見出し画像

20年ぶりに読んだ『いま、会いに行きます』 と 市川拓司さんエッセイ『発達障害だから強くなれた』

「 人を愛するということは、こういうこと 」

高校生だったのぼくにそれを教えてくれたのは、
市川拓司さんの小説でした。

『いまあい』にはその真実と儚さが描かれています。
だからこそ今でも世界を魅了し続けています。

あの頃も、今も、これから先の未来も、
ぼくは市川拓司さんの小説に憧れています。

『いま、会いに行きます』

【色褪せない名作】

あらすじ
妻に先立たれ、6歳の息子と暮らす巧の前に、亡くなったはずの妻が、梅雨の季節のある雨の日、森の中に現れる。ただ彼女は一切の記憶を失っていた。巧たちは妻をやさしく迎え入れ、三人のちょっと不思議な共同生活が再び始まる。そして、三人の心に生涯消えることのない、ある大切な宝物が残されていくことになる・・・。

引用:https://filmarks.com/movies/37329#google_vignette


20年ほど前に大ベストセラーとなった名作です。
小説は2003年2月に小学館より刊行されました。
発行部数は100万部を超えのベストセラー。
2004年には主演に中村獅童さんと竹内結子さんで映画化され、
興行収入48億円のヒットとなりました。


当時は『いまあい』の相性で親しまれていました。
2005年にはミムラさんと成宮寛貴さん主演でドラマ化もされました。
当時すごく流行った名作です。

その流行は今も続いています。

2019年には韓国でも映画化。
タイトルは『 Be With You 』

2024年12月時点では中国でも映画化。
公開は年末と市川拓司さんがInstagramで好評されています。

小説の翻訳も世界に広がっているそうです。
フランスで翻訳化され、老舗メディアが大きく取り上げています。
イタリアではアマゾンの小説ランキングで
数ヶ月100位以内をキープするベストセラー。
ベトナムでは本の通販サイトで
25位以内を3年連続キープするベストセラー。

『いまあい』は未だに広がりを続けています。

【はじめて読んだのは高校生のとき】

当時は多感な思春期で、恋にも一生懸命。
市川さんの小説の恋人たちに憧れていました。

「いつか別れが来るからこそ、恋人を大切にしたい」

市川さんの小説を読んで、そう感じたことを覚えています。
今ある幸せに感謝したい。

あれから20年。
『いま、会いにゆきます』がアジアでリメイクされたり、
市川さんの近況がSNSで知れるようになりました。
市川さんはひっそりと穏やかに活動されていました。
市川さんの世界観が世界中で共感されているのが嬉しいです。
先に読んでいた『発達障害だから強くなれた』の影響で、
無性に『いま、会いにゆきます』が読みたくなりました。

【20年ぶりに読んでも変わらない感動】

20年ぶりに読んでも
このタイトル込められた真意に震えました。
あの頃のと変わらない感動がありました。

「あぁ、ぼくは今でも市川さんの世界に憧れているのか」

そう気づきました。

「こんなにもやさしく純粋に人を愛せるか」

それがとても空虚に感じる現代社会。
大人からそんな価値観は消えてしまったように感じます。
(そもそもなかったのか!?)
浮気後も平然と活動する著名人、
利益があればそれを受け入れる世の中、
恋よりも自己実現を目指す人々、
結婚への関心の低下、
『運命の人』は心から消えてしまったのでしょうか。

ぼくは市川さんの世界観に憧れながら、
同時に抗えない醜い部分を自分の中に感じます。
「そんなきれいな人じゃないけど、理想はそう在りたい」
ぼくはそんな人間です。
それに葛藤しています。
改めて『いま、会いにゆきます』を読んで気がつきました。

「憧れは忘れたくない」

それは市川さんの世界観に対する憧れであり、
パートナーに対する憧れです。

やっぱり、ぼくは市川拓司さんか多大な影響を受けています。
やっぱり、ぼくは市川拓司さんの世界と言葉が大好きです。 
全部の作品を読むのが楽しみです。
(単行本は読破のつもりです、短編は…)
翻訳されていない作品もあるそうです。

楽しみは尽きません。


『発達障害だから強くなれた』

【読書感想】

『いま、会いにゆきます』を読んでいた頃は、
『発達障害』という言葉は、まだ使われていませんでした。
それから社会は少しづつ『多様性』が浸透して
優しくなってきていると感じます。

『障害』は個性になりつつあります。
市川さんはご自身の障害を著書で自己分析されています。
読んだぼくら読者には共感できることがあります。
障害の程度によれど、障害の有無に関わらず、
多くの人が生きづらさを感じる社会。
そのときは、無理をしないでしないで市川さんの世界に浸る。

