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日記|20240623|トーキョー ロンリネス

「"トーキョー"って人いっぱいいるのに独りに感じる」

マフィンを食べながらA子が呟いた


大人数で飲んで朝を迎えた日曜6時のマクドナルド
梅雨空の下、朝から本降りの雨が降っている
窓の外を見るとますます雨が強くなってきた

俺の右隣にはA子、その奥には今にも寝そうなB子が座っている

2人は20年以上の幼馴染
A子は2年前に、B子は6年前に九州から上京してきたという

とはいえ2ヶ月ぶりに会ったという2人
そんな彼女らが帰る前に2人きりになれる時間の中、B子が俺も一緒に朝マックに誘ってくれた

学校選び・会社選びの段階で夢や目標を定め
それを叶えるべく"トーキョー"へやってくる

この覚悟は"東京"出身の俺には尊敬の念しかない
だってここでなんでもできるもん
そう言うと恵まれているように思われるけれど、
夢や目標が明確で、覚悟して上京してきたからこそ頑張ることができる、頑張らなくてはならない状況に我が身を自ら置いていること
それを若くして経験していることが羨ましい

ないものねだりと言えばそれまでだけれど

そして
お盆や年末年始には「帰る場所」があること
いや、"東京"出身ならばいつでも「帰る場所」があるからこそ「帰る時間」をつくらない
正確に言えば上京組には「帰る時間」が必然的にあることが羨ましい

そういう価値観を持っていたから
大人数で楽しんだ最後にその発言を聞いてすごく切なかった
独りだと思わないでほしい、と思わず口に出た

東京出身者にみえている"東京"と
地方出身者にみえている"トーキョー"では
上京して年月が経ったにせよ
見える世界が異なっていた

たとえば
歌舞伎町のトー横キッズも、地方から来た子どもたちがほとんどだという

上京組は、地元に比べ遊ぶ場所がたくさんあるといい
"東京"を心から楽しみ笑顔になっているけれど
その一方で孤独を感じている世界線も"トーキョー"にはあった


上京して頑張っていてキラキラしているように見える彼女らだって全てがうまくいっているわけではない

いわゆる「ゲラ」という、ゲラゲラ笑っている人を見るときっとこの人は笑うことで自分の感じる孤独さや寂しさを紛らわしているんだと思う
今まで出会ったゲラゲラ笑っている人は話を聞くとみんなそうだった
B子も、飲み会では(酔い関係なく)ゲラゲラ笑っていたけれど、この朝のA子との間では(眠さ関係なく)静かだった


孤独さや寂しさから、誰にも嫌われたくないという気持ちがあるのかもしれない
だからといってみんなにニコニコしていたら、こうして見破れる人もいるんだよ
見破れるならば見て見ぬ振りはしたくない
ありのままでいることが怖いかもしれないけれど、そうすることでまさに「類は友を呼ぶ」という通り、あなたの魅力に惹かれて波長が合う友人ができるよ

どうかそういう人たちの心の拠り所になりたい
孤独や寂しさからたった一瞬であれど救いたい
そして、孤独や寂しさと共に暮らす"トーキョー"の日常が、ありのままの自分で堂々と暮らせる"東京"の日常になってくれたら嬉しいな

押し付けがましいことはわかっている
うざいと思われることを書いているのもわかっている

1億2千万分の1、70億分の1が1,400万人の街に来たならば、その街の先住民としてそのように受け入れたい

梅雨の雨が孤独さや寂しさを感じさせるならば
早く晴れ晴れした夏が来て明るい気持ちになれたらいい

「またね」と言って別れた
また会える、友だちだから
ならば独りだと思わないでほしい

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