三角比・三角関数の公式を単位円と関連づけて理解する
高校数学のなかで、いちばん多くの公式が登場するのが三角関数の単元かもしれません。確かに、式にすると数が多くなってしまいますが、実は単位円を用いることで公式として覚えるよりもずっと楽に、しかも公式を覚えるよりもずっと深く理解することができます。
cos θ の意味
まず、次の図のような状態を考えましょう。
単位円があります。そこに、x 軸の正の向きから θ だけ傾いた、長さが 1 の棒があります。この棒の両端の座標は (0, 0) と (a, b) と設定しておきましょう。長さ 1 の斜めの棒のイメージです。これを忘れないでくださいね。
次に、この棒に上から光を当ててみます。
そうすると、x 軸上にこの棒の影が映るはずです。この影の長さこそ、cos θ ということになります。他にもさまざまな捉え方が可能ですが、これが一番理解しやすい cos の捉え方だと思います。
「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」という岩井俊二監督の映画(アニメ化もされましたね)がありますが、このタイトルになぞらえて言えば、cos や sin は「斜めの棒、上から見るか? 横から見るか?」という感じです。この棒は実は原点を軸としてくるくる回転することができるので、真横になったり真縦になったりすることもあるので、必ず斜めというわけではないのですが。
さて、もうひとつ大事なことを指摘しておきましょう。もう一度、さきほどの図を見てください。棒の原点とは反対側の端の座標を (a, b) と設定しました。そして、真上から光を当てたときに x 軸上にできる影の長さが cos θ であると言いました。さて。そうすると、この cos θ と a または b のどちらかが等しいのですが、分かるでしょうか。
答えは a です。a は棒の先端の x 座標です。ですから、当然、この図でできている影の長さに一致します。というわけで、a = cos θ が成り立ちます。a は棒の先端の座標のうち x 座標なので、「cos θ は x 座標」と覚えておくとよいでしょう。
sin θ の意味
今度は、真横から光を当ててみましょう。
すると、y 軸上に影ができます。この影の長さが sin θ です。 sin θ と等しい値は b ですから、b = sin θ が成り立ちます。b は棒の先端の座標のうち y 座標なので、「sin θ は y 座標」と覚えておくとよいでしょう。
1. sin² θ + cos² θ = 1
cos θ と sin θ について説明が終わったので、いよいよここから公式の話ができます。まずは三角比・三角関数のあらゆる公式のなかでもっとも基本的な「sin² θ + cos² θ = 1」から。この式は、さきほどまでの図に登場した斜めの棒(あるいは影でできていた三角形の部分)に、三平方の定理(別名:ピタゴラスの定理)を適用しただけです。図で説明しましょう。
斜めの棒の長さは 1 でした。そして、この棒の原点とは反対側の座標を (a, b) と設定しました。ここで三平方の定理を用いると、「a² + b² = 1」 となりますね。この式に、さっき分かったこと、すなわち「a = cos θ」と「b = sin θ」を代入しましょう。すると、「cos² θ + sin² θ = 1」、足し算の順番を入れ替えて「sin² θ + cos² θ = 1」となり、説明したかった公式と同じになりました。ちなみに、(cos θ)×(cos θ) すなわち (cos θ)² は cos θ² ではなくcos² θ と書きます。 「²」の位置に注意してください。cos θ² と書いてしまうと、θだけが2乗されてしまうことになるので、cos² θ と表記しなくてはいけません。sin θ についても同様です。
2. tan θ = sin θ ÷ cos θ
これは三角比・三角関数に関する公式というよりは、tan θ の定義だと考えてください。sin θ、cos θ、tan θ とまるで3兄弟(そう言えば、その昔「だんご3兄弟」という歌が流行ったことがありましたね)のように考えられがちですが、正確には違います。sin θ と cos θ はふたごのお兄さんです。このふたごのお兄さんの下に、 tan θ くんがいるイメージです。そして、その tan θ は sin θ と cos θ を使って、次のように定義されます。
tan θ = sin θ ÷ cos θ(ただし、cos θ ≠ 0)
分数の形で書くべきですが、html (web上の文章を記述するための言語)の制限から分数表記ができないので、稚拙な書き方ですが「÷」を使用しています。