「そこにはこんな場所もあって、そこには優しい人たちがいる」

そう感じました。
やさしい世界はかならず近くにあるはずです。

『発達障害者』への理解が変わる本。
人と違っているのがいい。
人それぞれにしか表現できないものがあるはずです。

「だから市川さんは、優しく素敵で愛おしい小説が書ける」

ここにも異彩が放たれていました。
ぼくの中で発達書障害の理解を深めてくれる本でした。

より人としての市川拓司さんが好きになる本でした。

LITF LABEL  HPより引用
市川さんの書斎。
植物との共存に憧れました。
素敵です。



【心に沁みた言葉〜言葉の燈〜】

ひとと違っていることを「間違っている」と言われ続けたら、たいていのひとは「ああ、そうなんだ。自分は間違った駄目な人間なんだ」って思ってしまうはずです。でもそれはちっとも真実なんかじゃなくて、ほんとは多様性こそが大切なんだって、そんなふうに思っているひとたちがたくさんいる。

人類最強の走る民族ララムリ
謎めいた秘境にこもるこの少数民族は、人間の知るあらゆる問題を解決したといってよかった。

テナガザルタイプ。
彼らは、夫婦子供二匹を一単位として暮らしていて、巣離れした子供が異性を探す以外は、ずっと自分たちのテリトリーの中で暮らしている。

自分がどう思われようと(つまり、ヒエラルキーのどこに位置されようと)関係ないので、失敗を恐れない。平気で恥をかける。

ヒエラルキーって「富(食料)」の概念から考えることもできる。
ニホンザルって、餌付けされていない集団はオスのボスがいないって読んだことがある。母性のおおらかさと気遣いで集団を維持している。

自分が抱えているあれやこれやー違っていることや、弱いことや、下手くそなことーそのすべてがエラーなんかじゃなく、きっと意味があることなんだ、ってそう思えて仕方ない。高エネルギーがもたらすポジティブシンキング。まさに肯定する力。

そしてぼくは、なにを否定するでもなく、ただそばにいるひとを気遣い、いたわり、愛し、尊敬する男女の物語を書く作家になった。愛とは生きてほしいと強く願うこと。

ガルシア=マルケスの「百年の孤高」を読んだとき、「あぁ、このひと、こっち側のひとだ」ってすぐに思いました。

『恋愛寫眞ーもうひとつの物語』の静流じゃないけど、「生まれてきてよかった(お母さん、ぼくを産んでくれてありがとう!)、他の誰でもなく、この私に生まれたことが嬉しいの」。

上野一彦先生とは「発達障害の当事者が、自分のことを思い切りポジティブに語る本を出したいよね」と話していて。

で、どうしたかというと、ひたすら歩きました。やっぱりこれが一番の鎮静剤。脳が過剰に活性化する人間は本能的に身体を動かすことでエネルギーを逃がそうとするものなのかもしれません。

こんなふうに夫婦の体質が似ていてよい点は、深く共感し合えることです。相手の苦しみにぴったりと寄り添うことができる。「つらいよね、分かるよ」と言ってもらうことで、どれだけ心が楽になるか。共感は、優しさの限界を超えたその先にある深い癒しをもたらします。これってじつはとても大事なことなんじゃないか、って思います。

あと「『魔女の宅急便』のキキのお母さんの部屋みたい」とも言われます。大量の観葉植物と梁から吊るしたドライフラワーたちがその印象をつくっているんだいと思います。

この特集というのが「最も有名な作家のペンから生まれた近年最も美しく高く評価された本」二十冊を選んで新装版を限定出版するというもの。ロマンチック小説ということで、だいたいはヨーロッパの除籍作家さんなんだけど、ぼく以外の男性作家ではアメリカのニコラス・スパークが『Daer John』で選ばれていました。たしかにあれもとびっきりロマンチックな物語でしたね。

岐路に立つ人類の物語
なんだかすごい大きなことを言っていますが、本当にぼくはそう思っています。

ぼく自身はいままで通りといえばいままで通り、「世界の優しさの総和を少しでも増やそう」運動を続けていくつもりです。これまでの人生は、いわば前振りみたいなもの。いよいよここからが本番です。ぼくらしく、天から授かった「非常識力」でもって、誰もやったことのないようなやり方で優しさの総和を増やしていこうと思っています


追伸『市川拓司さん書籍コーナー』

ぼくもテナガザルでありたい…

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集