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情報革命がうまく想像できない? 産業革命と比較するイメージ

DXの本質は情報革命であり、ITが (ツールという域を超えて) 社会の環境変化に至ったということを述べてきました[1][2][3]。それに関する概念図を2枚ほど作成しました。


産業革命と情報革命の対比


産業革命と情報革命を対比させた図
(画像引用元: 水力紡績機蒸気機関、 電気真空管式コンピュータインターネット)


1枚目は、産業革命と情報革命を少々強引に対比させた図です。

産業革命は、エネルギー分野では水力から始まり、その後に蒸気機関が大きな役割を果たしましたが、現代から考えれば電気の普及が最も大きなインパクトだったことが分かります。

同様に、情報革命もコンピュータの発明から始まり、集積回路が転機となって爆発的な普及を見せていますが、社会の変化という意味ではインターネットの登場が大きいのではと見ています。

重要なことは、産業革命とか情報革命とかいったときに、単独の転換点があるのではなく、無数の発明やイノベーションが積み重なって起こる社会の変化だということです。


既存産業は情報革命でどうなるのか


情報革命による既存産業への影響を想起するための図
(画像引用元: 大規模灌漑)


もう1枚は、情報革命のなかで既存の産業がどうなるのかのイメージです。

産業革命によって、多くの製造業は機械化が進みました。しかし機械化の影響を受けたのは製造業だけではありません。当時の既存産業である第一次産業も大きく変わりました。機械化以前の農業では、人間の力で足りないときには、牛などの動物が力の供給源でした。しかし今では、地平線の彼方まで続くような大型機械が大規模農業を支えています。

同じように、情報革命を通じて現在の既存産業は激変するでしょう。いま農場で牛に鋤を引かせていたら懐古趣味だと思われるように、将来の社会では、現在の製造業の姿は歴史の1ページになっているかもしれません。手動の実験、巨大な工場、何カ月も掛かる輸送、会議室での話し合い、これらの何が残り、何が消えるのでしょうか。

2024年の時点で、人工知能によって何十か国語が翻訳できる一方で、今でも人々が傘を差して足元を濡らしながら歩いている姿を、100年前に予測できた人はいないのではないでしょう。ですから、個々の予測はできません。でも多くのことが変わるのは確実です。重要なことは「未来から見たら、現在は稚拙な状態を多く含む」ということです。

そういった、現在を肯定しすぎない視点を持ちつつ、しかも未来は予測できないという前提を受け容れて、個々の変革の可能性を次々に試し、走り続けながら本質を見出すのがDXのあるべき姿だと思っています。


未来はすでにここにある
ただ均等に行きわたっていないだけだ

ウィリアム・ギブソン (SF作家)



もう一枚を追記します。

農業の機械化において、DigitalizationとDXに相当する図
(画像引用元: 変形田田植機センターピボット大規模灌漑)

産業革命でも機械の導入には様々な形がありました。しがらみで区画整理ができないまま機械を導入しても、生産性の向上には限界があります。機械のポテンシャルを最大化するには、農地の形から考え直す必要があったのです。

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