ここで覚えておいて欲しいことは、「tan θ は傾き」を表しているということです。さきほど、「cos θ は x 座標」「sin θ は y 座標」と言いました。「tan θ = sin θ ÷ cos θ」なので、tan θ は y 座標 ÷ x 座標 と言い換えることができます。これはさらに「x の増加量 分の y の増加量」と言い換えることができます。そしてこれは、中学生までで習う傾きそのものですね。ですから、「tan θ は傾き」なのです。
3. tan² θ + 1 = 1 ÷ cos² θ
高校数学の教科書ではきっとこの式が次に登場すると思います。でもこの式はあえて覚えておくほどのものではありません。いえ、覚えているにこしたことはないのですが、忘れてしまっても問題ないという意味です。むしろ、この式自体を覚えておくことよりも、この式を導けるようにしておくことの方が個人的には大切なことだと考えています。
では、この式はどう導くことができるでしょうか。ここまで説明してきた2つの式から次のように導きます。
sin² θ + cos² θ = 1
この式の両辺を cos² θ (≠ 0)で割って、
(sin² θ ÷ cos² θ) + (cos² θ ÷ cos² θ) = 1 ÷ cos² θ
ところで、「tan θ = sin θ ÷ cos θ」でしたから、「tan² θ = sin² θ ÷ cos² θ」です。また、cos² θ ÷ cos² θ = 1 ですから、
tan² θ + 1 = 1 ÷ cos² θ
これで導出できました。ちなみに、どうせこの式を覚えるなら、この式の両辺の逆数をとった次式も覚えておくとよいでしょう。
1 ÷ (tan² θ + 1) = cos² θ
4. 補角などの公式
補角というのは、θ に対して 90°-θ のことです。補角の公式とそれに似たものには、次のようなものがあります。
cos ( 90°-θ ) = sin θ
sin ( 90°-θ ) = cos θ
cos ( θ+90° ) = -sin θ
sin ( θ+90° ) = cos θ
cos ( 180°-θ ) = -cos θ
sin ( 180°-θ ) = sin θ
cos ( θ+180° ) = -cos θ
sin ( θ+180° ) = -sin θ
cos ( 270°-θ ) = -sin θ
sin ( 270°-θ ) = -cos θ
cos ( θ+270° ) = sin θ
sin ( θ+270° ) = -cos θ
cos ( 360°-θ ) = cos θ
sin ( 360°-θ ) = -sin θ
並んでいるのを見るだけでも「げぇー」って感じですよね。私も入力するのが大変でした。でも、私は公式として覚えていません。代わりに、下図のようなイメージで覚えています。
さきほどまでの図と少し状況が変わっています。棒が動いたのです。オレンジの三角形の形自体は変わっていません。でも、配置の仕方が変わっています。ちょっと考えれば、この置き方だと棒の原点とは反対側の先端の座標は (b, a) と表される(さっきまでの置き方では (a, b) でした)ことが分かると思います。ところで、いまこの置き方の場合、棒の角度は何度なのでしょうか。さきほどまで、棒の傾きは θ 度でした。ここで、90度からオレンジの三角形の θ の角を引いた角度、すなわち 90°-θ が黄緑の三角形の原点に接するところの角度だということに気づけるでしょうか。棒の角度はいつでも x 軸の正の向き(原点から右方向に延びる線)から計ると決められています。ということは、この図の場合、棒の角度は 90°-θ と表されます。
同じような手法で、オレンジの三角形をさまざまな方法で置いていきます。そして、そのときの棒の角度と原点と反対側の座標を書き入れたのが下の図です。
私は勝手にこの図を「風車の図」と呼んでいます。風車に見えなくもないでしょう? 「鉄十字」と言いたいところですが、なかなか多くの人には伝わらないので、風車で手を打っています。さて。この風車の図があれば、さきほどのたくさんの公式は覚える必要がありません。この風車の図が教えてくれるからです。たとえば、「cos (90°-θ) = sin θ」の式でこの図の使い方を説明しましょう。こんな感じです。
cos (90°-θ) を調べればいいんだな
よし、まずは 90°-θ のところを見よう
(b, a) と書いてあるなぁ
ところで、調べなきゃいけないのは sin だっけ、cos だっけ?
cos (90°-θ) を調べるんだから、cos だな
cos は x 座標だったな
ということは、cos (90°-θ) は b だ!((b, a) の x 座標は b )
よし、今度はこの b を θ のところを見ながら cos θ か sin θ か判断するぞ
θ のところの座標は (a, b) ってなってるから、b は y 座標すなわち sin だぞ
ここまでで分かったことを整理すると
cos (90°-θ) = b
b = sin θ
ならば、cos (90°-θ) = sin θ だね!
