利パネルを使って答えていくような形で行いました。
20分ほど密度の濃いやりとりが続きましたが、僕の視点から特に印象に残ったやりとりが2つありました。
質問:
どうすれば新しい人にコミュニティに参加してもらえるか
回答:
コミュニティに参加できるような言い訳を作ってあげることが大切。例えばビールを飲めるから参加するなど、言い訳があると気軽に来ることができる。反対に、来たくなくなったら辞める言い訳も作れるようにしてあげることも必要
このやりとりを聞きながら、来てもらうように魅力をアピールすることも大切ですが、一度引き入れたら逃さないような環境ではなく、「来るための言い訳」となるものを作り心理的ハードルを下げ、嫌になったら抜けられるような「カフェ感覚で来られる場所」を作ることがこれからのコミュニティには必要になるのかなと感じました。
質問:
コミュニティを運営していくコアメンバーが欲しいがなかなか見つからない
回答:
コアメンバーになってもらうためには深く理解してもらう必要があり、それには時間が必要。時間をかけて徐々に理解してもらうためには、外側から中心にだんだん入ってきてもらうような仕組みが重要。初めはイベント参加者やサービス利用者でも、徐々に時間をかけてコアメンバーになっていくケースもある。
サービスやコミュニティを作っていくためには1人の力でできない部分をカバーし合えるような「コアメンバー」が重要ですが、初めからコアメンバーとして参加してくれる人を捕まえにいくのではなく、ゆるいつながりから徐々に関係性を深められるようなコミュニティ運営をすることで時間をかけてコアとなってくれる人が生まれる仕組みを作るという考え方は、かっこいいプレゼンや人を惹きつける一言を言うのが苦手な僕にもできるとても優しいソリューションだなと感じました。
まとめ
「共創を生み出すコミュニティデザイン」をテーマに開催した第1回のCivic Tech Liveは30名を超える方にご参加いただき、「心理的安全性」や「手段としてのコミュニティ vs, 結果としてのコミュニティ」「グラデーションと重なりのあるコミュニティ」など、様々な観点から登壇者・参加者の方々が語り合うとても充実した2時間になりました。
今回のイベントはありがたいことに登壇者探しを全て任せていただいたので、「シビックテック」を前面に押し出すのではなくあえて普段のシビックテックイベントなどでは話すことができない方々を登壇者としてお招きし、そこにシビックテックも混ぜ合わせるような形で開催しました。準備不足や僕の司会の未熟さから多くの課題も残りましたが、これまで一度もシビックテックに来たことが無いという方々からシビックテックに深く関わっている方々まで、様々な人に来ていただき、新たな繋がりを生むことができたのがこのイベントの一番の価値かもしれないなと振り返ると思います。
3年ほどシビックテックに参加する身として、勝手ながらこの活動は様々な領域の「結合点」になることができると信じているので、これからもシビックテックの内側と外側が入り混じり、境界がなくなっていくような場作りをしていけたらと思います😆
今後のイベント紹介
Code for Japanは今回開催したシビックテックライブ以外にも、継続型ハッカソンである「ソーシャルハックデー」やオンラインのトークイベントである「シビックテックオンラインアカデミー」などのイベントを多く開催しています。次回のシビックテックライブは9月4日(水)、ソーシャルハックデーは8月3日(土)、シビックテックオンラインアカデミーは隔週の水曜日に開催していますので、興味を持っていただいた方はぜひご気軽にご参加ください!
また9月28日・29日には1000人以上が集結する全国最大級のシビックテックイベントである「Code for Japanサミット」が千葉で開催されます。
どのイベントも参加条件無しでどなたでもご参加できるますので、このブログを読んで「シビックテックって何だろう?」とか「シビックテック興味あるかも」と思ってくださった方々は、ぜひ気軽にご参加ください😆
おまけ
登壇者打ち上げの唐揚げとタコさんウインナーが美味すぎました。ぜひ登壇して一緒に食べましょう😋