東京は雪が降り、少し寒さは和らいだのかしらね。
それでか、今日はお客さんがどなたもおりませんでした。少し早いですが、閉めちゃいます。
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今日、仕事の合間に同僚と会話した。彼は、恋人はいない、といった。欲しい?と聞くと、いらないという。付き合っていた彼女から30歳が近づいた途端に結婚を仄めかされたので断ったという。
本屋を開けるときは会社帰りに下北沢から歩いて来ることにしている。ボーナストラックを通ってどこかの店で夕飯でも食べようかと思うが結局はどこにも寄らない。下北沢から世田谷代田までのほうが植物が植わっているという意味では自然だが、”一夜”にしてできたという意味では人工で、環七からこっちの住宅街は一つ一つの独立した生命が交錯し蓄積していると感じる。
本屋では、たまたま手に取ったチェーホフの「ヴェーロチカ」を読んだ。統計学者のオグニョフはもうすぐ30だが女性経験がない。夏の間は数週間にわたり地方をめぐって研究資料を収集し、同じ町には二度と訪れない。ヴェーロチカ(ヴェーラ)はオグニョフが滞在した村の名士の家の娘で、シーンは10日間の滞在の最後の夜から始まる。オグニョフが家を去ろうとすると、ヴェーラが森はずれまで送るという。森を抜けるとヴェーラはオグニョフに・・・
さて、国木田独歩は「武蔵野」の中で、ツルゲーネフの自然描写を引いて「これは露西亜の野であるが、我武蔵野の野の光景もおよそこんなものである」という。
どうも一筋の言葉には撚り合わせられない、ごろっとした気持ちになる偶然の日でした。