詳しめに書いたので長くて面倒なステップのように思われるかもしれませんが、やってることはそこまで複雑でもありませんし、ステップの数もそこまで多くはありません。まずひとつの場所で見て、a とか -b とか何になっているかを調べ、今度は θ のところを見て、さっき調べたのを sin θ とか cos θ とかで表すためにはどうすればよいかを考えればよいだけです。もうひとつだけ例をあげて説明しましょう。今度は簡略化して書いてみます。
sin ( 270°-θ ) を調べよう!
270°-θ の sin(すなわち y 座標)は -a って書いてあるな
今度は θ のところを見て、a = cos θ だな
ということは、sin (270°-θ) = -cos θ だな
いかがでしょうか。簡単でしょう?
5. 加法定理
加法定理も三角比・三角関数の公式としてはかなり重要なものです。というのも、これ以降の2倍角、3倍角、半角、合成、積和・和関の公式すべてを導出するために使用するのがこの加法定理だからです。
実は、加法定理は単位円と関連づけて理解するより、公式として覚えてしまった方が楽だと感じています(この note の趣旨を否定するような発言で申し訳ない…… これ以降、単位円は出てきません……)。
sin (α+β) = sin α × cos β + cos α × sin β
sin (α-β) = sin α × cos β - cos α × sin β
cos (α+β) = cos α × cos β - sin α × sin β
cos (α-β) = cos α × cos β + sin α × sin β
私は次のようにいくつかのルールに分解して覚えています。まず、①「左辺と右辺に最初に登場するものは同じ」です。
sin (α+β) = sin α × cos β + cos α × sin β
sin (α-β) = sin α × cos β - cos α × sin β
cos (α+β) = cos α × cos β - sin α × sin β
cos (α-β) = cos α × cos β + sin α × sin β
それから、② sin は符号(+/-)が同じになりますが、掛け算する三角関数は異なります。cos はその反対で、符号は異なりますが、掛け算する三角関数は同じものになります。
sin (α+β) = sin α × cos β +cos α × sin β
sin (α-β) = sin α × cos β -cos α × sin β
cos (α+β) = cos α × cos β -sin α × sin β
cos (α-β) = cos α × cos β +sin α × sin β
③角度を表すα と β はかならず「α β α β」の順番で登場します。
sin (α+β) = sin α × cos β + cos α × sin β
sin (α-β) = sin α × cos β - cos α × sin β
cos (α+β) = cos α × cos β - sin α × sin β
cos (α-β) = cos α × cos β + sin α × sin β
この3つのルールでさきほどの4つの公式が再構成できると思います(sin の加法定理が sin cos sin cos の順でなく、sin cos cos sin の順で出てくるのは、もし sin cos sin cos の順で出てくると、1 項目と 2 項目がまったく同じものになってしまいます。そうすると、1 式目の右辺は 2 × sin α × cos β、2 式目の右辺は 0 になってしまっておかしいので、ということで sin cos cos sin だろうといちおう理屈をつけています )。
分かっている人には当たり前なのですが、加法定理がなぜ必要かを具体例を使って少し説明しておきましょう。たとえば、sin 30° = 0.5、sin 90° = 1 です。このとき、角度は 30° から 90° へと3倍になっていますが、sin の値 は 2 倍です。このように、一般に三角比・三角関数は 角度が○倍になったら値も○倍になるとか、角度同士を足し合わせたら、値同士も足し合わせられるという関係が成り立ちません。すなわち、sin (α+β) = sin α + sin β とか、cos (α+β) = cos α + cos β にはならないということです。じゃあ、どうなるんだよ!? ということで、それを教えてくれるのがこの加法定理なのです。
6. 補角などの公式と加法定理(2021/02/14 追記)
