「人間の心の成長にとって、最高の栄養は本である」 仕事を作る 安藤忠雄 【読書感想】
▪️「人間の心の成長にとって、最高の栄養は本である」
▪️こども本の森 創設者 安藤忠雄さんの言葉
『読書感想』
こども本の森 遠野。
圧倒されました。
建築の凄さと、
本だからこその優しい空間に。
創設者の安藤さんの思い感銘に
感銘を受けました。
そこで販売されていた本書を購入。
少しでも多くこども本の森について知りたい、
そう思って読み始めました。
ハードカバーの本で、建築家の本、
難しそうだなと感じていました。
ところが、読み始めたら凄く読みやすい!
安藤さんの人柄を感じられる文。
本書にこんな言葉が綴られています。
「集まりくる人々の心と心をつなぎ、
感動を刻み込むのが建築の真の価値なのだ」
本書も人の心へ繋げようという姿勢で書かれている、
だから読みやすかったです。
安藤さんの本への情熱がすごい。
この「こども本の森」は社会への恩返し。
ならば子供のための何かを創りたい、
それで「図書館」となったそうです。
「こどもへの見返りを求めない贈り物」
安藤さんは「こども本の森」について
そう語っています。
僕には何ができるか?
現実問題、同じことはまずできない…。
僕なりに「読書で社会貢献したい」
と考えていて、
「心に言葉の燈を」
を体現したい。
その中で「こども本の森」では
寄付やボランティアを募集している。
「これだ!」と思いました。
今すぐは厳しいけど、時間に余裕ができた
この活動に協力したい。
新たな憧れと出会うことできたのです。
そんな安藤さんの仕事への向き合い方、
そこで感じたことが綴られています。
感謝の言葉が多く、また深く日本社会のことを
考えておられます。
安藤さんの言葉にぜひ、触れてみて下さい。
『心惹かれた言葉』
本気で生きていれば、ときに味方も現れる。
アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギー
莫大な財を成した後、世界各地に二千五百もの
図書館を寄付したという。
敵うべくもないが、私も自身の職業を通じて、
手の届く範囲で、育ててくてた社会に恩返しをしたい。
そんな思いで「こども本の森」プロジェクトを
スタートした。
建築とは、人間が集まって語り合う
場をつくる行為にほかならない。
「集まりくる人々の心と心をつなぎ、
感動を刻み込むのが建築の真の価値なのだ」
と、強く意識した。
命あるものに触れ合わないと、
人間の感性は次第に鈍っていく。
街が培ってきた歴史や文化は、
顧みられるこなく、
土地の個性と脈絡なく
大規模開発が進められる。
文化や歴史を分断して
新しい街をつくったとしても、
それは地球上のどこにでも存在しえるし、
その街に深く根を張ることのない
街ができるだけである。
小さな点からでも、情熱を持って辛抱強く
続けていれば必ず実になる。
大切なのは、こころを繋いでいくこと。
人間も建築もまちづくりも同じである。
“青春とは人生のある時期をいうのではなく、
心の持ち方をいう。…
人は年齢を重ねただけで老いるのではない。
理想を失ったときに初めて老いる。…
情熱を失うときに精神はしぼむ“
サムエル・ウルマン
こどもの野生をいかに取り戻せるかに
かかっているだろう。そのために必要なのは
甘えた「ゆとり」などというものではない。
不安と隣り合わせの、本当の意味での
自由な時間と場所を与えることだ。…
緊張感に包まれた外国での様々な体験が、
社会を生きていく上で起きな糧となり、
その人間を強くするのだ。
絵本を通して子どもたちに心の世界を
伝えようと、30年にもわたって
世界中絵本を蒐集を続けてこられた巻さん。…
ご自身のお気に入りの絵本から名を借りて
「まどのそとのそのまたむこう」
という名をつけられた。
(いわき市の絵本館)
次世代を担う子どもたちに対する深い愛情
を持った女性たちのエネルギーには
いつも感服する。彼女たちの強い好奇心と
豊かな発想力、そして夢を実現する実行力を、
日本の男性たちは見習わなければならない。
廃墟と化した地で大人たちが寝食を忘れて
働き、子どもたちが元気に目を輝かせる姿
をみて、海外から訪れた人は
「この国は必ず復活する」
と口を揃えたという。
しかし、「経済大国」と謳われ始めた
1966年頃から、日本人の実直な国民性が
色褪せてゆく。…
人々は考えなくなり、闘わなくなった。
経済的な豊かさだけを求め、生活文化における
本当に身での豊かさを忘れてしまった。…
今、子どもたちは親の敷いたレールの上を
走ることに精一杯で、過保護に育てられている。
自分で考えるという体験が絶対的に不足
しており、緊張感も、判断力も、自立もないまま
成人し、社会を支える立場に立つことになる。…
人間性を育む教育を行い、自分なりの価値を持った
「自立した個人」を作り、家族や地域への愛情
をもった日本人の国民性を回復しなければ
未来は見えてこない。…
フランスの詩人ポール・ヴァレリー
「私はこの民族だけは滅んで欲しくないと
願う民族がある。それは日本民族だ」…
この国が生き残るには技術革命より、
経済より、何より自立した個人という
人格を持つ人事の育成が急務である。
真の人格を育てる教育にこそ
劣化した人間と国家の再生がかかっている。
美しく歳を重ねようと思うなら、
やはり相応の努力がいる。
新しいものと古いものが共に生き生きとして
ぶつかり合い、共存してこその社会であり、
都市だ。
『こども本の森に関する言葉』
私の中で
「人間の心の成長にとって、
最高の栄養は本である」
という思いが強くあるからだ。…
ほんと現実の風景を
行ったり来たりするうちに、
読書もまた、世界を広げてくれる
「心の旅」なのだと知った。
アフリカのキリンキッティ
という森の学校。
老人たちがこどもたちと一緒に
半年間森に入り、子供に教える。
「こども本の森」の発想は
これに似ている。
「こども本の森」もこれは
こどもに対する、見返りを求めない
贈り物なんです。
こどもにとって、与えられた教育環境を
自分なりに消化して、
自分が何になりたいか夢を育むのは
その子の勝手ですからね。
決めるのは親でもなければ先生でもない。
そのいろんな可能性をこどもたちに
示して与えること、
これはギフトですよね。
教育現場はそういう場でなければいけない。
そういう場であればこどもたちが
安心して寄り合って、お互いを信頼し、
生涯の友達をつくる場になるわけです。