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小説の書き方とプロセス②(書き始め初期篇)

今回は、いざ小説を書き始めよう!と思い立った後どういうプロセスで進めていくか、僕のやり方を公開していこうと思います。

多くの尖った小説家がそうであるように、独学で小説を書き始めて、自分として一番心地良いやり方を見つけていきました。

それが皆さんの肌に合うかは分かりませんが、参考になれば幸いですね。

前回の「小説の書き方とプロセス①(書き始める前篇)」で書いたのと重複する部分もありますし、連続した過程なのでMECEにはなりえませんが、気にせず進めていきます笑

物語を串刺し、ドライブする

前回は、どういう種類のアイデアを積もらせていくかでしたが、今回は、どういう種類のアイデアをどう小説に盛り込むかという違いがあります。


アイデア段階と書き始めの違いは、一つの小説として統合していく志向性を持たせられるかだと思っています。
そこで必要なのが

物語をドライブするものを掴む
ことだと思います。

どうドライブするもの、つまり運んでいくものを捉えるのか?

そのヒントが、


小説全体を「串刺しにする何か」を得ることです。


「串刺し」のパターンは幾つかあります。

前回考えていたアイデアを洗練させていった先に見えることもあります。
・設定
(A)人称の設定
(B)登場人物の設定
(C)舞台の設定
(D)分量の設定
・テーマ
・シーン

上記を睨みつつ、串刺しやすいのは以下の5つじゃないでしょうか?

①謎刺し
②成長刺し
③プロット刺し
④テーマ刺し
⑤キャラ刺し


他にもあるとは思いますが、とりあえずこの五つを見ていきましょう。

①謎刺し

なぜ生きるのか?自分という存在とはなんだろう?世界とは?意味は?

という問い系から

自分探し。不遇な理由探し。犯人探し。などの探し物を求める系も含めていいんじゃないでしょうか。


ギリシャ悲劇のソポクレス『オイディプス』もそうですが、紀元前から普遍的に散見されます。

②成長刺し


失敗したりしながら仲間と一緒に成長していく、失くしたものを取り戻す、出来なかったことが出来るようになる、強くなっていく、強いものを倒す、恋愛成就、何かに気づく、等々。

漫画やアニメの多くは成長刺しを前面に出していますね。
バトル系が一番分かりやすいですね。力がどんどんインフレしていきますから。

派生形を含めると、①の謎と②の成長というのは殆どすべての小説に入っているんじゃないでしょうか。

謎があってそれを探していくうちに仲間と出会ってときには恋に落ちてうまくいかないながらも、もがきつつ自分の道を見つけて成長するみたいな。


③プロット刺し。

起承転結みたいな、山あり谷ありの起伏イメージでOKでしょう。

書き始める前からプロットという骨子を完成させ、あとはその骨子に肉付けしていくやり方です。


そもそもプロット作りの際にも謎・成長・テーマ・キャラが入ってくると思うので、③にプロット刺しを入れるのは、レベル感的にちょっとあれなんですが。
プロット展開というベースの上で物語を作っていくイメージです。


④テーマ刺し


「愛」「性」「死」「欲」「色」「花」「鳥」・・・などなどテーマを小説の伏流水として流します。

テーマが決まっていれば、関連する事象に広げていきやすいと思います。

また、テーマがあるとメタファーが使いやすいですね。特に諷喩と相性が良いです。

⑤キャラ刺し


キャラクターの能力だったり、過去だったり、置かれてる状況などの何かしら物理的or心理的な動きを要求するもの

を練ることで、物語は展開します。


主人公だけの場合もあれば、周りの登場人物の関係性の絡まりの中に主人公が巻き込まれて動くこともあります。


出てくるキャラクターのバランスが大事なので、関係図を書いたり、マッピングをしたりすると、明確になりやすいです。


変化の過程


串刺しの例を挙げて来ましたが、共通して言えるのは、
すべて「変化の過程」だということです。

小説の面白さというのは、どう起伏があって変化していくかの芸術ともいえると思います。
その変化というのは、空間的変化、時間的変化、心理的変化、関係性変化、認識変化、感覚変化、などなど・・・何でもいいと思います。

それらの変化幅、変化率をいかに組み合わせて、立体的に物語として立ち上げていくかのアートですね。


小説に運ばれる


と「串刺し」について書いてきましたが、

実は、「串刺し」をアプリオリに想定することは少なく、僕の場合はシーンごとに降りて来たものを書いていきます。

そして「串刺し」は初期の時点では仮説として持っている段階です。まだどうなっていくか分からないのです。

僕の書き方は、奔放に自由に降りて来たものを書いていきます。
よくある小説を指南書では否定されていますが、基本的にはプロットを含め全体像やラストは考えません。

正確に言うと、最初に固めることはあり得ません。常に更新し考え続けています。

なぜなら最初に出てくるようなものって、どう捻ってもたいていは手垢のついたものであったり、知らず知らず見聞きしたストーリーの混淆に過ぎなかったり、もしくは無意識的集合意識のようなものに寄っていく気がします。

僕はそういうどこかで読んだような物語を作る気がないので、最初に固めることは基本的にありません。

とはいえ、最初に”仮説的に”こういったストーリー展開の流れや、一貫するもの、串刺すものもあるかもな~とは”仮設的に”考えます。
というよりも、無数に走らせています。


小説に運ばれるのを待つのです。

物語が作家を離れて独立し動き出す瞬間を捉えるのです。


その時はいわば、自分が書いているようで書いていない状態になります。


ヤバイ言い方をすると、降りて来た状態です。
大きな宇宙・世界・社会の流れを自分という媒体を経由することで、言葉に変換し小説に流し込んでいくというイメージです。


普段は、合理的な考え方をすることが多いのですが、小説を書いている時はむしろ論理を超えた働きの中に自分がいる感覚があります。

論理破綻はナンセンスですが、論理の割れ目にこそ可能性があると思います。



・・・と徒然なるままに書きましたが、以上書き始めにどう物語をドライブしていくかでした。

少しでも参考になれば嬉しいです。

次回は、具体的な書き進め方、例えば、どういう道具を使っていくのか、どういうペースか、どう書き上げる為の自分なりの技について触れていきたいと思います!


ARIGATO!!
Shota Arai

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