補角などに関して、上記の風車の図(4. 補角などの公式を参照)を頭にイメージできるようにはしておいてほしいものですが、覚えることをなるべく少なくするという方針を突き進めるなら、補角などの公式は忘れてしまってもよいと思います。なぜなら、加法定理さえ覚えていれば、加法定理を適用することによって補角など公式を覚えていなくても同じことができるからです。個人的には、本来は数 II で学習する加法定理を数 I の段階ですでに教えてしまうのが効率的かなと考えています。具体例は次のとおりです。
cos (90° - θ)
= cos 90°・cos θ + sin 90°・sin θ
= 0・cos θ + sin 90°・1
= sin 90°
sin ( 270° - θ )
= sin 270°・cos θ - cos 270°・sin θ
= -1・cos θ - 0・sin θ
= - cos θ
7. 2倍角の公式
2倍角の公式は加法定理から導出できます。
sin (α+β) = sin α × cos β + cos α × sin β
ここで β = α とすると、
sin (α+α) = sin α × cos α + cos α × sin α
sin 2α = 2× sin α × cos α
cos (α+β) = cos α × cos β - sin α × sin β
ここで β = α とすると、
cos (α+α) = cos α × cos α - sin α × sin α
cos 2α = cos² α - sin² α … ①
また、sin² θ + cos² θ = 1 より sin² θ = 1 - cos² θ を①に代入すると、
cos 2α = cos² α - (1- cos² α) = 2cos² α - 1
sin² θ + cos² θ = 1 より cos² θ = 1 - sin² θ を①に代入すると、
cos 2α = cos² α - sin² α = (1 - sin² α) - sin² α = 1 - 2sin² α
cos の 2 倍角は 3 つの形で覚えておきましょう。
8. 半角の公式
半角の公式は cos の 2 倍角の公式から導出できます。
cos 2α = 2cos² α - 1 … ②
cos 2α = 1 - 2sin² α … ③
②式から cos の半角の公式を導出してみましょう。
cos 2α = 2cos² α - 1 … ②
2cos² α = 1 + cos 2α
cos² α = (1 + cos 2α) ÷ 2
ここで α→α/2、2α→αに置き直して、
cos² α/2 = (1 + cos α) ÷ 2
これで導出できました。③式から同様に次の sin の半角の公式が導出できます。
sin² α/2 = (1 - cos α) ÷ 2
9. 3倍角の公式
3 倍角の公式はあまり出番は多くないかもしれませんが、だからこそ公式として覚えるのではなく、きちんと導出できるようにしておくことが重要です。加法定理が土台と2倍角の公式から導出できます。sin の 3 倍角の公式を導出してみましょう。
sin (α+β) = sin α × cos β + cos α × sin β
ここで β = 2α とすると、
sin (α+2α) = sin α × cos 2α + cos α × sin 2α
cos 2α = 1 - 2sin² α, sin 2α =2sin α cos α を代入して、
sin (α+2α) = sin α × (1 - 2sin² α) + cos α × 2sin α cos α
sin 3α = sin α - 2sin³ α + 2 cos² α × sin α
ここで sin² θ + cos² θ = 1 より cos² θ = 1 - sin² θ を代入して、
sin 3α = sin α - 2sin³ α + 2 (1- sin² α) × sin α
= sin α - 2sin³ α + 2sin α - 2sin³
= 3sin α - 4 sin³ α
同様にして、以下の cos の 3 倍角の公式も導出できます。自分でやってみましょう。
cos 3α = 4cos³ α - 3cos α
10. ド・モアブルの定理と2倍角などの定理(2021/02/15加筆)
かつて数Bに存在していた複素数平面という単元では、次のようなド・モアブルの定理が扱われていました。
【ド・モアブルの定理】
( cos θ + i sin θ )^n = cos nθ + i sin nθ( i は虚数単位、^nはn乗を表す)
このド・モアブルの定理を用いると、2倍角の定理、3倍角の定理などを 9. で説明したのとは別の方法で導出することができます。試しにやってみましょう。
ド・モアブルの定理より、
( cos θ + i sin θ )² = cos 2θ + i sin 2θ
(左辺)
