2024/3/6
久しぶりの店主による営業。20時頃から開店して、こんな寒゛い゛日に誰も来そうにないなと思ったら、やはりどなたもいらっしゃいませんでした。
夕方に、友人が訪ねてきたので喫茶酔星で、オムライスを食べる。色々あって、店番してくれることに。これで店番メンバーが店主含めて4人になります。今度、(いかれた)メンバー紹介もあらためて投稿します。
店番メンバーの追加に加えて、これから本屋の無人営業と無人でのコワーキングスペース営業も模索しております。少しずつ、準備勧めてますのでリリースできるかと思います。
(店内映像のライブ配信も、この一環でした)
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寒くて静かな夜には、パトリック・モディアノの「眠れる記憶」を読んだ。
後書きによると、2014年にノーベル文学賞を受賞してから最初と2番目の作品を収録しているという。そして、おおむね作品群は「僕 je」の一人称でパリを舞台にしているという。政治情勢や人物名・地名が出てくるが、基本は私小説的でもあり詩的でもある。
読んでみると正直かなり難解で筋を取るのは特に難しい。記憶をたどるメモランダムは脱落と喪失がひどく、数年・数十年の開きのある出来事が併置され、場所も登場人物もシチュエーションも関連性があるのかどうかわからない。ひとつ共通しているのは、「僕 je」のパリを中心にしているということで、それだけはおそらく揺らがない。(他の作品もそうなんだろう)
「眠れる記憶」の中では永劫回帰という単語が複数回登場するが、人間の脳というニューラル回路が信号の強度と回数によってルーティングされて記憶するという仕組みである以上これは必然なのかもしれない。もしかしたら発火点の物理的な近傍性が記憶の短絡を生み出しているとすれば、それはバイナリファイルを覗き込むような感覚だろうか。
今日は、旧友と10年前のことも昨日のことも飛び石に会話した。モディアノの作品は自分との対話(ノートへの書付)という体ではあるが、そういう感じなのだろうか。
東京という街の円環を—動物園の檻の中で手持ち無沙汰にぐるぐると回るヒョウのように—10年前も今日も10年後も生きているということを持って何度か読み直してみたい作品。