「姫君を喰う話」
宇能鴻一郎「姫君を喰う話」がよかった。
巨鯨と銛師の死闘を描く芥川賞受賞作「鯨神」はその描写、死生観に圧倒される。
「花魁小桜の足」は、踏み絵に臨む隠れキリシタンの遊女が最後の夜に取った客は踏まれることに喜びを覚える客で……。
表題作はモツ焼きを喰いながら呑んでたら隣り合う客から平安時代の恐ろしくも美しい昔話を聞かされる。
他の作品も村社会などの土俗的要素と性的フェティシズム要素が混じり合い、他の作家が描くと卑俗で下品になってしまいかねないものが流麗な文体で高尚なエンタメに昇華されている。
そしてこのなんともいえない表紙絵よ。
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