= cos² θ + 2i cos θ sin θ - sin² θ
= cos² θ - sin² θ + 2i cos θ sin θ
ここでもとの式の右辺の実部・虚部と比較して、
cos 2θ = cos² θ - sin² θ, sin 2θ = 2 sin θ cos θ
ド・モアブルの定理より、
( cos θ + i sin θ )³ = cos 3θ + i sin 3θ
(左辺)
= cos³ θ + 3i cos² θ sinθ -3 cos θ sin² θ - i sin³ θ
= cos³ θ -3 cos θ sin² θ + i (3 cos² θ sinθ - sin³ θ)
= cos³ θ -3 cos θ (1 - cos² θ) + i {3 (1-sin² θ) sinθ - sin³ θ}
= cos³ θ -3 cos θ + 3 cos³ θ + i (3 sin θ - 3 sin³ θ - sin³ θ)
= 4 cos³ θ -3 cos θ + i (3 sin θ - 4 sin³ θ)
ここでもとの式の右辺の実部・虚部と比較して、
cos 3θ = 4 cos³ θ -3 cos θ, sin 3θ = 3 sin θ - 4 sin³ θ
sin と cos の両方が一度に導出できて、とても綺麗だと思います。複素数平面はいまではあまり高校数学で扱われることがなくなってしまいましたが、複素数の図形的意味や直交座標系が苦手とする回転変換など、知っていて損のないことばかりですので、数学に興味のある高校生には複素数平面を自習することをおすすめします。
11. 和→積の公式、積→和の公式
数学 II で習いますが、数学 II よりも数学 III での出番の方が圧倒的に多い和→積の公式と積→和の公式です。三角関数の微分・積分をおこなう際に、掛け算になっているよりも足し算・引き算になっている方が楽なので、積→和の公式を用いて変換するという使われ方が多いと思います。和→積、積→和も加法定理からの導出です。
sin (α+β) = sin α × cos β + cos α × sin β … ④
sin (α-β) = sin α × cos β - cos α × sin β … ⑤
cos (α+β) = cos α × cos β - sin α × sin β … ⑥
cos (α-β) = cos α × cos β + sin α × sin β … ⑦
④+⑤ より
sin (α+β) + sin (α-β) = 2 sin α × cos β
ここから、積→和と和→積の公式が 1 つずつできあがります。
sin (α+β) + sin (α-β) = 2 sin α × cos β
左辺と右辺を入れ替えて、
2 sin α × cos β = sin (α+β) + sin (α-β)
両辺を 2 で割って、
sin α × cos β = 1/2 {sin (α+β) + sin (α-β)} (積→和の公式の 1 つ)
これで積→和の公式の 1 つが導出できました。和→積の公式を導くなら、
sin (α+β) + sin (α-β) = 2 sin α × cos β
ここで α+β = X、α-β = Y と置き換えると、α = (X+Y)÷2、β = (X-Y)÷2 なので、
sin X + sin Y = 2 sin (X+Y)÷2 × cos (X-Y)÷2(和→積の公式の 1 つ)
という感じです。残りの積→和、和→積の公式もまとめて掲載しておきます。
(積→和の公式)
sin α × sin β = -1/2 {cos (α+β) - cos (α-β)}
cos α × cos β = 1/2 {cos (α+β) + cos (α-β)}
sin α × cos β = 1/2 {sin (α+β) + sin (α-β)}
cos α × sin β = 1/2 {sin (α+β) - sin (α-β)}
(和→積の公式)
sin X + sin Y = 2 sin (X+Y)÷2 × cos (X-Y)÷2
sin X - sin Y = 2 cos (X+Y)÷2 × sin (X-Y)÷2
cos X + cos Y = 2 cos (X+Y)÷2 × cos (X-Y)÷2
cos X - cos Y = -2 sin (X+Y)÷2 × sin (X-Y)÷2
12. 合成(後日、加筆予定)
高校数学で学習する三角関数の合成は加法定理のうち、
sin (α+β) = sin α × cos β + cos α × sin β
を利用しています。そのため、sin への合成ばかりになりますが、
cos (α+β) = cos α × cos β - sin α × sin β
を利用すれば、cos への合成ももちろん可能です。